2008年12月20日土曜日

Zimbabwe:ムガベを突き動かすもの


今日は少しジンバブエについて書きます。これまで書かなかったのはこの国を直接知っているわけでもなければ、他にジンバブエについて書いているブロガーの人がいるからですが、ジンバブエの局地的問題としてではなくパンアフリカンな視点から捉えてみたいと思います。
まず、一連の凋落が始まる前のジンバブエという国ですが、私が協力隊員だったころには隊員も派遣されていました。気候もよく、豊かな農産国で観光資源もあり、暮らしやすい国だったと聞いています。しかし、1999年にコンゴ民に派兵したことからジンバブエの凋落が始まります。このコンゴ民への派兵は同国内にムガベ一族が持っていたダイヤモンド鉱山の利権を守るためだったと言われていますが、やはりというかなんというか、元を正せば問題の発端はやっぱりコンゴ民とその資源なのです。そういう意味では今のコンゴ民問題と無関係ではありません。さて、このコンゴ民派兵で国際的な非難を浴びたムガベが次に乗ったのは白人の排斥運動です。隣の南アフリカは生まれて間もない黒人政権、政権はとったものの相変わらず変わらない黒人の貧困状態などから、火をつけやすい状態だったわけです。そして、白人所有の大農場を次々と強制接収し、民心を買おうとします。しかし、同時にムガベは国際社会の非難を買い、ジンバブエの産業基盤を破壊してしまいました。そして、天文学的な通貨の下落、インフレ、貧困の激しい進行、公共サービスの崩壊、コレラ禍・・・と続いていくわけです。
つい先日はムガベは強権発動できないアフリカの他の国家元首を臆病者呼ばわりしています。ここまで来るとほとんどサダム・フセインと言えます。しかし、現状ではジンバブエにかまっていられるのはNGOくらいなもの、というのも事実なのです。コンゴ民問題をはじめ、アフリカには問題がたくさんあり、他国の問題にかまっている余裕はありません。国際社会も世界不況の中、手一杯です。そしてアメリカですがイラクほど積極的に関与することはない気がします。戦争に疲れているアメリカが軍需景気をもくろんでジンバブエに介入するというシナリオは考えにくい。
ムガベを見ていると思い出すのは他でもない地獄の黙示録のカーツ大佐ですが、ムガベを突き動かしているのはやはり「欲と憎悪」なのでしょう。権力欲、金銭欲そして白人に対する憎悪がムガベの狂気を突き動かしている。狂人の恐いところは、周りからは狂気に見えることが本人にとっては極めて論理的で正常に見えているところです。そして心配なのはルワンダのカガメも最近このような兆候を見せ始めていることです。またガボンもおかしな感じになってきています。狂気が伝染する前にムガベは排除するべきだと思いますが、確かにどうやってそれをやるかというのは頭の痛い問題であります。

0 件のコメント: