2008年12月31日水曜日

Ghana:選挙結果の公表遅延


Afrik.comによると、本日予定されていたガーナの大統領選挙第二回投票の結果発表は土曜日まで持ち越されることとなりました。
その理由は中央のTain地区における投票が、機材の不備でまだ行われていないためとしています。それ以外の結果ではJohn Atta-Mills候補4 501 466 票 (50,13 %)、Nana Akufo-Addo候補4 478 411 (49,87 %) と接戦となっており、Tain地区での投票結果によっては結果が入れ替わることもあり得るということです。

MS:Pay as You Go PC??

Engadgetの記事より。
これは特許局の情報からなのですが、今でもサーバにすべてのアプリケーションとデータを置き、端末には何ものこさない「シンクライアント」というのは企業内のイントラネットなどではすでにありますが、この考えをパブリックなレベルにまで高めたコンセプトがこれ、「Pay As You Go」らしいです。
つまり、シンクライアントやネットブック、そしてブラウザOSの行き着く先は「単体では何も出来ない端末」。そしてその接続そのものを有料化するというビジネスモデルです。しかし、ちょっと考えればこのモデル自体は何も新しいものではなく、今の携帯電話会社のビジネスモデルがコレだと言えます。しかも、有料で起動しないと何も出来ないというのは極めてウザいでしょう。いかにもMSらしい、嫌なビジネスモデルです。
確かに「空っぽの端末」と「アプリケーション等の集中管理」は技術的には目指すところとして間違っていないと思います。しかし、それをビジネスにつなげるやり方がいかにも前世紀的すぎます。MSは本当に新しいITビジネスを学んでいるのでしょうか?Googleがサイトにアクセスするのにいちいち課金したら、Googleは成り立つのでしょうか?あるいはiTunesが有料ソフトだったり、iTunes Storeのコンテンツが全部有料だったらだれが使うでしょうか?
しかも課金体型が時間単位だという・・・
正直、冗談としか思えません。

2008年12月30日火曜日

Africa:News Round Up 12/30


まずは12/28に投票が行われたガーナの大統領選ですが、まだ公式な発表はないものの、野党のリーダーのJohn Evans Atta-Mills候補が僅差でリードしていると伝えられています。この予想をうけて、与党側が投票結果を有利に操作しようとしているという噂が立ち、選挙管理委員会に野党の支持者が押し掛け、騒ぎになっているようです。(All Africaの記事)野党の代表は支持者に平静を保ち選挙管理委員会の最終結果発表を待つよう呼びかけています。

次にギニアですが、ワッド大統領がクーデター側を支持したのに対し、AUアフリカ連合は、ギニアを一時的な除名処分にしました。アフリカ連合としては憲法のない国をメンバーとしては認めるわけにはいかない、というのがAUの主張です。またECOWASはギニアの新政権と協力していくことを発表していますが、2年後という選挙の時期については遅すぎる、容認できないとしています。先進国側の反応はクーデター非難以降あまり聞こえてきませんが、様子見というところでしょうか。コナクリの様子は落ち着いているようです。クーデター以後出されていた夜間外出禁止令も解かれました。また新大統領ムサ・ダディス・カマラは22人の軍幹部を定年退職させました。政府内のコンテの負の遺産をまずは外科手術で切り捨てようということなのでしょう。彼の動きはかなり知的で速いように思います。もちろん、ギニアで一番カネが動く鉱山省には真っ先に一石を投じていますし。またBBCによると、ギニアの暫定政権はKabine Komara氏を首相に任命しました。コマラ氏はエジプトのカイロに本部を置くアフリカ輸出入銀行の幹部だということです。これを見てもわかるようにコートジボワールやモーリタニアの軍事クーデターとギニアのそれは性格が違うし、カマラ大統領はかなりバランス感覚のある策士なのかもしれません。

ナイジェリアはなんだかよくわからないのですが、今になってビアフラ戦争の残党がおかしな動きを見せていたりします。そんな中、UNIDOが水力発電可能な250の場所を見つけたとAfrique en Ligneが伝えています。これは電力ハングリーなナイジェリアにとって朗報と言えるでしょう。

RDCは動きが鈍くなっているのですが、何とンクンダが国連に対して「コンゴ民軍をなんとかしてくれ」と苦情を申し立てているということです。ンクンダによれば、FARDCは停戦協定を守っていないということです。(Afrik.comの記事
また、この「ルワンダ戦線」とは別の「ウガンダ戦線」においてLRA (The Lord's Resistance Army)のゲリラが400人あまりの民間人を殺害したとRomandie.comが伝えています。JeuneAfriqueの伝えるところでは国連のソースでは200人となっています。

最後に、ジンバブエですが、コレラによる死者は1500人を超えたそうです。また、難民化した人々が南ア国境に押し寄せている、ということです。

2008年12月27日土曜日

Guinee:ワッド大統領が新政権を支持


パリに滞在中のセネガルのワッド大統領が外国の元首としてははじめてギニアのクーデターを支持、国際社会に理解と協力を要請しました。ワッド大統領の談話によると、カマラ新大統領との電話会談において好印象を受けたらしく、「軍人が『民主的選挙を実施して、自らは部隊に帰る』と言うのをはじめて聞いた」ということです。(Jeune Afriqueの記事)また、ワッド大統領は論争の種となっている選挙の実施時期については、数ヶ月の時間がかかり、憲法で決められているような60日という短期間では無理、とある程度の理解を示した上で早期実施を期待するとしています。

さて、Afrique en Ligneが早速、新大統領ムサ・ダディス・カマラのバイオグラフィを掲載しているので、ご紹介しておきます。
1964年にギニア南部、コナクリから990km離れたN’Zérékoréで生まれる。初等および中等教育を終えた後、コナクリ大学で経済学を学び1989年に卒業。1990年に軍に入隊、コナクリから137km離れたKindiaで軍の訓練を受ける。1996年から1999年まで奨学金を得てドイツに留学。ギニアに帰国後、シエラレオネにおける国連軍に参加。2004年から2005年に再びドイツにて訓練を受ける。それ以降はギニア軍での幹部。

このように彼は生え抜きの軍人という訳ではないものの、大学を出てからはずっと軍人だったわけで、多少心配な点であります。経済学を学んでいることから、全くそちらを知らないわけではなく、その点では期待していいかもしれません。

しかし、今年8月にクーデターで政権が奪われたモーリタニアは当然のこと、ガンビアのヤヤ・ジェメも元は軍人ですし、ブルキナファソのブレーズ・コンパオレも軍人、ニジェールのママドゥ・タンジャもマリのアマドゥ・トゥーレも元軍人と軍人率が高いですね。民間人のプロの政治家というのが育ちにくい土壌なのでしょうか。

Info:DELL 22inchモニター導入


-お知らせ-
本日、DELL 22inchモニターを新しく1台導入しました。また、このモニターはDVI接続でMacMiniの美しいデジタルイメージを余すところなく活かします。現在のクライアント用マシン状況は以下の通りです。
1. CoreDuo1.66GHz RAM:2GB HDD:60GB Display: DELL 22inch Wide
2. CoreDuo1.66GHz RAM:2GB HDD:60GB Display: Acer 20inch Wide
3. CoreSolo 1.5GHz RAM: 2GB HDD:60GB Display: Acer 20inch Wide
4. CoreSolo 1.5GHz RAM:1.25GB HDD: 60GB Display: Stallion 17inch

2008年12月26日金曜日

Guinee:ランサナ・コンテ国葬


ギニアコナクリの情報です。France24の報道によると、本日故ランサナ・コンテ大統領の国葬が行われ、遺体は出身の村に埋葬される予定です。コナクリは徐々に落ち着きを取り戻しつつあるようです。旧政権の首相は、政権の継続を断念し、クーデター側と協力していくとしています。これによって、行政的な空白が生じることもなく、国としてのある程度の機能が継続される見通しとなりました。
ここに来て国際社会の反応がかなり出てきました。(ロイターの記事
まず、国連、アフリカ連合、ヨーロッパ連合はこのような武力による政権奪取を非難しました。アメリカもクーデターを非難し、政権を民間人の手に直ちにゆだねるよう求めています。昨日書いたカダフィの電話会談の結果はまだ聞こえてきませんが、カダフィは近年アフリカでかなり影響力を強めてきていることは確かです。CEN-SADというのは日本とかではあまり知られていませんが、「還サハラ連合」というもので、ASEANのようなものです。これはかなりECOWASとかぶっているのですが、ECOWASにはリビアなどの北アフリカ諸国は入っていないことから、CEN-SADの方がカバーする領域が広いと言えます。
アメリカやフランス、EUなどが非難している点の1つが2010年12月という選挙の遅さなのですが、先ほどFrance24で新しい大統領ムサ・ダディス・カマラがしゃべっているのを聞いていて、おや?と思ったのは、彼は「12ヶ月後に選挙を行う」と言っている気がしたのです。しかし2010年だとすると24ヶ月後。もしかして2009年の単なる間違いなんじゃないでしょうか?
とにかく、コートジボワールを見てもわかるように、選挙の日取りというのは一度伸ばし始めるとズルズルと果てしなく伸び始めるのです。日本の解散総選挙も同じような感じですね。でも、伸ばしたからといって良くなることなど何もないのです・・・
カマラ大統領がそれこそ「初心を忘れず」「前任者のような権力と汚職に染まる前に」選挙を行うことが必要でしょう。もし、カマラが民主的に選出された大統領の座を狙っているのなら、なおさら早い方がいい気がします。

Africa:News Round Up 12/26


今年のクリスマスは全世界的にあまりハッピーな人がいなかったのではないか?と思います。
バチカンの法王講話も「平和」というものを前面に押し出したものだったといいます。これは、全世界を巻き込むような戦争が終結して60年あまり、世界の平和を導いてきた「国際連合」の求心力というものが低下しているせいなのかもしれません。人間はいつまで争いを自ら求め、連帯して共存するということの尊さを踏みにじることを続けるのでしょうか?
しかし、この国連のほころびは他ならぬアメリカのイラク侵攻によって決定的になったと思います。新政権が国連を尊重するという強力なアピールをしないと、国連は今後、どんどん迷走する結果になる気がします。

まず、コンゴ民南部でエボラ出血熱が発生し、すでに9名が死亡、21名が発症していることが確認されているそうです。(JeuneAfriqueの記事)また、コンゴ民では今回のキブ州での内戦をうけ、東北部の中心都市カタンガから外国人ビジネスマンが大量に撤退をはじめているようです。

次にニジェールですが、来年12月に予定されている大統領選に向け、やはり3選を狙う親タンジャ派とそれを阻止しようとするグループの対立が激しくなってきました。タンジャにしてももともとは軍人出身でクーデターによって政権を奪ったという過去を持っています。ニジェールもまた、完全に民主的なプロセスによって政権交代がなされたことがない国なのです。また、タンジャについては健康状態が優れないとも言われており、政権途中でタンジャが死んだりすれば、今回のギニアと同じ運命をたどることになります。もちろん、タンジャはコンテとは違って独裁的とは言えないし、非常に温厚な大統領ということで、国民や国際社会の受けもいいというところが違います。だからなおさらタンジャにはディウフやオバサンジョ、クフォやケレクのように憲法を曲げて権力の座に納まるのではなく、身を引いて新しい大統領に任せてほしいと思うのです。

ガーナは今週末予定されている大統領選の第二回投票に向けて、隣国(コートジボワール、トーゴ、ブルキナファソ)との国境を26日から29日まで閉鎖しています。陸路での移動はできません。またECOWASはこの投票に際して、再び平和裡に投票を行うよう呼びかけました。

最後にいっこうに出口が見えないジンバブエですが、某所で「ムガベを非難してもはじまらない」という意見を見ました。しかし、ジンバブエを私物化し、政権交代どころか連立の道すら拒絶しているのはムガベ本人で他の誰でもありません。現職の大統領というのは職務と責任がともなうものです。日本で田母神の問題が起こったときも、こういう混同をしてる人がたくさんいました。彼が単なる私人としてあの「論文」を出したとすればそれは単に個人の表現の自由に属するもので何ら問題はなかったのです。しかし、彼はそれを現職の航空自衛隊の幕僚長という立場でやったからまずいのです。ジンバブエのムガベも同じです。彼は大統領として国民の安全と繁栄と自由を守らなければならないのに、それと全く反対のことをやっているから非難されているのです。もし、ムガベが今本当にジンバブエ国民のことを考えるのであればさっさと身を引いて亡命するべきなのです。それが、大統領という役職に課せられた「責任」というものだと思います。そういう責任を果たさず、なんでも英米のせいにして保身を図る様子は卑怯としか言いようがありません。あらゆる非難をうけて当然です。

