2008年12月18日木曜日

宇宙開発は無駄金か?


GIZMODOに素晴らしいスペースシャトルがボーイング747の屋根に乗っかって運ばれる写真が出ています。
特に真上から撮った写真がスゴイのですが、こういう写真を見るとやはりアメリカのデカさを感じてしまいます。こんなスゴイことを考えて作って実行してしまうその力はおそろしいモノがあります。今、こういう世界不況によって毎日のニュースがセコセコした寒いニュースばかりに塗りつぶされている時に、こういう雄大な写真は「希望」そのものという気がします。
こんなことが人間には可能なのです。力を合わせれば人の心から今、希望を奪っている不況も恐慌も乗り越えられるはずです。
ところで今、Dan BrownのDeception Pointという本を読んでいるのですが、これはラングドンシリーズとは全く違って、大統領選とNASAが舞台になっています。何年も目立った成果をあげられないNASAとそれを擁護する現大統領、そして次期大統領の座を狙う上院議員がNASAは無駄だ、その予算を教育に回せと主張して対立。そこで、北極の氷河の氷の中から巨大な隕石が見つかり、そこには化石化した地球外生命体が封じ込められている。しかし、調べていくうちにいくつもおかしな点が出てきて、調査する民間の科学者が次々と何者かによって消されていく・・・というプロットなのですが、とても面白いです。
ここで面白いのはNASAつまり「宇宙開発が無駄金か否か?」という点だと思うのです。小説では教育に金を落とすべきだという上院議員は一応悪者扱いですが、特にこれはおかしな主張でもありません。
今は日本でもマスコミやオンブスマンが公共事業の無駄をネタにしています。これも極めて健全なことです。
しかし、考えなければいけないのは政治は国の「事業」を取り仕切るべきであって、ポピュリズムに流された政治こそ「腐敗の源」だということなのです。例えば、「わたしの仕事館」というムダな公共事業のヤリ玉にあげられている雇用能力開発機構の施設があります。確かに、この施設はムダだし、なんとかするべきでしょう。しかし、雇用能力開発機構そのものを解体しろ、という話になるのはバカげています。そして、国がこれを解体してそのあとは都道府県でなんとかしろというのはもっと馬鹿げています。この機構には果たすべき国の機能が託されているわけで、その「事業」そのものを国がそんなに簡単に投げ捨てていいはずがないのです。「わたしの仕事館」が問題ならそれをなんとかすればいい、天下りが問題なら天下りをなんとかすべきなのであって、事業そのものを投げ捨てるのはそれとは全く別のことだし、それが単なる国民に対する人気取りのアピールならまったくけしからんことです。
もし、アメリカがNASAをムダだとし、NASAを解体するなんて言い出した日には、こんな素晴らしい写真はお目にかかれなくなるのです。前の不況を乗り切ったルーズベルト大統領の「ニューディール政策」は国主導の事業を大規模に展開して雇用を確保する政策でした。
不況のときほど、政府が先頭に立って大きな「事業」を興すことが必要なのです。一見、無駄に見えることが数年後、数十年後に大きな実を結ぶ、または歴史を変えるようなパラダイムシフトの起爆剤になることだってあります。でも、そういう夢を信じなければ、芽は摘み取られ、絶対に実を結びません。今、世界で起こっていることは、保身とサバイバルのために片っ端からこういう芽を摘み取っている、そういう行為に見えて仕方ありません。
ただ、無駄に見えることとはいっても、例の給付金だとか、某証券会社が安いからといってアメリカの証券会社を買ったりするのはどこまでいってもムダにしか見えませんが・・・

写真はNASAのイメージギャラリーより。

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