2008年12月1日月曜日

World AIDS Day


今日、12月1日は世界AIDSデーです。
ということで、アフリカにおけるHIV感染について少し書きます。国連のUNAIDSのサイトに詳しい統計や説明が載っています。この中からアフリカに関するところを取り出してみました。
分布図を見ると、1990年ではウガンダとボツワナが非常に高いのが目立っていますが、それから南部アフリカにどっと広がっているのが分かります。また、南アフリカの中のスワジランドとレソトも感染率が高いことが目立ちます。HIVウイルスは大きくわけて2つの型があり、それぞれ別のものから変異したものと考えられています。アフリカではこのうちHIV-2型が多く確認されているそうです。しかし、HIVは変異しやすいウイルスで数えきれないほどの亜種があり、このことが有効な抗HIV薬の開発を難しいものにしています。

ご存知の通り、HIVは性行為によって感染しますが、これは人口を保つには必要な行為です。よって、「するな」というキャンペーンはかなり無理があります。ウガンダでは教会などを通してこのキャンペーンをやっています。そのせいもあってウガンダにおけるHIV感染率はある程度下がっていますが、最近はまた上昇に転じているという話もあります。また、この感染率の統計にしたところで、本当に実態を表しているかはわからないのです。というのは、HIVの検査は自らすすんで受けなければされません。そして検査を受けなければ感染しているかどうかはわからないのです。検査率が低ければ、感染率統計も下がってしまいます。先日も、あくまで数学モデル上の話ですが、アフリカでもれなく検査が行われ、対処療法が行われたと仮定すれば、10年でHIVを撲滅できるという結果も出ています。それほど、検査は大事なのです。もちろん、アフリカでもほとんどHIVの検査は無料かつ匿名で受けることができます。それは日本よりも簡単に受けることができるとも言えるでしょう。日本だと保健所で1ヶ月に1回とか、予約が必要とか、検査結果を知るのに1週間もかかるという全くまじめに取り組んでいるとは言えないお寒い状況ですが、アフリカの都市部では毎日即日テストを行っているところがほとんどです。また、この検査にも落とし穴があって、HIV感染には「ウインドウ期間」といって感染してから2ヶ月〜3ヶ月の間、感染していても検査に現れない期間があるのです。つまり、検査前3ヶ月以内に性行為があればたとえ結果が陰性であってもそれが信用できない、ということなのです。これはあまり現実的な数字とは言えません。今のところ「毎年定期的に検査を受ける」というのが推奨されていますが、これは感染の危険性を減少させるものであっても、なくすものにはならないのです。とはいえ、抗HIV薬の開発はスピードが遅くても進んでいて、HIV感染しても免疫力を落とさない薬が開発されていますし、出産時の垂直感染(母子感染)を防ぐ薬もあります。ということで検査していれば新生児がHIVに感染することを防ぐことができるわけです。
HIVに感染すると免疫力が下がるので、今南アフリカなどでは結核が再び問題になっています。もともと結核はアフリカにはまだ相当感染者がいて、これは他の病気に比べてドナーなどが少なく、対策が進んでいないのです。ニジェールにいた時、WHOの人が嘆いていました。
さて、このHIV、結核、そしてマラリアに対する簡単な援助を行うことができるのをご存知でしょうか?
それがU2のボノが推進しているProject REDです。これは、REDの協賛企業の製品を買うことによってその売り上げの一部が、エイズ結核マラリア財団グローバルファンドに寄付されるというものです。AppleやDELL、GAPやStarbucksも協賛企業です。AppleのRED対象製品は赤いiPod ShuffleとNanoです。優れた製品を手に入れられて、かつ苦しんでいる人の役に立つ。こんないい方法は他にありません。これらはApple直営店でしか手に入りませんが、この機会にぜひご検討ください。

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