Guinee:暫定軍事政権


-UPDATE-
ギニアの状況はまだまだ混沌としていますが、旧政権がクーデター側に屈する形に傾いています。昨日、クーデター側はCNDD (Conseil National de la Democratie et le Developpement) として32名のボードを発表し、ムサ・ダディス・カマラ大尉を暫定大統領とし、2010年12月に民主的な選挙を行い、新政権を発足させるとしています。
しかし、軍事暫定政権につきものの武力による個人財産などの押収などはすでにはじまっており、旧政権の高官が今はそのターゲットになっています。市民レベルではこの軍事政権は支持を得ているようで、旧政権がいかに民衆の支持を得ていなかったか伺えます。
また、ECOWASとCEN-SADはこのクーデターを非難する声明を昨日出しています。他のアフリカ諸国元首の公式な反応はまだ聞こえてきません。唯一リベリアのサーリーフ大統領が安全上の懸念を表明しているようです。また、リビアのカダフィ大佐とベナンのボニ大統領、マリのトゥーレ大統領がこの問題について電話会談を行っているそうです。
この問題がこれからどうなっていくのか、まだ何とも言えない状態だと思いますが、脆弱な平静状態にあるコートジボワールやシエラレオネに悪影響を与えないか心配です。

2008年12月25日木曜日

MacOS:Power Mac G4修理


おとといの夜、故障したMacが持ち込まれました。昔懐かしい初代のPowerMacG4です。立ち上げてみると、なんとあのGrey Screen of Deathが!!GSODとはWindowsのBlue Screen Of Deathと同じく、もうOSがにっちもさっちもいかなくなってしまった状態です。

Macの場合、カーネルパニックと呼ばれていて、たいがいハードウェアに問題のある時に出ます。私も昔PowerBook G4 Titaniumのハードディスクが死んだ時に見た以来だったので、そのことを忘れていて単純にOSを再インストールしようとしたら、途中で失敗するのです。仕方ないのでフタを開けます。それにしてもこのG4は中をいじるには素晴らしいデザインで、ドアを開けるだけでほとんどすべてにアクセスできるのです。そうしたらこれはダブルプロセッサでした。初めて見ました・・・そしてRAMは4スロットすべて埋まっています。私はここに(今は使ってない)G4 Quick Silverを持っているので、これのインストールディスクを探していると、そのなかにApple Hardware Testのディスクを発見。これは今まで使ったことがなかったのですが、使ってみることにしました。C起動してディスクから立ち上げるとOS9っぽいアイコンが出て、テストスイートが立ち上がります。そしてこれを実行すると、ハードウェアをチェックしてくれるのです。
そして、メモリーにエラーが見つかりました。電源を切り、メモリを全部外してチェックします。256が3枚、512が1枚という構成。512は明らかに後から刺した感じのサードパーティー製だったので、これを除く3枚で再びハードウェアをチェックすると、テスト合格。
そしてインストールもすんなりと終了。

Africa:難民をどうするか?


現在ではRDC東部で多くの難民が出ていますが、アフリカにはその他にもたくさんの場所で難民が出ています。
難民の側も大変ですが、それを受け入れる方も大変です。受け入れ国、そして受け入れるキャンプを運営する機関、そして難民になったはいいものの、いつまでも人道的支援に頼って生活するわけにもいきません。
ルワンダのジェノサイドの際にダカールまで逃げてきたルワンダ人もいました。その人たちは難民の申請をして、難民というステータスを得るとここでいることは出来たようです。特に支援を受けていたわけではないようで、家族などを頼ってきた人がほとんどのようです。またルワンダなど名前の通った難民だとヨーロッパに移住するのもハードルが低くなるようです。
しかし、もちろんそのようなことを出来るのはほんの一握りの恵まれた難民だけで、多くの難民はそんなお金はありませんし、チャンスもないのです。
現在、ジンバブエから難民が出ている隣国のボツワナでは難民の流入を避けるために電気フェンスを導入することも考えているそうです。
そんな中、タンザニア政府がブルンジ難民に対して、キャンプを閉鎖するに従い、ブルンジに戻るかタンザニア市民になるかの選択をするように提案したそうです。これは、なかなか太っ腹な取り計らいだといえるでしょう。実態としてすでに難民キャンプで産まれた子供達が勤労年齢に達していて、労働に従事しているというのもあるのでしょうが、難民というステータスで働くのとタンザニア市民としてタンザニアでの生活の道が開かれるというのの差は非常に大きいと思います。
このようにアフリカらしいおおらかな難民に対する対応が増えていくといいと思います。

Guinee:ギニアのたどった歴史


今回、まるで時代を何十年か遡ったような、大統領死後の混乱状態になっていますが、これはギニアがたどった歴史を見ればなんとなく理解できるものなのです。1950年代後半、ヨーロッパは植民地支配をあきらめ、旧植民地を徐々に独立させ、これらの国がその国のリーダーによって導かれるようにしていきました。この時代は多分アフリカがもっとも希望に輝いていた時代なのではなかったかと思います。フランスは旧植民地とのつながりを保ったままの独立を目指す政策をとります。しかし、ギニアだけはこの政策をはねつけ、旧宗主国と完全に袂を分かった道を選んだのです。そして他のアフリカ諸国に先立つこと2年、1958年にセク・トゥーレのもと、ギニアは独立します。フランスはこのギニアの姿勢に不満で、ギニアのフランス人はギニアを去るにあたって机まで持ち去ったと言われています。
このあたり、ルワンダについて書いた「憎悪と独立心」に通じるものがあるわけで、私がこれからのルワンダを心配するのはその点なのです。さて、ギニアは完全に孤立した状態になるわけですが、このような若い、できたばかりのアフリカの小国が国際社会でやっていけるはずもなく、セク・トゥーレは援助を求めてソビエトに歩み寄ります。このプロセスの中で多分、セク・トゥーレの夢と正常さが崩壊していったのかもしれません。独立の際にセク・トゥーレは「隷属のもとの豊かさよりも、自由のもとでの貧困を選ぶ」と言ったそうですが、この貧困は本当に高くついたのです。社会主義も彼の夢を実現させるにはほど遠く、人民の不満は高まり、彼の人気は落ち、政敵に悩まされ孤立化したトゥーレは秘密警察を使った逮捕・拷問による恐怖政治に走ります。そして失意の中、1984年に病死。その後、無血クーデターによって軍人のランサナ・コンテ大佐が政権を握ります。このプロセスは、今回のクーデターの一種のお手本になっている気がします。農民の息子であり、職業軍人であったランサナ・コンテの足跡は明らかに次の世代に引き継がれようとしています。また、今回の反乱分子がまずテレビ・ラジオ局を押さえ、占拠し声明を出すところなどはコートジボワールのロベール・ゲイの模倣にも見えます。ランサナ・コンテという人物はある意味、セク・トゥーレとは正反対のタイプであるように思えます。彼にはトゥーレを突き動かしていた夢や理想、病的ともいえる独立心はありませんでした。トゥーレがある意味イデオロギーの怪物であったといえるのに対し、コンテはそういうものを一切持っていなかった。彼はトゥーレという怪物の後釜に座っただけの凡人だったといえるでしょう。しかし、彼は平民出身の職業軍人らしく、造反するものをいち早く感知し、排除することで権力の座を死ぬまで守り抜くのです。トゥーレは恐れられたのと同じくらい人々の心に刻み付けられている。今でも自分の子供にセクという名前をつける親は結構います。それに比べてコンテの人気は驚くほど低いのです。ギニアの貧困を逃れてダカールにやってきたギニア人はコンテを憎んでいます。
ギニアには世界有数のボーキサイトの鉱山があります。また、山岳地帯では金も産出されます。そういう意味ではギニアが今の状態のようにほとんど存在しない公共インフラやら、国民のほとんどが貧困状態にあるなどという状態自体が異常だといえます。
例えるならセネガルが西アフリカにおける民主化、近代化のお手本であるのと同じくらいギニアは悪いガバナンスの見本なのです。
さらに、ギニアの歴史に影を落とすのが隣国における争乱です。90年代に相次いでリベリア、シエラレオネが内戦に突入し、戦火を逃れた難民がギニアに流入しました。また、この内戦の最中にこの地に入り込んだ武器商人や傭兵が跋扈することになるのです。
今回の争乱がうまく収まり、よい指導者が政権をとればギニアはようやく正常な発展のスタートに立てるのかもしれません。今までギニアの人々が味わってきた辛苦を考えるとそうなってほしいと願わずにいられません。そして、セク・トゥーレの夢見ていたようなギニアになっていってほしいと思うのです。

2008年12月24日水曜日

Senegal:ケドゥグで暴動


12/23日、セネガル東南部のケドゥグで暴動があり、1名死亡、6名が重傷を負い、政府の建造物が破壊や焼き討ちにあいました。
ケドゥグはセネガルの最も奥地に位置し、ギニアとの国境に近い街ですが、長年その遠隔地であることからセネガルの中でも最も発展の遅れた地域です。その反面、ニオコロコバ国立公園やバサリ族の祭りなど、外国人観光客にはポピュラーな土地でもあります。かなり昔からこの地方の地下に金鉱があることはわかっていましたが、数年前から本格的な調査が行われ、存在が確認されたことから注目を集め始めます。そして、政府は外国人投資家に対して土地や採掘権を売り始めたのです。
しかし、蚊帳の外に置かれているのがケドゥグの民衆、特に不満を募らせたのが仕事のない若年層です。もともと土地の所有権はあいまいなもので、ちゃんとした取り引きがなされたわけでもなく、適当に政府が接収して、それを外国人にどんどん売り渡しているわけですから軋轢が生じるのは当然なのです。
この地域出身の大物政治家ダンソコ氏は、この問題は今後もっと大きくなる。カザマンス以上の問題になると警告しています。
折しも、セネガルは今問題の多い国に囲まれた形になっています。ギニアコナクリは無政府状態、ギニアビサウはクーデター失敗、マリはトアレグ問題があり、モーリタニアはクーデター後の軍事政権です。武器がこれらの地域から流入して不満分子に渡れば、いかに治安のいい方に入るセネガルでもどうなるかわかりません。

Guinee:不透明な混乱状態


-UPDATE-
クーデターから一夜明けましたが、ギニアコナクリの状況はさらに混迷の度を深めています。昨日午後には旧政権の首相が電話取材に答えて、政権は倒されていないと語ったり、軍の内部にも分裂があることなどがわかってきました。昨夜の状況では、これはクーデター失敗か?という読みになってきたのですが、今朝、クーデター後はじめてテレビで、反乱側が声明を出し、「旧政権は倒された。2010年の12月に民主的選挙を行う。」と発表しました。
ギニアについては、昨日からかなりの量の分析が各種サイトに上がっていますので、これはまた後ほどお伝えすることとします。

2008年12月23日火曜日

Guinee:ダカールのギニア人


ギニアコナクリの状況は非常に混沌としていて正確な状況というものが見えてきませんが、実はダカールにはたくさんのギニア人がいます。街の中心の独立広場で車を洗ってくれる人たちはほとんどギニア人ですし、床屋もギニア人が多いし、うちの前のブティックもギニア人です。ブティックは昔、セネガルとモーリタニアの関係が悪化するまではほとんどがモーリタニア人だったのですが、モーリタニア人が去った後、その後を担ったのはセネガル人ではなく、ギニア人でした。セネガル人はお世辞にも勤勉とは言えず、細かい金や在庫の管理が必要なブティック経営に必ず失敗するのです。その点、ギニア人は働き者で国の給与レベルに比べてダカールでの稼ぎははるかに多いらしいのです。
さて、今回のクーデターですがダカールの街の声は驚いたことに「いいことだ」「仕方ない」というのが多いのです。France24でもギニア人の識者を招いてインタビューしていますが、彼の意見でも「いいことだ」ということなのです。ニュースのプレゼンターが驚いて「でも民主的なプロセスによる政権交代というオプションは考えられないのか?」と質問していましたが、識者の答えは「それはこれまでに何回も試してきたが成功しなかったのだ。これでようやくギニアは圧政から脱し、正常な発展を望むことが出来る。」というものでした。
France24のサイトによると、ギニアの憲法には国家元首が死亡した場合のプロセスが明記されています。それによると、「国民議会の議長が大統領代行を務め、60日以内に大統領選挙を実施する」ということなのですが、軍隊の声明で「憲法を停止する」とあったのはこの条項を回避するためのものだったと考えられます。
このあたりにアフリカの民主化というものの幼さというか脆さというものを感じてしまいます。
故ランサナ・コンテ大統領は社会主義からギニアを脱出させましたが、その後は独裁者に変貌し、政敵のアルファ・コンデ氏をはじめとして弾圧を繰り返し、拷問などが常態化する非民主的な大統領だったということです。
-UPDATE-
現在のFrance24のお昼の報道では国民議会の議長アブバカー・ソンパレ氏の直接電話取材に成功し、この軍事クーデターを「軍の内部も分裂しており、すべての軍がクーデター側についているわけではない」と評しています。ということで、このクーデターは失敗に終わった可能性もあります。

Guinee:軍事クーデター


-速報-
Round-Upをポストした直後に入ってきたのですが、ギニアでクーデターが起き、軍部が政権を握ったようです。(BBCの記事

AFrica:News Round Up 12/23


まず、昨日ギニアのランサナ・コンテ大統領がなくなったそうです。コンテ大統領はもうしばらく前から姿を見せていないことから、2週間ほど前から死亡説がささやかれており、この死亡説を流布した新聞のジャーナリストが逮捕されたりしていました。ギニアは人としては他の西アフリカ諸国とそんなに変わらないのですが、歴史はかなり違います。独立は1958年とアフリカ元年より2年早く、しかも建国の父、セク・トゥーレはかなり徹底した社会主義とそれにともなう恐怖政治を行いました。そのため、隣国に比べてインフラ施設などで大きく遅れを取り、貧困が早く進行しました。セク・トゥーレの死後、軍事クーデターによってランサナ・コンテが政権を握り、それ以来ずっとコンテが政権を握っています。コンテはトゥーレとは違い、ギニアは社会主義を捨て、国際協調の道を選ぶのですが、2007年からはストライキなどが起こり、少々ゴタゴタしはじめたことろで今回の大統領の死亡。一度も平和裡に政権交代が行われたことのないこの国でどんなことが起きるのか、心配です。特に、ランサナ・コンテの最大の政敵であるアルファ・コンデ氏がまるで見計らったように12/21に亡命先からコナクリ入りしています。(Afrik.comの記事
また、コナクリから350kmほど離れたピタの監獄から、唐辛子入りの水を使って看守の目をくらまし、42名が脱獄に成功したそうです。

次にマリのトアレグ問題ですが、私が読んだ記事では犯行グループは麻薬密売人とあったのですが、JeuneAfriqueなどでは犯行グループをトアレグ族であるとしています。またトゥーレ大統領の談話も、北部の問題を起こしているトアレグゲリラとの対決姿勢に入った、と伝えています。また一方で、ギニア=マリルートで2008年には200kgものコカイン輸送が摘発されており、麻薬密売人というのももっともらしい話なのです。(Afrique en Ligneの記事)一体、どっちなのか、今後も見守って行きたいと思います。

Afrik.comが伝えるところによるとソマリアの状態は、「名のないジェノサイド」に等しいということです。平和というのは戦争をやっている本人達が求めなければはじまらない気がします。

しかし、大統領が国全体を私物化しているジンバブエもそういう意味では立派なジェノサイドだと思うのですが。と、思っていたらAllAfricaが同じことを書いてました。

モーリタニアでは監禁されていた前大統領を釈放しましたが、前大統領は自分が今でも大統領であると主張しており、まだまだゴタゴタが続きそうです。(Afrik.comの記事

今月初めに平和裡に投票を終えたガーナですが、ECOWASなどがこのプロセスの成功を評価する一方、現地では有力政治家が民衆に「平静」を訴えるなど、第2回選はなんとなくキナ臭い感じが漂っています。

JeuneAfriqueが伝えるところによるとビサウは麻薬取り引きの舞台になっているということです。

2008年12月22日月曜日

Mali:軍事施設が襲撃される


12/21の朝4時頃、首都バマコから約500km北西のナンパラというところにある軍事施設が20台あまりの4駆に分乗した武装グループに襲撃されたとマリ通信が発表し、マリの防衛省が確認しています。この襲撃で10人あまりの軍人が死亡、12人が負傷したということです。この武装グループはトアレグ族に化けた麻薬密輸グループであるとしています。襲撃のあと、武装グループはナンパラの施設にあった武器を奪い、モーリタニア方面に逃亡したということです。
現在カイを訪れているマリ大統領は国民に落ち着いて国民としてまとまるよう呼びかけました。また、「何の声明もないマージナルな盗賊であり、国の発展を阻むもの」と犯行グループを評し、マリ北部で断続的に起きているこのような事態を憂慮しているが、マリはアルジェ合意に従い、マリ北部に平和と発展をもたらすことを強調しました。(Afrique en Ligneの記事

さて、この事件でキーとなるのは2つあります。1つはモーリタニア、もう1つはトアレグ問題です。まず、モーリタニアですが前に一度書いた通り、8月にクーデターがあり、軍部が政権を握っている状態で、こういう状態は確かに外から武器などが入りやすい状況にある上、モーリタニアの北には未だに政治の空白地帯である「西サハラ」があります。ヨーロッパの漁業権を巡る圧力で、モーリタニア政府はようやく前大統領を釈放したようですが、民主化については振り出し以前に戻ってしまったわけで、心配な状況は続くでしょう。
次にトアレグ問題ですが、マリの防衛省が直ちにこの事件をトアレグと切り離したのを見てもわかるように、マリにとって非常にデリケートな問題です。トアレグといえば先日のニジェールにおける国連のカナダ人誘拐事件ですが、まだ解放されていません。ニジェール人の友達に電話する機会があったのでこれについて聞いてみたのですが、「大丈夫、解放されるよ。」と楽観的でした。ニアメは特に危機感のあるような状態ではないようです。

2008年12月20日土曜日

Zimbabwe:ムガベを突き動かすもの


今日は少しジンバブエについて書きます。これまで書かなかったのはこの国を直接知っているわけでもなければ、他にジンバブエについて書いているブロガーの人がいるからですが、ジンバブエの局地的問題としてではなくパンアフリカンな視点から捉えてみたいと思います。
まず、一連の凋落が始まる前のジンバブエという国ですが、私が協力隊員だったころには隊員も派遣されていました。気候もよく、豊かな農産国で観光資源もあり、暮らしやすい国だったと聞いています。しかし、1999年にコンゴ民に派兵したことからジンバブエの凋落が始まります。このコンゴ民への派兵は同国内にムガベ一族が持っていたダイヤモンド鉱山の利権を守るためだったと言われていますが、やはりというかなんというか、元を正せば問題の発端はやっぱりコンゴ民とその資源なのです。そういう意味では今のコンゴ民問題と無関係ではありません。さて、このコンゴ民派兵で国際的な非難を浴びたムガベが次に乗ったのは白人の排斥運動です。隣の南アフリカは生まれて間もない黒人政権、政権はとったものの相変わらず変わらない黒人の貧困状態などから、火をつけやすい状態だったわけです。そして、白人所有の大農場を次々と強制接収し、民心を買おうとします。しかし、同時にムガベは国際社会の非難を買い、ジンバブエの産業基盤を破壊してしまいました。そして、天文学的な通貨の下落、インフレ、貧困の激しい進行、公共サービスの崩壊、コレラ禍・・・と続いていくわけです。
つい先日はムガベは強権発動できないアフリカの他の国家元首を臆病者呼ばわりしています。ここまで来るとほとんどサダム・フセインと言えます。しかし、現状ではジンバブエにかまっていられるのはNGOくらいなもの、というのも事実なのです。コンゴ民問題をはじめ、アフリカには問題がたくさんあり、他国の問題にかまっている余裕はありません。国際社会も世界不況の中、手一杯です。そしてアメリカですがイラクほど積極的に関与することはない気がします。戦争に疲れているアメリカが軍需景気をもくろんでジンバブエに介入するというシナリオは考えにくい。
ムガベを見ていると思い出すのは他でもない地獄の黙示録のカーツ大佐ですが、ムガベを突き動かしているのはやはり「欲と憎悪」なのでしょう。権力欲、金銭欲そして白人に対する憎悪がムガベの狂気を突き動かしている。狂人の恐いところは、周りからは狂気に見えることが本人にとっては極めて論理的で正常に見えているところです。そして心配なのはルワンダのカガメも最近このような兆候を見せ始めていることです。またガボンもおかしな感じになってきています。狂気が伝染する前にムガベは排除するべきだと思いますが、確かにどうやってそれをやるかというのは頭の痛い問題であります。

2008年12月19日金曜日

MS:Mac向け戦略を転換か?

先日はMSがはじめてiPhone用アプリをApp Storeに登場させて話題になりましたが、今度はCnetから、来年早々Mac用のMSNメッセンジャーが大きくアップデートされ、Webcam対応を果たすらしい、という話が出てきました。
それ自体は、別にYahoo Messengerなんてもう3年も前から対応してるし、目新しい話でもなく、それよりはMSNメッセンジャーのSPAMをなんとかしてほしいところですが、注目したいところは、これらの動きの後ろにあるものでしょう。MSは今までOfficeやMessengerなど同社の看板ソフトの開発においてMac版を常に機能制限したり、開発を遅らせるなどをしてきました。それは、ユーザを「囲い込む」という戦略でした。これは数々のメジャーなPCメーカーの協力を得て、うまくいったように見えましたが、ここで登場するのがVISTAショックです。MSはXPからVISTAへの移行に完全に失敗したのです。これはOSがメインプロダクトであるMSにとっては致命的でした。そこで、今更Yahooを買収しようとしたり、Zuneを作ってみたりしたものの、どれも芳しくない。その間にAppleはiPodを携帯音楽プレーヤの代名詞にまで成長させ、その力を持ってiPhoneを投入、iTunes StoreやApp Storeという新しいビジネスモデルを作ってしまいました。そして、このことがPCからMacへの乗り換えまでを招いているわけです。ここにきて、MSが同じような「囲い込み」戦略をとっていれば、ユーザのMS離れを引き起こすと考えたのでしょう。今度はAppleのプラットフォームの上でのMSの存在感を高める方に注力し始めた、ということなのではないでしょうか。これはいいことだと思います。MSとAppleはお互いを必要としていると思います。少なくとも独禁法に抵触しないでいられるという意味で・・・
まあ、Appleにしても例えばWin用のQT Playerはひどい出来という話だし、Win用のiTunesやSafariも出た当時はひどい評判でした。最近はあまりそういう話は聞かなくなりましたが、依然としてこれらのアプリケーションはMacOSと動いた時最高のパフォーマンスを見せることは事実だと思いますが。
GoogleがChromeを作って、Mac用には作らないのはもしかしたらWin用のSafariの出来に我慢ならなかったGoogleが自分でWebKit使って作っちゃった、ということなのかもしれません。

RDC:ミックジャガーとベンアフレック


この2人がUNHCRに協力し、RDCの難民のために2300万ドルを集めるGimme Shelterキャンペーンを始めました。その中心となるのがストーンズの"Gimme Shelter"をフィーチャーし、ベンアフレックがメガホンをとったビデオです。
UNHCRのYouTubeチャンネルに4本のショートフィルムがアップされています。

2008年12月18日木曜日

Rwanda:憎悪と独立心


ルワンダ周辺が最近騒がしいです。ルワンダは1994年のジェノサイドを本当に乗り越えられたのでしょうか?残念ながら、その答えはNoのように思います。International Criminal Tribunal for Rwanda (ICTR) はタンザニアのアリューシャに勾留されているJoseph Nzabirindaを釈放することを発表しました、また、最近マリに何人かの容疑者の身柄を移しましたがルワンダ政府は彼らの身柄をルワンダ国内に移すようICTRに求めています。先日ドイツで拘束され、フランスに身柄を移された後、条件付き釈放されたものの、事実上フランス国内から出られないローズ女史もそのままです。そして、もちろんコンゴ民東部のゲリラ、ンクンダとキガリの密接な関係も大きな問題です。
ここにきて、ジェノサイドの古傷がいくつも口をあけ、見かけ上平静を保ってきたものが再燃しそうな怪しい雲行きに見えます。その中心人物は他ならぬ大統領ポール・カガメです。
この人物、先日書きましたが公用語をフランス語から英語に変えてしまうなど、独立心が旺盛なのはすごくいいことだと思うのですが、今度は「援助依存を終わりにする」とぶちあげました。(AllAfricaの記事)もちろん、これは表面上とてもいいことです。アフリカの国が脱援助を目指すのは国際社会が望むところでさえある。大統領がそれを目標としてあげるのはしごく当然のこととも言えます。
その一方で、一体彼は本当に現実が見えているのか、不安になります。まるでムガベの「勝手にコレラ終結宣言」のようなおかしなホラ吹きの病気がうつったのではないかと心配になります。そして、カガメをこういった「周囲を不安にさせる言動」に駆り立てているのはやはりジェノサイドとそのもとにある「憎悪」ではないかと心配になるのです。
と、思っていたら案の定というか、先日出た国連のレポートでキガリがンクンダの軍に関与しているとの報告を受け、早速オランダが援助の一部を凍結、続いてスウェーデンも援助の一部の凍結してました・・・(ロイターの記事)こういう動きに呼応したものと見られますが、無駄な報復をやるより先にルワンダが関与してないのなら、それをレポートの大元である国連とかけあって取り下げさせるべきでしょう。今回の声明で暗にキガリの関与を認めてしまったとも言えるわけで、本当に底が浅いというか、こんなことでは援助漬け状態から抜け出せるはずがないと思います。

-UPDATE-
なお、本日2つのICTRの判決がアリューシャで出ました。
まず、Protais Zigiranyirazo(元大統領の義兄):懲役20年
Theoneste Bagosora(元防衛省官房長官、ジェノサイドの主犯格):終身刑(ロイターの記事

OLPC:The Right To Education

宇宙開発は無駄金か?


GIZMODOに素晴らしいスペースシャトルがボーイング747の屋根に乗っかって運ばれる写真が出ています。
特に真上から撮った写真がスゴイのですが、こういう写真を見るとやはりアメリカのデカさを感じてしまいます。こんなスゴイことを考えて作って実行してしまうその力はおそろしいモノがあります。今、こういう世界不況によって毎日のニュースがセコセコした寒いニュースばかりに塗りつぶされている時に、こういう雄大な写真は「希望」そのものという気がします。
こんなことが人間には可能なのです。力を合わせれば人の心から今、希望を奪っている不況も恐慌も乗り越えられるはずです。
ところで今、Dan BrownのDeception Pointという本を読んでいるのですが、これはラングドンシリーズとは全く違って、大統領選とNASAが舞台になっています。何年も目立った成果をあげられないNASAとそれを擁護する現大統領、そして次期大統領の座を狙う上院議員がNASAは無駄だ、その予算を教育に回せと主張して対立。そこで、北極の氷河の氷の中から巨大な隕石が見つかり、そこには化石化した地球外生命体が封じ込められている。しかし、調べていくうちにいくつもおかしな点が出てきて、調査する民間の科学者が次々と何者かによって消されていく・・・というプロットなのですが、とても面白いです。
ここで面白いのはNASAつまり「宇宙開発が無駄金か否か?」という点だと思うのです。小説では教育に金を落とすべきだという上院議員は一応悪者扱いですが、特にこれはおかしな主張でもありません。
今は日本でもマスコミやオンブスマンが公共事業の無駄をネタにしています。これも極めて健全なことです。
しかし、考えなければいけないのは政治は国の「事業」を取り仕切るべきであって、ポピュリズムに流された政治こそ「腐敗の源」だということなのです。例えば、「わたしの仕事館」というムダな公共事業のヤリ玉にあげられている雇用能力開発機構の施設があります。確かに、この施設はムダだし、なんとかするべきでしょう。しかし、雇用能力開発機構そのものを解体しろ、という話になるのはバカげています。そして、国がこれを解体してそのあとは都道府県でなんとかしろというのはもっと馬鹿げています。この機構には果たすべき国の機能が託されているわけで、その「事業」そのものを国がそんなに簡単に投げ捨てていいはずがないのです。「わたしの仕事館」が問題ならそれをなんとかすればいい、天下りが問題なら天下りをなんとかすべきなのであって、事業そのものを投げ捨てるのはそれとは全く別のことだし、それが単なる国民に対する人気取りのアピールならまったくけしからんことです。
もし、アメリカがNASAをムダだとし、NASAを解体するなんて言い出した日には、こんな素晴らしい写真はお目にかかれなくなるのです。前の不況を乗り切ったルーズベルト大統領の「ニューディール政策」は国主導の事業を大規模に展開して雇用を確保する政策でした。
不況のときほど、政府が先頭に立って大きな「事業」を興すことが必要なのです。一見、無駄に見えることが数年後、数十年後に大きな実を結ぶ、または歴史を変えるようなパラダイムシフトの起爆剤になることだってあります。でも、そういう夢を信じなければ、芽は摘み取られ、絶対に実を結びません。今、世界で起こっていることは、保身とサバイバルのために片っ端からこういう芽を摘み取っている、そういう行為に見えて仕方ありません。
ただ、無駄に見えることとはいっても、例の給付金だとか、某証券会社が安いからといってアメリカの証券会社を買ったりするのはどこまでいってもムダにしか見えませんが・・・

写真はNASAのイメージギャラリーより。

2008年12月17日水曜日

Senegal:電力会社SENELECのボス免職


Walfをはじめ、セネガル各紙が伝えていますが、電力会社SENELECのボス(DG: Directeur General) 、Lat Soukabé FallがSENELECの運営委員会で免職にされました。最近ではかなり減っているものの、どうやら9月くらいからSENELECに対する市民運動があちこちで高まり、停電(一応『計画』停電)やら、燃料高騰にともなう値上げ、それに料金請求を2回してしまうなどのミスが重なったこともあって、いくつかのSENELEC事務所が壊されたり、そのあとダカール近郊のイマム(宗教指導者)が「高すぎると思う電力料金は払う必要はない」と発言するなど市民レベルでの反感が爆発させてしまったようです。
国はSENELECのトップの首をすげ替えることで、この反感をなだめようとしていますが、これはおさまることはないでしょう。毎回毎回、何か問題が起きるたびに首をすげ替えてきたわけですし、その中でも最悪の反感を買った人物Samuel SARRをその後、エネルギー大臣に任命したりしているのですから・・・
国民はこの問題はSENELECのボスの責任ではないことを知っているし、ボスの首が飛んでも何も状況は変わらないことをもう知ってしまっているのです。もう、このダカールの電力危機は4年近く続いているのです。4年もの間、SENELECとエネルギー省は空約束をし、それを破るということを繰り返してきているのです。どんなオオカミ少年でもこれほどあつかましくはないでしょう。
多分、このSENELEC問題は放置すれば政権をゆるがすことにもなりかねないと思います。

Apple:新型MacMiniに望むこと


新年早々のMacWorldに向けてApple周辺の情報がだんだん増えてきたようです。景気後退の影響でMacやiPhoneの売り上げも落ちているみたいです。また、来年のMacWorldはAppleが参加する最後のMacWorldになるようで、事実上MacWorldってなくなるのかもしれないですね。まあ、Appleの知名度がここまで高まった今となっては、MacWorldにAppleが参加する意義そのものがなくなってしまったというのもあるのかもしれませんが、少し寂しい気がします。さらに、最後のMacWorldはジョブス氏のプレゼンもないようです。
景気後退で出てきた噂はもう1つあって、それは低価格ラップトップ(NetBook)の噂です。ただ、これについては既に実機があるMacMiniのリフレッシュとは違ってもっと時間がかかるでしょう。本題の新型MacMiniの噂ですが、デザインがMacMookやiMacと同じようなアルミと黒デザインになるとか、Nvidiaのグラフィックになるとかいろいろありますが、中でも私が注目したいのは「価格の低下」の噂です。9to5Macによると、エントリーモデルが500ドル、ハイスペックモデルが700ドルと現行の価格よりも100ドル安くなるということで、これはかなり戦略的な価格だと言えます。MacMiniはMacの「エントリーモデル」でもありますが、実際のMacのエントリーモデルというのはiMacであり、あるいはMacBookのような「オールインワン」のモデルです。それだけですぐ使えるこれらに比べて、MacMiniは普通にモニタ、キーボード、マウスは別に買ってつながなければならないし、MacMiniだけあっても役に立たないのです。だから、MacMiniの本当のターゲットはコーポレートユーザであり、ビジネスユーザなのだと思います。あるいは2台目以降のMacとして別用途にするなど。
私も今は6台のMacMiniを回して使っていますが、MacMiniの良さは、本体が小さくて消費電力が低いこと、トラブってもすぐにバックヤードに待機させてある予備と入れ替えて使えることなどです。しかし、1つだけ頭を抱えているのがオーディオ入力です。iSightはカメラにマイクも内蔵されていてそれがFireWireで入力されますが、サードパーティのUSBのWebcamは映像オンリーで、マイクがついていてもそれはオーディオ入力端子のないMacMiniでは使えません。別にUSB-オーディオのアダプタを買ってつける必要があります。もちろん、Bluetoothのイヤピースなどがあればいいのですが、このような小さいアクセサリは管理が大変です。本体正面あるいは天板に内蔵マイクをつけるか、オーディオ入力端子をつけてほしい・・・というのが私の願いです。

Niger:国連のカナダ人誘拐される


Afrik.comが伝えるところによると、16日の朝にFront des Forces de Redressement (FFR) というトアレグ族のゲリラがカナダ人外交官2名をティラベリ付近で誘拐したと発表しました。Robert Fowler氏とLouis Guay氏で、双方とも国連のミッションに属しているということです。また、彼らの運転手の行方もわからなくなっています。またラジオカナダによると行方の分からない4人目がいるということですが、誰かわかっていないそうです。FFRは「タンジャ政権に協力する外交関係者に対する警告である」と言っています。
ニジェールは来年、大統領選挙を控えており、タンジャはすでに2期つとめているので憲法によれば来年の選挙には出馬できません。すでに何ヶ月も前から、憲法を改変してタンジャが自分が出れるように画策するという噂も出ています。ここにきて、またトアレグのゲリラが動き出したというのは極めて悪いしるしです。もめそうです。ニジェールに渡航する方は注意が必要です。渡航はできれば見直した方がいいでしょう。しかも今回はアガデスやア−リットといった、トアレグのたくさんいる砂漠地帯ではなく、ティラベリというニアメに極めて近いところで起きています。ティラベリが危ないということはもうニアメも危ないということだと思います。

2008年12月14日日曜日

Africa:News Round Up 12/14


まずは、モーリタニアですが、2005年に起きた軍事クーデターから軍政に移っているわけですが、今年の8月にまたもやクーデターがあり、前大統領は収監されています。それから監獄で日常的な拷問が行われているなどの報道があり、EUなどが前大統領を解放しなければそれなりの措置を講ずると発表するなど、もめています。モーリタニアはややこしい国です。国土はほとんど砂漠なのですが、一部では灌漑による果樹栽培などが行われていて、ジュースなどを輸出しています。しかし、この国の外貨収入源は「海」です。日本でも、モンゴウイカやゆでだこなどはよくモーリタニア産と書いてあります。また、ヨーロッパもこの国の漁業権を買っています。ということで、この国の状況が落ち着かないともしかしたらタコイカの値段が上がったりするかもしれません。

次に、12/1は世界AIDSデイでしたが、抗AIDS薬の試験をフランスのジャン・クロード・シェルマン教授がコートジボワールと南アで臨床で行い、50%という高い確率でAIDSの進行をストップすることができたとAfrik.comが伝えています。しかし、米国で同じ薬は30%しか効果がなかったということです。

今コレラといえばジンバブエを考えますが、トーゴでもコレラが発生しているようです。今、ダカールなどは気温が24度とかに下がって、一応冬なのですが、ギニア湾岸諸国ではとても暑い季節です。付近のガーナやベナンでも生水には注意が必要です。

2008年12月13日土曜日

Linux:飛行機のビデオシステム故障


Akihabara Newsが伝えるところによると、飛行機のインフライト、ビデオシステムがクラッシュしたのに遭遇したそうです。
Windowsがクラッシュして公共の場所でBSOD (Blue Screen Of Death) になってる写真はよく見ますが、Linuxははじめてですね。
こういう飛行機のエンータテイメントシステムなど、埋め込みのOSはカスタマイズされたLunuxが多いようです。つまり、普段は使っていると意識しないところにたくさんLinuxが動いているということです。Androidだって考えてみたら埋め込みLinuxです。デスクトップこそ敷居の高さから普及してないLinuxですが、もっと機能を絞り込んだものでは伸びていいく気がします。OLPCのXO-Sugarがいまいち失敗してるのはその点ではないかと思います。インターフェイスこそ完全に変えているものの、SugarのコアはRedHatです。Linuxディストリビューションのなかでも重いと言われるシステムです。これでは、初期のEee PCに搭載されていたカスタマイズされたXubuntuよりも重くなってしまいます。
話がそれましたが、このビデオシステムのクラッシュは多分機器のハード的接続の問題だということで、まあ当然と言えば当然の故障というか、しっかり接続し直せばすむ話で、システムの内部でソフト的なクラッシュが起きたのとは違うようです。このようにLinuxのいいところは「どこが悪いのかすぐわかるところ」で、BSODのようにそれさえもわからない、ただ壊れたというのとはわけが違うのです。こうなってしまうと、たとえばターミナルなどを使って治すことすらできません。よって再インストールしか手がないわけです。Windowsの再インストール信仰というのはここから始まっているわけです。Linuxはこれとは文化が全く違います。Ubuntuなんかは非常に広い範囲のハードに対応していますが、たとえマイナーな非対応部分があったとしても、フォーラムなどを覗くとターミナルなどを使って手動でそれを治す方法というのがたいていの場合見つかります。
このように、ユーザ層にクラウドのように蓄積されたLinuxの技術サポートは、いずれクローズドのシステムを凌駕してしまう気がします。

Sony Ericsson:Androidケータイ発売へ


朗報です。2009年つまり来年にはSony EricssonからAndroidケータイが発売されるそうです。で、これはHTC製のT-Mobile G1とは違い、オープンにGSMのように発売されるということで期待が高まります。ExperiaはWindows Mobileということでガッカリ、買う気が失せていたのですがAndroidなら欲しいと思います。
先日、GIZMODOなどで、各種スマートフォンの比較をやっていました。これはAndroidのT-Mobile G1とiPhone 3G、Blackberry、NokiaのSymbian、Windows MobileでWebブラウジングなどの正確さやスピードを比較したものですが、やはりAndroidとiPhoneがズバ抜けて性能がいいようです。特にページの再現性などにおいてはWindows Mobikeなどではもうもとの形が分からないほどガタガタに崩れまくってしまうのです。G1とiPhoneはフルブラウザなので基本的に崩れないのです。ただ、Flashなどを使ったページはiPhoneでは崩れてしまいます。
AndroidがiPhoneよりいい点はオープンなことです。Appleももしかしたら数年後にはiPhoneの鎖をはずすかもしれませんが、多分iPhoneはAndroidよりは高くなるはずです。Androidは多くのメーカーが作ることで、多分値段がどんどん下がるでしょうし、いろんなニーズに答える多彩な機種が出てくることも期待できます。とにかく、早く見たいものです。
ちなみに中国ではLenovoが中国のみ発売というAndroidケータイを出すみたいです。

2008年12月12日金曜日

Africa:News Round Up 12/12


まずは、トーゴの話題から。ロイターによると、IMFが債務削減プログラムの対象になったと報じています。このプログラムはIMFと世銀が今まで行ってきた融資を段階的に削減し、プログラムの終わりには帳消しにするというプログラムです。このプログラムはもうかれこれ10年くらい前から実施されているもので、対象国になるには世銀やIMFが設けた政治的、経済的な改革を実施しなければいけません。また、PRSP(貧困削減戦略文書)という一種の国家政策を立てて、国連がたてたMDG(ミレニアム発展ゴール)の達成に向けて努力しなければいけません。トーゴは長年内政に問題を抱え、非常に不安定な国でしたが、ようやく落ち着きを見せてきたということでしょうか。私はニジェールやベナンでトーゴ人の友達がいますが、彼らに共通するのはびっくりするほど勤勉でしっかりした人だということです。コートジボワールからガーナ、トーゴ、ベナン、そしてナイジェリア西部は民族的な一種の連続性があるのですが、トーゴはそういう意味ではガーナに近いのかもしれません。

次にガンビアですが、IRINが伝えるところによると、ガンビアではせっかく育成した医療従事者がプライベートセクターや外国に流れてしまい国内の公立医療施設で深刻な人材難になっているということです。

コンゴ民ですが、月曜のナイロビ会談の不調さはEUなどの動きにも影響してきたのか、EUもUNを介した一種の軍事介入を考え始めているようです。しかし、EUがこのような形で入ることはただでさえややこしい状況をさらにややこしくする可能性をはらんでいると思います。また、ここにきてHRW (Human Right Watch) が発表したところによると、11/5にRDC東部のキワンジャという街でCNDPにより150人あまりの民間人が処刑されていたということです。ンクンダの軍の蛮行も明らかになってきました。

ALLAFRICAによるとリベリアでは米国大使がこの国での汚職は依然としておおきな障害であると発表しています。リベリアは先日伝えましたが、ようやく内戦から脱して民主的な選挙を実施し、米国平和部隊が復帰するなど復興に向けた動きが進んでいます。政治的安定の後、人々が求めるのは経済発展であり、このフェーズにかかっているものと考えられます。しかし、インフラが貧弱な国に例えばセネガルがやっているような企業の誘致などは難しく、まずは雇用対策と職業訓練を充実させ、人材を「復興」させなければならないでしょう。リベリアはかなり大きな米国の庇護のもとにあるので他の国とはまた違った急速な発展がのぞめるかもしれません。

また、ルワンダとフランスの外交関係も膠着したままですし、ブルンジの状況も芳しくないようです。西ではナイジェリアが依然としてなんかゴチャゴチャとやっています。

Apple:MacBook Proの弱点はNvidiaのカード


実は前機種のMacBook ProでもNvidiaのカードにランダムな不具合があり、これがMacBook Pro購入をためらわせる結果になっていたのですが、なんと今回の新しいMacBook ProもNvidiaのカードで問題が発生しているようです。その1つがサードパーティ製のRAMとの相性の問題で、純正以外のRAMだとうまく動作しないそうです。また、純正のものでも公称のMaxである4GBにすると、正常に動作しないものがあるということで、2GBか3GBにしておくのが無難と言われています。この問題はAppleも把握していて、ファームウェアアップデートにて対応するという話ですが、Nvidiaカードの問題はBad Bumpと呼ばれる製造上の問題で、ソフトウェアでは対応できないようです。この不具合があるMacBook Proでは、完全にスクリーンが真っ白になったり、ビデオエラーのメッセージが出るということです。Appleはこの問題に対してまだ説明や対応を発表していませんが、MacBook Proの購入を考えている方は一応頭に入れておいた方がよいでしょう。

2008年12月11日木曜日

Africa:News Round Up


今日もまたまとめて書きます。
まず、ガーナの大統領選挙ですが、過半数を取る候補者がなく、第2回投票(決選投票)が行われることになったそうです。また、議会の方もなんか数におかしな点があるという話もあります。

次にブルキナファソですが、Afrik.comなどによると、ブレーズ・コンパオレ大統領は「まだ自分はやれる」とブルキナの各紙インタビューで語ったそうです。このブレーズ・コンパオレは1951年生まれと、ガンビアのヤヤ・ジェメやコンゴ民のジョゼフ・カビラと同じく若い大統領と言えますが、1987年にクーデターによって前大統領を殺害し、政権を奪取したことや、大統領任期を2選に制限する憲法をねじ曲げて2005年の選挙で3選を果たすなど、かなり暴君的性格を持った人物です。次の選挙は2010年なわけですが、今回の発言は暗に出馬を表明したとも考えられ、波紋を呼びそうな気配です。現在ブルキナは域内では落ち着いている国に入ると思いますが、コートジボワールの内戦で同国に出稼ぎに出ていたブルキナ人の収入が減っていることなどから、経済的には逼迫していることも考えられ、2010年の選挙が非常に心配です。

サルコジ政権になってからフランスには「人権担当国務長官」というポストができたわけですが、外務大臣ベルナール・クシュナーがこのポスト新設を「間違いだった」と、こともあろうに昨日世界人権の日に発言、波紋を呼んでいます。彼の主張というのは「人権の保護という立場と外交をやっていかなければいけない政府の立場は相反する場合がある」ということで、なるほどな、とは思うのですが、長官のラマ・ヤッド女史は困惑しているようです。

一方トーゴでは死刑を廃止したそうです。トーゴは長年の内戦などから、国交が正常化していない国が多く、国際社会の中で孤立していますし、国際社会からの援助も隣国ベナンなどに比べて少ないのです。これはトーゴ政府がこれを問題視し、解決に向けて動き出したというアピールとも言えます。

コンゴ民ですが月曜にナイロビでキンシャサとンクンダの会談が行われているはずなのですが、その結果は聞こえてきません。その一方蚊帳の外に置かれたFDLR(RDC内に逃亡しているルワンダのフツ族武装集団)は不満を表明。また、国連もルワンダとRDC双方の政府がこれらの武装集団を支援していると非難しています。あちらを立てればこちらを立たず、という状態のようです。12月14日にはこれらをすべて集めた円卓会議がキンシャサで予定されているようです。

ガボンでは風刺新聞のジャーナリストが大統領のボディーガードにボコボコにされる事件が起きたとAllAfricaが伝えています。ガボンのオマール・ボンゴ大統領は先日フランスのNGOから「好ましくない独裁者」のトップリストに載せられるなど、評判がよくありません。

最後にセネガルですが政府の巨額の負債を見るに見かねたフランスが愛の手を差し伸べ、1億ユーロを超える緊急融資を実施するようです。ただ、セネガル政府の浪費ぶりは目に余るものがあるので、この体質を改善していかないと負債は膨らむばかりだと思いますが・・・

追加でジンバブエですが、ムガベは勝手に「コレラの終結宣言」を出しています。死者は増え続けてるというのに。

2008年12月10日水曜日

世界人権宣言から60年


本日12月10日は国連で世界人権宣言が採択された日から丁度60年です。
世界のすべての人々に、自由にそして平等に生きる権利を保障するこの宣言は当時の平和への願いを込めたものだったのでしょう。言うまでもなく、この宣言はフランス革命時の人権宣言、そしてアメリカ独立宣言を下敷きにし、第二次世界大戦の終結という大きな動きの後で地域的でなく世界的にこの万人の持つ権利を国際社会が確認するというものでした。
この後、世界は少しづつではありますが、この宣言の目指す美しい理想に向かって変わり続けてきています。例えば、制度としての奴隷はモーリタニアを最後に世界から消滅しました。もちろん、実質的な奴隷状態におかれた人々はまだいます。あるいは身体の自由を拘束されていなくても、搾取的な労働に強制的につかされている人々もまだいます。戦争状態にある国は言うに及ばず、コンゴのピグミーなど今まで文明との接触が少なかった民族などがそうです。
1960年前後にはそれまでヨーロッパの植民地だったアフリカ諸国が次々と独立を果たし、悪名高き南アフリカのアパルトヘイトも終わりを告げ、世界で最も近代的な憲法を持つ近代国家に成長しました。
悲しいことに、世界にはまだ争いが続く地域がいくつもあり、アフリカはその1つです。
今日は今一度、この世界人権宣言を読み直して、世界のすべての人に自由と平等がもたらされることを願いたいと思います。

世界人権宣言(UNICサイト)

2008年12月9日火曜日

Senegal:タバスキ


今日はタバスキです。この祭りはAïd el Kébirというイスラムの犠牲祭で旧約聖書のアブラハム(イブラヒム)が息子のイサク(イスマエル)を神の犠牲にしたというエピソードから来ています。また、この日はメッカ巡礼の最終日でもあるそうです。
さて、この犠牲祭なわけですが、まさか本当に子供を殺すわけにはいかないので、象徴として羊(牡羊)を殺すことにしたそうです。で、イスラム教徒の一家の長はこの日に羊を殺さなければいけない、というきまりができてしまったのです。ということで、今日は世界中で羊の受難の日、数千万頭が一気に殺されるというジェノサイドの日なのです。
朝の礼拝、だいたい9時半ごろですが、これから帰ってくると羊殺しがはじまります。私はこの時間帯には外に出ないようにしているのですが・・・というのは、これは肉屋のように見えないところでやるのではなく、たいていショウのような感じでやりますし、首を切ったときのしたたる血を地面に落とさなければいけない、という決まりもあるのです。だから、アパートなんかの人は外でやるんです。
それが終わるとガンガン羊をバラします。詳しい説明は割愛しますが、セネガルではどんどん「肉」にしていきますが、ニジェールでは違います。ニジェールでは木の枝をXの形にして、それに羊を丸のまま磔にして、丸焼きにします。セネガルでは、この肉を少しずつなんですけどかなり派手に食べていきます。まず、お昼頃、あばらの部分とレバー、睾丸などを炭火焼にしてマスタードをつけて食べます。私はタバスキ料理の中でこれが一番うまいと思います。次に3時頃、今度は肉を使ったヤッサ(タマネギがたくさん入ったソース)が出ます。夜になるとまたまた肉の今度はクスクス、都市部ではこの日は黄色いモロッコ風のクスクス、になって出てきます。でも一般的にタバスキの羊はおいしいものではないです。というのは、牡羊のかなり年を食った角がりっぱなやつが「いい羊」とされているからです。羊で一番うまいのはやはりAgneauと呼ばれる子羊ですし、あんなにデカくなってしまうと肉も硬いし、臭いもあります。
それにしても、子供を象徴する羊をすぐ食べるというのもかなりアレですし、イサクはそんなトウの立った牡羊ではなく、子供だったはずですが、これは多分社会的慣習の中でデカく立派な羊を犠牲にすることがステータスとなったものなのでしょう。
ところによっては羊のかわりに牛やヤギを使うところもあるそうですが、セネガルではヤギを使うというのはかなり屈辱的な貧乏と見られるようです。それにしても、最初からニワトリくらいにしておいてくれれば、今日このように毎年羊をめぐる悲喜こもごももなかったものを・・・
都市化が進んだダカールでは羊を飼うことは容易ではないので、ほとんどの人が買うことになります。それは農村部、遠いところはマリあたりからもダカールまで連れてくるわけです。それを郊外の集積地に集め、そこがマーケットとなります。しかし、羊の値段は上がるばかり。うちの前にも数匹の羊をつれた羊売りが昨日なんかはたくさんいましたが、1匹4万円とか6万円とかするのです。高すぎます。そんなに羊だけにお金をかけられる人はそういるものではありません。タバスキは羊だけではなく、もちろん他の食材もいりますし、それだけでなく女性や子供の服を新調したり、とにかくお金がかかるものなのです。
ということで、タバスキが終わると、連れて帰ることになります。これがまたやっかいで、今年などはタバスキが乾期のまんなかなので、羊によって畑が荒らされるとかはないのですが、これが収穫期にかかったりすると、大変なことになります。
将来的に見てもこの羊の慣習が都市化と現代的ライフスタイルにそぐわないことは明らかなので、少しずつでも変えていく必要性にかられるでしょう。サウジがバーチャル羊の殺戮サイトを運営して、そこのサイトで羊を生け贄にするとありがたいおふだを印刷できる、というのを出した方がいいと思います。

2008年12月8日月曜日

Senegal:イランの自動車メーカー進出


The Autochannnelの記事より。
セネガルにはすでにインドTATA社のバス組み立て工場がありますが、今度はイランのKhodro Carsの乗用車組み立て工場ができました。この会社は日本では無名ですが中東で最も大きな自動車メーカーということです。工場に先立ち、以前から激しい老朽化が問題視されていた空港のタクシーをこのKhodro Carsは同社のセダンMandoryに全部リニューアルしています。また、ダカールのタクシーは黄色と黒というカラーリングに決まっていたのですが、Mandoryタクシーは黄色一色のカラーリングで差別化を図っています。私も乗りましたが、ごく普通の乗用車で、日本車や韓国車に比べて見劣りがすることもなく、よかったです。前は空港のタクシーと言えば、妙な客引きや奪い合い、荷物を持つから手数料よこせなどのサービス押し売りからはじまって、やっと乗ったと思ったら、走ってるのが不思議なようなボロ車で、車体はボコボコ、窓は全部割れている、床に穴があいていて道路が見えるとかいうのやら、40km以上でないとかやたら無駄に安全だったり、あげくの果てにすぐにガソリンスタンドに入り、「ガソリン入れるから運賃を前払いしてくれ」というなど、セネガルで最低のタカリ集団で観光客の第一印象を決定的に悪くする原因だったのですが・・・
これをまあ車だけでも改善したということです。(もちろん、気をつけないとボロ車に乗せられる可能性あります。)
タクシーといえば、TATAの小型車を使い、女性ドライバーのみで運営しているTAXI SISTAというサービスも登場しています。これは乗ったことがないので乗り心地とかはわかりません。
ただ、車体は新しくなってもダカールのタクシーは全部「値段交渉制」です。目的地までのだいたいの運賃を知っておく必要があります。これに関してはちょっと年期の入ったタクシーで年寄りのおっちゃんが運転してるのがだいたい妥当な値段で交渉せずとも行ってくれます。以前に比べて交渉時間は短くなった気がします。
話がずれてしまいましたが、今回のKhodro Carsの工場は今はMandory一種しか生産していませんが、このラインはBandoピックアップとプジョーRoaも生産できるそうです。

The Gambia:海底ケーブル接続へ


Afrique en Ligneの記事より。
ガンビアとヨーロッパ資本のコンソーシアムAfrica Cable For Europe (ACE)はガンビア国営の通信会社GAMTELを海底ケーブル通信網に接続することで合意しました。
ガンビアは一応共和国なのですが、実質軍人出身のヤヤ・ジェメ大統領の独裁国家であると言っていいと思います。このヤヤ・ジェメという人物、国際会議に出席する時など、アフリカの伝統衣装を軍服風にアレンジした奇抜な衣装で、一種カダフィ大佐に通じるものがあるのですが、「エイズを治せる」と真面目な顔で発言するなどちょっと天然な電波少年ぶりも発揮してたりして面白い人物ではあります。その反面、かなりビジネス方面にはしっかりした人物らしく、先日Google Earthでガンビアを見ていたらびっくりするほど発展していました。私が前にガンビアを訪れたのはもう10年以上前なので当然と言えば当然なのですが、ガンビアの太平洋岸は巨大リゾートに変貌していました。バンジュルにはロンドンからの直行便も乗り入れていますし、イギリス人観光客が「一番近いブラックアフリカ」ということでたくさんやってくるのでしょう。
その10年前の経験だと、バンジュルからダカールに電話すると、ロンドンそしてパリを経由してしまうので恐ろしく高い電話料金をとられたと記憶しています。隣の国なのに・・・
ということで、セネガルとガンビアは近くて遠い国という感じだったわけですが、通信の世界でもこれでぐっと距離が縮まりそうです。

日中韓、アフリカ政策で協調

Nikkei Netの記事から。
まず、アフリカに対する「援助」について日本が隣国と足並みを揃えるのはいいことだと思います。
しかしながら、記事を読む限り、一体何がしたいのかさっぱりわかりません。政策の協調など少し考えれば「あり得ない」というのがわかるはずです。大型のインフラ援助によって資源獲得とマーケット開拓に先行している中国にしてみれば、そのような政策協調に何のメリットも感じないのではないでしょうか?ウォン低下で国際競争力の下がっている韓国はおいしいところがあるかもしれませんが・・・
中国はこれをはなから相手にしないか、別の形での見返りを求めることも考えられます。
内容についても「いかにもありがちな総花的」なものとしか思えません。
「環境、省エネ、砂漠化防止対策での共同支援プロジェクト」
「エイズなど感染症対策や農業技術、人材育成の分野の協力」
援助協調はそれでなくても難しいし、それにともなうプロセスが数倍ややこしくなります。フタをあけると単に出先でそれぞれの担当者が意見交換を行っている程度のものしかできないことが多いのです。
日本政府がアフリカの資源を欲しいなら、こんなまわりくどいことをせずにフランクに相手国とかけあうか、中国とビジネスライクにネゴした方がいいと思います。フランスの前シラク大統領はいろんな国を訪問する時、フランス実業界の大物を連れて歩いて、首脳会談などをする傍ら、ビジネスのネゴを大統領お墨付きでやらせていました。これくらい、あからさまにやってしまってもかまわないはずだと思います。
今、円は強いのだし、そういう意味ではチャンスなわけです。中国や韓国とホゴにされるのが火を見るより明らかなゆるすぎる協定を結んだり、わけのわからないジョイントプロジェクトを計画するより、誰にとっても目的が明確でフランクな取り引きをして行く方がいいと私は思います。

2008年12月7日日曜日

Africa:News Round Up


今日は1つ1つを別々の記事で取り上げるのでなく、全体として見回してみることにします。

まずは、ジンバブエ。ほとんど息絶えそうになった北朝鮮のようですが、ムガベはまだ粘るつもりのようです。しつこいですね。以前からの天文学的通貨の落ち込み、政治的混乱に加えて、水道などの公共サービスを維持できなくなってコレラ禍に襲われ、600人と言われる死者を出し、その感染域は隣国の南アフリカやボツワナに広がっていると言われます。これを受けて米国のライス国務長官もムガベを名指しで非難、もちろんムガベは突っぱねましたが、イギリスのブラウン首相、そしてEUも同調、さらに周囲のアフリカ諸国もムガベ降ろしに動き始めています。
さて、隣の南アフリカですが、通貨ランドの価値が落ち続けていたのがようやく底を打ったようで上昇に転じているそうです。アフリカの中でももっとも米欧の経済システムに近く、今回の不況の影響を受けると考えられる南アフリカ。隣国ジンバブエとの関係もあるし、不安材料が多いですね。
西に戻ってナイジェリアですが、この国の状況は南アよりもさらに厳しく、原油安の影響を受け、通貨ナイラが下がっています。もとより、歳出超過の赤字国家で、これに追い打ちをかける形になり、政治不安に発展しそうな雲行きも見えます。ジョスの暴動はその一端ですが、これによって隣国ニジェールとの関係がこじれています。また電力危機もあるようで、今回の不況の影響は南ア以上に深刻かもしれません。ジョスの暴動は一応収まってはいますが、宗教対立が民族対立に変質しそうな動きもあり、そうなるとさらにやっかいです。
ガーナは本日大統領と議員選挙の投票日です。かなりの接戦になりそうということですが、平和裡にこの選挙を乗り切ることで明るい話題を提供してくれるかもしれません。
あと、スーダンやソマリア、そしてRDC、ルワンダ、ブルンジ、ウガンダ、中央アフリカと争いの絶えないアフリカの状況を見るにつけ、ちょっと暗澹たる気分になってしまいます。

MS:アパレルブランドに転身か?

GIZMODOをはじめ、いろんなTech系メディアが伝えていますが、まだまだレドモンドの迷走は止まらないようです。
MSが"Softwear"と銘打った、なんと衣料品ブランドに手を出してしまいました!
そしてできてしまったのが、この↓ダサダサなTシャツです。大きく晒してしまいましょう・・・

こんなの、一体誰が着るんでしょうか?
きっと数ヶ月後にはビル&メリンダ財団のチャリティの一部としてアフリカに丸ごと寄付されそうな感じです。
それはそれで役に立ちそうですが。
ちなみに、ダカールではフグジャイと呼ばれる古着のマーケットがあります。毎週金曜日にサムのカジノショッピングセンター前からグルタペ市場に抜ける道の分離帯、この下には運河が通っているのですが、そこで大きな古着市が立ちます。うちのスタッフのアリウンはこのフグジャイの達人で、この市に出かけると「え?こんなものが?」というようなブランド品をものすごく安く手に入れてきます。
コトヌにもこういう古着市はあって、スタインメッツ大通りのサンミッシェル交差点からちょっと南下したところを東に行ったところにミセボと呼ばれる市場がそうです。
まあ、それはいいとして、MSですが・・・どうして、ここまでダサくなれるのか、これは一種の才能という気がします。ZUNEカーでの騒音まき散らし騒動、I'm proud to be a PCキャンペーンやバルマー氏がI love this company!と絶叫する怖い動画等々。
まあ、それだけに目が離せないというのも事実なのですが。

それにしてもこれらのTシャツは本当にひどいデザインですね。しかも何を狙っているのか全く分からない。DOSなんて一体なんなんでしょうか?今時DOSがクールだとでも言うのでしょうか??
こんなのをもらって喜ぶのはYahooの株主、アイカーン氏くらいなものではないでしょうか?MSに身売りするための株主総会にはぜひこのTシャツを着て望んでほしいものです。それにしてもSOFTWEARって、こういうとこでも駄ジャレをかますところがもうなんともいえません。どこかの場末の温泉街の秘宝館に展示されるのがふさわしいですね。

2008年12月6日土曜日

MacOS:ウイルスに強いOS?

先日から、Appleのサイトにアンチウイルスソフトを導入する勧めが掲載されたり、そのあとでそれが削除されたりして波紋を呼んでいるわけですが、複数台のMacでネットカフェを運営している立場からこれについて少々書きたいと思います。
結論から言って、MacOSは非常に安全なOSだと思います。開店してから2年と少したちますがOSを再インストールしたのはTiger→Leopardへの移行の際に、停電でインストール失敗した2台ほどだけです。調子が悪くなってOSを再インストールしたことはありません。毎週Onyxか最近はiToolというメインテナンススイートを使って、メインテナンスとクリーンアップをしていますが、それだけです。
しかし、同じように運営しているWinベースのネットカフェではしょっちゅう技術者を呼んで再インストールをしているというのです。まあ、これは単純に比較はできません。運営をしている人にある程度の知識があるかにもよりますし、各コンピュータのアクセス権限設定によって全く違うからです。ただ、Win系技術者の「再インストール信仰」はすごいものがあります。前に日本にいる時にLeopardのディスクをアマドウに送ったら、彼はアップデートするかわりに再インストールしていましたし、中古のMacを持ち込んでくる連中はその必要がなくても再インストールしてくれと言います。商売なのでそのとおりしていますが・・・
しかしながらMacのセキュリティが万全だとは思いません。穴はいろいろありますし、最近ではWebアプリを使うものがあり、これらはMacでも同じように危険です。ただ、Mac用のアンチウイルスソフトがこれらの新種のマルウェアを完全に防ぐことができるか?というと、そんなことはないと思います。ただ、マルウェアの圧倒的多数は.exeファイルであり、これはMacOS上では絶対に動きません。だから、MacOSは相対的にかなり安全だと言えるのです。WinがMac並に安全といえるようになるのは.exeが動かなくなる日に他なりません。MacOSはOS9からOSXへの移行で段階的にレガシーシステム用のインストールをできなくしてきました。これを考えるとWindowsが何度もメジャーアップデートを行い、動いてほしい周辺機器などが動かなくなるのに相変わらず.exeのマルウェアが動き続けるのか、かえって不思議です。このあたり、アンチウイルスのソフトハウスと結託してるんじゃないか?とさえ疑いたくなります。また、アンチウイルスを入れたら入れたで、その部分ディスクをスキャンしたり、アップデータをやりとりしてCPUパワーやメモリ領域、そしてネット接続を使ってしまう。
しかし、Winでもユーザ権限の設定をしっかりやれば、かなり安全になるはずだと思います。アドミ権限を一般ユーザに持たせているからしょっちゅう再インストールが必要になるのです。下手なアンチウイルスを入れるよりも、ユーザ権限をしっかりコントロールすることの方が重要だと思います。たとえ、自分の所有するコンピュータでも、必要のない時にはアドミ権限を持たないユーザを作っておいて、そちらを使うようにする方がいいと思います。
それを考えると、コンピュータの安全性というのはそれぞれのシステムによるもの、というよりも、ユーザの知識レベルによるものの方が大きいのかもしれません。

UEMOA:インフレ続く

Afrik.comの記事より。
UEMOAはUnion Economique et Monétaire Ouest Africaineの頭文字を取ったもので、加盟国に共通の通貨を供給している中央銀行BCEAOと西アフリカ開発銀行BOADを傘下に持つ経済機構です。UEMOAに加入する国はセネガル、マリ、ニジェール、ギニアビサウ、コートジボワール、ブルキナファソ、トーゴ、ベナンの8国です。このUEMOAの発表によると、2008年10月のUEMOA圏のインフレ率は7.5%に達しています。9月からは食料および原油の価格は下がっていますが、それにもかかわらず厳しいインフレが続いています。2008年の10ヶ月で言うと、UEMOA平均インフレ率は6%。加入国のうち最もインフレが激しいのはトーゴ8.7%とベナン7.7%で、平均値を下回っているのはコートジボワール5.9%とセネガル6%ということです。
トーゴおよびベナンという2つの国はこれまで域内でも物価の安い国とされてきましたが、エネルギー関係の物価が上がったことから物価を押し上げてしまった、と考えられます。特にベナンは強いナイジェリア経済の影響下にあります。最近ナイラが高かったこともあって、燃料の公式価格だけでなく、パイヨーなどの値段が上がってしまったことが大きいのかもしれません。

2008年12月5日金曜日

RDC:ゴマでルワンダと外相会談


まったく進展が見られないコンゴ民情勢ですが、Jeune Afriqueによると本日コンゴ民の外相がルワンダ外相と会談するべくゴマに入ったようです。両国の外相クラスの会談は今回の問題が生じてから10月28日にコンゴ民外相がキガリを訪問するのを皮切りに今回で4度目を数えるようです。また、コンゴ民側は今回の会談に外相だけでなく、農相、高等教育相、農村開発相も参加しています。今回の内戦でキンシャサはキガリがンクンダの後ろ立てをしているとルワンダを非難。ルワンダ政府はこれを否定しています。反対にキガリは以前からRDCに潜んでいるフツ族の武装残党FDLRの武装解除をキンシャサに要求しています。
今回の会談には南北キブ州全域での停戦のための「アマニプログラム」のコーディネーターであるアポルネール・マル・マル神父も参加するそうです。ンクンダは単体でのキンシャサとの直接交渉を望んでいますが、キンシャサはこのアマニプログラムの中でのンクンダとの交渉を望んでいるようです。
また、France24によると、UNHCRはRDCからウガンダに流入した難民は1万3千人に達すると発表したそうです。
内戦とは関係ないのですが、北キブ州RutschuruにおいてMSFに属するDavid NOTT医師がカバに咬まれるか銃弾によって命を失いそうになっている16歳の少年を、その手術経験のないにもかかわらず、イギリスの経験ある医師からのSMSに従い、10のステップのある腕の切除手術を行い、成功させたそうです。NOTT医師は「このような戦争の中で、片腕になって生き延びるのがいいことか悩んだ。しかしすぐに手術しなければ彼は死んでいたでしょう。」と語ったそうですケータイは人命をも救うことがあるのですね。(Afrik.comの記事

2008年12月4日木曜日

Guinee-Bissau:クーデター首謀者逮捕


BBCの報道より。
先月23日に起きた、ギニアビサウにおけるクーデター未遂事件の首謀者と見られるAlexandre Tchama Yalaがセネガルで逮捕され、勾留されています。セネガル側は「クーデターに関与した者を勾留した」と発表しており、名前は公表していません。チャマ・ヤラ氏は前ギニアビサウ大統領のクンバ・ヤラ氏と親戚関係にあり、軍部と深い関係にあるということです。また、1998年に起きた軍のクーデターとその後1年にわたって続いた内戦にも関与していたと言われています。
またギニアビサウ海軍のトップがガンビアに亡命したという話もあります。
これを見てもわかるように、ギニアビサウの政治的な不安定は、セネガル(カザマンス)とガンビアとやはり深い関連性があるのです。
今回のクーデターが未遂に終わり、首謀者が逮捕されたことはこの地域の安定には良いことなのかもしれません。

<続報>
Afrik.comによると、セネガル内務省がチャマ・ヤラ氏の逮捕拘留を発表しました。また、ガンビアに8月のクーデター未遂から亡命している元海軍トップJose Americo Bubo Na Tchuto氏との関係を追求されているそうです。またAllAfricaによると、このクーデター未遂をうけ、ECOWASの安全委員会 (Security Council) はギニアビサウでの安全対策強化を進言したそうです。

Senegal:全く改善しない電力事情


昨日は、何も書くことができませんでしたが、それは8:00〜12:00、14:00〜17:00、19:00〜21:00と停電していたからです。セネガルの電力事情の悪化はほぼ健全な都市の発達による需要の増加によるもので、これを見越した発電設備の増強を行って来なかった政府と電力会社の手落ちによるものです。私がここにやってきた当時は普通の人々は冷蔵庫も持ってなかったし、ラジカセよりも電池で動くポータブルラジオが主流でカラーテレビなんて少なかったのです。そのころは電化製品はすごく高かったのです。今は、そういう値段も下がりましたし、ほとんどみんなが持っているのです。そこで電力が足りなくなってしまった、わけです。またダカールなどではビルがどんどん建って、エレベータだの給水ポンプだのを動かすための多くの電気が必要になりましたし、ほとんどの会社がエアコンを入れています。こういう発展が電力の需要をはねあげたわけです。しかし、発電設備はマイナーな増強しかしてこなかった。これでは当然需要が供給を上回る状態になります。
このひどい停電がはじまってもうすでに4年たちますが、政府も電力会社も解決策を打ち出せていません。マナンタリのダムが動くから大丈夫とか新しい発電所ができるから、とかそういう空約束を4年も続けているのです。今ではSenelecやエネルギー大臣がなんかその類いのことを言ってもそれを信じる人なんていなくなってしまいました。
しかし、この電力不足はセネガルに限ったことではないようです。ナイジェリアがまさにこの状態になっているそうですし、ニジェールなんかはほとんどナイジェリアからの買電で成り立っているのにどうなっているか今はわかりません。私がいた頃はダカールよりも停電は少なかったですが・・・ナイジェリアは最近通貨のナイラが落ちてしまって、原油価格の低下とともに国際的な不況の波をまともに食らってしまっているようで、国内事情とともに心配です。あと、ガーナはボルタ湖の水力発電で、自国およびトーゴ、ベナンに売電していますが、これも数年前から発電設備に問題が起こり、たびたび停電しています。ガンビア、ギニアビサウ、ギニア、リベリア、シエラレオネももともと発電設備が脆弱だったり内戦をしていたりして、とても褒められた状態ではないのです。
やはり、徐々にクリーンで持続可能な発電方法にシフトしていくしかないのかもしれません。これにも大きな問題はありますが・・・

2008年12月2日火曜日

gOS:初のブラウザオンリー"cloud"


gOSは基本的にはカスタマイズされたUbuntuベースのLinuxディストリビューションで、以前からGoogle Apps等のオンラインサービスを使うことをメインに打ち出したOSですが、今回完全にブラウザ(見たところGoogle Chromium)のみで作動し、オンラインサービスだけを使うOS「Cloud」を発表しました。これはNetBookでの使用を主に考えられているようです。今のNetBookは大きくわけて2種類あります。1つはHDDを搭載した「小型のラップトップ」であり、もう1つはSSDを使用したiPhone寄りの携帯デバイスです。これはまだSSDの価格が高いこともあり、4〜16GBとストレージ容量がHDDに比べて非常に小さいことが問題です。Ubuntuはフルインストールしても1GB程度なので一応はこのタイプのNetBookでも動作します。しかし、マシンの動作のためのストレージ占有域が小さいにこしたことはありません。

UbuntuにしてもgOSにしてもデフォルトでオフラインのアプリケーションスイート、OpenOffice.orgとかが含まれていますし、これらが数百MBのスペースを占めてしまいます。つまり、cloudはこのあたりをすっぱりと切り捨てて、ブラウザのみにしてしまったわけです。これは確かにNetBookのあるべき姿、とも言えますが、かなり大胆で本当に実用になるのか?という面では不安が残ります。もしかするとiPhoneの方がNetBookとして使える、ということになりかねないでしょう。さらに、gOSと提携しているEVEREXのデザインがお世辞にもいいとはいえず、現存するNetBookの中では最低であるということも気になります。
このあたりはgOSのチームも気づいているようで、GIGABYTEが作るタッチスクリーンの実機ではWindowsとのマルチブートになるようです。アイデアとしては面白いものの、まだ完全なcloud展開というのは難しいということでしょう。

Liberia:モンロビアで大量脱獄


BBCの記事より。
リベリアはアメリカの解放奴隷が建国した国ですが1989年に内戦が勃発、2003年にやっと14年の混乱から抜け出したばかりです。首都モンロビアの監獄は1000名あまりを収監する同国唯一のもので、非武装警察と国連の平和維持軍によって守られていました。
大量脱獄は看守に石やビンで殴り掛かるという形で行われ、100名あまりが脱獄し、他に30名ほどが途中で捕らえられたようです。
脱獄したのは法廷で裁かれるのを待っている武装強奪グループのメンバーだと言われています。
内戦中や内戦後もリベリアはこれらの武装盗賊の跋扈に苦しんできました。民主的な選挙も終わり、国の再建がこれから、という時にこのような脆弱さを見せてしまったのは残念なことです。

2008年12月1日月曜日

World AIDS Day


今日、12月1日は世界AIDSデーです。
ということで、アフリカにおけるHIV感染について少し書きます。国連のUNAIDSのサイトに詳しい統計や説明が載っています。この中からアフリカに関するところを取り出してみました。
分布図を見ると、1990年ではウガンダとボツワナが非常に高いのが目立っていますが、それから南部アフリカにどっと広がっているのが分かります。また、南アフリカの中のスワジランドとレソトも感染率が高いことが目立ちます。HIVウイルスは大きくわけて2つの型があり、それぞれ別のものから変異したものと考えられています。アフリカではこのうちHIV-2型が多く確認されているそうです。しかし、HIVは変異しやすいウイルスで数えきれないほどの亜種があり、このことが有効な抗HIV薬の開発を難しいものにしています。

ご存知の通り、HIVは性行為によって感染しますが、これは人口を保つには必要な行為です。よって、「するな」というキャンペーンはかなり無理があります。ウガンダでは教会などを通してこのキャンペーンをやっています。そのせいもあってウガンダにおけるHIV感染率はある程度下がっていますが、最近はまた上昇に転じているという話もあります。また、この感染率の統計にしたところで、本当に実態を表しているかはわからないのです。というのは、HIVの検査は自らすすんで受けなければされません。そして検査を受けなければ感染しているかどうかはわからないのです。検査率が低ければ、感染率統計も下がってしまいます。先日も、あくまで数学モデル上の話ですが、アフリカでもれなく検査が行われ、対処療法が行われたと仮定すれば、10年でHIVを撲滅できるという結果も出ています。それほど、検査は大事なのです。もちろん、アフリカでもほとんどHIVの検査は無料かつ匿名で受けることができます。それは日本よりも簡単に受けることができるとも言えるでしょう。日本だと保健所で1ヶ月に1回とか、予約が必要とか、検査結果を知るのに1週間もかかるという全くまじめに取り組んでいるとは言えないお寒い状況ですが、アフリカの都市部では毎日即日テストを行っているところがほとんどです。また、この検査にも落とし穴があって、HIV感染には「ウインドウ期間」といって感染してから2ヶ月〜3ヶ月の間、感染していても検査に現れない期間があるのです。つまり、検査前3ヶ月以内に性行為があればたとえ結果が陰性であってもそれが信用できない、ということなのです。これはあまり現実的な数字とは言えません。今のところ「毎年定期的に検査を受ける」というのが推奨されていますが、これは感染の危険性を減少させるものであっても、なくすものにはならないのです。とはいえ、抗HIV薬の開発はスピードが遅くても進んでいて、HIV感染しても免疫力を落とさない薬が開発されていますし、出産時の垂直感染(母子感染)を防ぐ薬もあります。ということで検査していれば新生児がHIVに感染することを防ぐことができるわけです。
HIVに感染すると免疫力が下がるので、今南アフリカなどでは結核が再び問題になっています。もともと結核はアフリカにはまだ相当感染者がいて、これは他の病気に比べてドナーなどが少なく、対策が進んでいないのです。ニジェールにいた時、WHOの人が嘆いていました。
さて、このHIV、結核、そしてマラリアに対する簡単な援助を行うことができるのをご存知でしょうか?
それがU2のボノが推進しているProject REDです。これは、REDの協賛企業の製品を買うことによってその売り上げの一部が、エイズ結核マラリア財団グローバルファンドに寄付されるというものです。AppleやDELL、GAPやStarbucksも協賛企業です。AppleのRED対象製品は赤いiPod ShuffleとNanoです。優れた製品を手に入れられて、かつ苦しんでいる人の役に立つ。こんないい方法は他にありません。これらはApple直営店でしか手に入りませんが、この機会にぜひご検討ください。

Nigeria:中部の町で宗教対立


いろんなメディアが伝えていますが、金曜日にナイジェリア中部のプラトー州の人口100万人の町Josで、地方選挙の結果を巡り、キリスト教徒とイスラム教徒の間で激しい争いが起こり、数百人の犠牲者が出ているようです。
現在は沈静化しているようですが、犠牲者数についてはソースによってかなりバラつきがあります。昨日の時点では死者8名と伝えられていたのですが、先ほどRFI (Radio France International)を聞いていたら400人とも言っているし、ネットでは200人ともいわれていて、はっきりした人数はまだわからない、というのが本当のところだと思います。
また、なぜか教会が襲撃され、教会関係者が殺されているのに、政党の建物や政治家は襲撃を受けていない、だとか便乗して商店などが多数被害を受けているなど、選挙に乗じた一種のヘイトクライムであるとも言われています。
この事件については、また続報が入ってきたらお伝えします。
ところで、ナイジェリアについてはRDCやパンアフリカニズムの記事でも伝えましたが、アメリカのような「連邦制」をとっています。これは中央の連邦政府と連邦政府の直轄する首都アブジャと他のかなり独立した36の州からなっている国家です。
旧フランス植民地の国はたいがい、非常に中央政府の支配力の強い国家です。そのため、どこもDecentralisationと称して地方分権を国家計画に取り入れてはいるものの、実際は権限委譲などが行われることがまれで、どこも中央支配が続いています。
連邦制が面白いのは、基本的に二重構造になっているので国自体の安定が高まるということです。そのかわり、州のカラーによってバラバラなまとまりのないものになってしまう危険性があるのです。例えば、ナイジェリアでは北部ではイスラム、南部ではキリスト教がマジョリティを占めています。そこで北部州では州法にイスラムのシャリアがとりいれられたりしてしまいました。その反面、そのことが国全体におよぼす影響は小さなものなのです。この北部イスラム対南部クリスチャンという対立構造はギニア湾岸の諸国に共通した地理的特徴で、コートジボワールの内戦も実はこの宗教対立が背景にあります。そしてコートジボワールはご存知の通り、国全体がおかしなことになってしまいました。もちろん、他にいろんなファクターがあることはその通りでしょうが、もし政治体が二重構造であったなら、これを倒すのはもっと困難だったはずだと思うのです。

2008年11月30日日曜日

Africa:United States of Africa


Afrik.comの記事より。
Daniel Laineによって撮られた現存するアフリカの王様やスルタンたちがコートジボワールのアビジャンで会合を開いたそうです。詳細は省きますが、なぜかリビアのカダフィ大佐を「アフリカの王の中の王」と呼ぶなどなんだかちょっとうさんくさいのです。
ただ、面白いのはこの王様達が「アフリカの連邦政府」を作り、それをAUの将来あるべき姿として来年1月にエチオピアのアジスアババで開かれる予定のAU総会に議題提出するつもりだということです。王様達は結構まじめなようです。
しかし、このユートピックな「思想」のルーツはかなり古いのです。それは1945年、つまり第二次世界大戦が終わった年にケニア建国の父ジョモ・ケニヤッタやガーナの初代大統領、クワメ・ンクルマなどがイギリスのマンチェスターで開かれた汎アフリカ会議で提示されています。またエチオピア皇帝ハイレ・セラシエやタンザニアの初代大統領ジュリウス・ニエレレもこのパンアフリカニズムを信奉していました。また、セネガルの初代大統領レオポルド・セダール・サンゴールもこのパンアフリカニズムに強く惹かれ、西アフリカの旧フランス植民地が独立するに際して、現在のセネガル、マリ、ブルキナファソとベナンをまとめ、「マリ連邦」を作ろうとしました。しかし、この試みは失敗に終わり、現在ある形での独立が行われたわけです。
このパンアフリカニズムが惹き付けたのは政治家だけではありません。(もちろん、サンゴールは単なる「政治家」ではありませんが。)レゲエの神ボブ・マーレーもこれを歌っていますし、最近ではU2のボノが今年のTICADで「United States of Africaは長い目で見たアフリカの夢」と言ったりしている他、アフリカ各地で流行しているラップにもパンアフリカニズムの影響が見られるようです。

このパンアフリカニズムはアフリカ各国の独立後、政治的に一応は姿を消すのですが、2000年にトーゴのロメで行われたAUサミットにおいて当時の議長であったリビアのカダフィ大佐がこれを持ち出したことの流れを受けて、今回の王様達の動きとなっているのでしょう。
個人的な意見では連邦政府を作ったりという政治的なアフリカ統合はまず無理だと思うのですがAUの機能強化という意味では面白いと思います。あと重要なのは経済連合体で、現在もECOWASやSADCという枠組みがありますが、これの強化によって各国の経済的つながりや機能的な補完、そして物資のより自由な流通が経済発展にプラスの影響をもたらすと思います。

2008年11月28日金曜日

RDC:広がる戦地、増加する難民


BBCの記事より。
この記事の下の方に地図があります。これを見て驚きました。こんなに戦地が広がっているし、CNDPはほぼ完全にキブ湖の北岸を制圧してしまっています。キンシャサとの間で停戦協定が結ばれたものの、コンゴ民軍側のマイマイなどが前線の市民を強奪したりしているので、これが停戦協定を守らない口実を与えてしまっているようです。難民の数は25万人に達しているようです。MONUCは難民を前線地帯から後退させるという作業にかかっているようです。

世界不況がアフリカに及ぼす影響 2


日本は戦後、安い労働力を軸に第二次産業を発達させ、世界有数の輸出産業を築き上げてきたわけですが、今は日本のモノを作って売る力は急速に衰えているような気がします。20年前、私がアフリカに来た頃は、日本製品の黄金時代でした。アフリカ人の憧れは日本製の電化製品、そして日本車でしたし、街にもそれがあふれていました。それに比べて今の状況はどうでしょう。今、電気製品と言えばSamsungやLGと決まっています。車は日本車から韓国車に移り、今はバスもインドのTATAだし、乗用車もイラン製です。コンピュータはDELLやHPばかりで日本製なんかみないし、携帯はNOKIAです。もうほとんど日本メーカーの製品なんか見ることがなくなってしまいました。車くらいなものです。
もちろん、日本でもこれらの製品を作っているのにアフリカには入って来ない。今はもう日本製品は憧れでもなんでもなくなってしまっているのです。これは日本のメーカーや企業がアフリカをマーケットとして見てなかったからだと思います。それに対してアメリカもヨーロッパも一応アフリカをマーケットとして見ている。新興国はアフリカのマーケット価値をもっと高く捉えているのだと思います。資源を買いあさる中国というのはよく言われていることですが、中国がやっているのはそれだけではありません。アフリカには中国製品があふれています。たとえアフリカが貧乏でも中国はそれをマーケットとして活用し、それがアフリカと中国との関係を密接なものにしているのです。セネガルのビジネスマンと話すと、彼らは日本は行ってみたいとは言うものの、実際にビジネスに出かけるのは圧倒的に中国が多いのです。もはや、日本はただの幻想でありブランドイメージさえ消滅しつつあると思います。
アフリカは貧乏だからこそ新興国が入っていきやすいのではないでしょうか?つまり、これから伸びていく産業やマス対象製品の試金石的な位置になってきたのかもしれません。
世界が不況になっても、アフリカの国民にとってはそれほど影響はないでしょう。もともと、景気から取り残されたマーケットなのですからこれ以上に悪くなることはあまり考えられません。影響を被るのは一部の富裕層と政府くらいのものでしょう。
これはアフリカの相対的なマーケット価値が上がる、ということを示しているのではないでしょうか。

世界不況がアフリカに及ぼす影響


サブプライム問題に端を発し、リーマンブラザーズ倒産によって加速された世界不況ですが、先進国および新興国のかしましい動きをよそに、アフリカ諸国はなんか「蚊帳の外」・・・といえばいいのか、唖然としているのか、それほどこの問題に対して目立った動きを見せていません。首脳クラスでは唯一ベナンのボニ大統領がちょっとした声明を出しただけです。
しかし、ここに来てじわじわと影響が見えてきました。まず、ナイジェリア。産油国であるこの西アフリカの巨人は原油価格の低下の影響をほぼまともに食らっています。そして、ガボンやコンゴなどの木材輸出国も次々注文をストップされて、在庫がだぶついた状態になっているそうです。このように第一次生産品や地下資源の輸出に頼っている国はこれからどんどんそれらの需要が減らされて、収入が先細りするでしょう。
また、セネガルなどのようにもともと地下資源も少なく、第一次生産品輸出もそれほど多くない国はこれまでも援助に対する依存度が高いのが非常に大きな問題ですが、すでにフランスが援助関係予算の削減を発表するなど、先進国がそろって援助額をカットしてくることが予想され、さらに運営が苦しい状態に陥る可能性があります。
アメリカの次期大統領オバマ氏は、経済の立て直しを危急の問題として着任後、これに対する大きな政策を次々と打ち出すでしょう。しかし、ニューディールがそうであったように、これらの政策はとりあえずはアメリカでの内国的な雇用促進と内需拡大を目指すのではないかと思います。
アメリカがこのように動けばヨーロッパも同じような動きを見せるのではないでしょうか?そして世界というマーケットからヨーロッパというより小さく、コントロールしやすい中での経済の均衡をとろうとする政策に転換するかもしれません。
そういう動きの中でアフリカ諸国がどのように生き残ることができるのかは、各国の問題でもありますがECOWASやSADCといった地域共同体の役割が重要になってくるのではないかと思います。
コートジボワールは早くもヨーロッパとの関税完全撤廃に向けて動いています。やはり、経済的にはもっとも先進的な国だけあります。あれだけの政治的不安の中でもやることだけはやるのだな、と感心しました。