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2009年4月27日月曜日

OLPC:新しい挑戦


しばらくOLPC周辺は暗いニュースばかりで、このまま消滅してしまうんではないか?とも危惧されたのですが、ネグロポンテ氏はそんなに簡単にあきらめていなかったようです。OLPCはいくつかに解体され、派生したソフトウェア開発を行うSugar Labs、スクリーンを扱うPixel Qiなどが、XO Laptopから少々距離を置いて仕事を進めたようです。そして、ネグロポンテ氏率いるOLPC本体は自力での新しいハードウェア開発をやめ、コンセプトを作ることに注力し、ハード作りはメーカーに任せる方向に転換させました。
結果としてこの改革は非常によい結果を生んだようで、最近OLPC周辺のニュースがいくつも浮上してきています。まず、XO-2、これはブックタイプのネットブックを2面のタッチスクリーンにしたDSの発展系みたいなもの(写真参照)ですが、これがいよいよ実機が作られる見通しになったようです。近年、iPhoneのヒットなどでタッチスクリーン周辺の技術は非常に進みましたし、ハードとソフトの連携も進んでこのコンセプトの実現が技術的に可能になったのでしょう。また、XO-1についてもチップをAMDからVIAに変える(ArsTechnica)など、マイナーチェンジを図っているようです。しかし、最も大きな発展はソフトウェアでしょう。XO-1はもともとSugarという子供用にカスタマイズされたOSを積んでいました。しかし、これはあまり人気がなくOLPCもついに折れてWindows XPを搭載したXOを出さざるを得ませんでした。このSugarについては私も昔、酷評しました・・・というのはインターフェイスこそ子供用になっているものの、一旦アプリケーションレベルに入れば他のLinuxディストリビューションと何ら変わらないワープロだのFirefoxなどが入っているだけだったからです。むしろ、UIをいじった分ものすごく使いにくくなっている印象を受けたものです。しかし、このSugarが大進化をとげたのです。もちろん基本的にはSugarはFedoraベースのLinuxですが、アプリケーションという概念そのものを捨て、Activitiesという形でほとんどすべてのアプリケーションを見直しています。ソフトウエアがあってその機能があるという一般のコンピュータの概念から離れて、子供の活動があってそれに対応するActivitiesがあるという逆のアプローチなわけです。そしてこれはiPhone Appsと極めて似た生態系だと言えます。そういう意味で新生Sugarが一番近いのはiPhoneのOS Xだと思います。また、旧Sugarの問題点であった「アプリケーションが少ない」ということに関してもかなり改善されています。それにしてもPythonをグラフィカルに作れるActivitiesが標準とか、いったい対象年齢が何歳なんだ??というところはまだ残っています。その反面ちょっと重くなっている気もしますが、これは私が使ったのがUbuntu上で動くエミュレータだったからかもしれません。とにかくUIとしての新Sugarは素晴らしい出来だと思います。確かにこれなら子供用に特化されたOSを語れるものに仕上がってます。また、Sugarの進化はそれだけではありません。SugarをXO以外のハードで立ち上げる場合、以前はライブCDを焼いてそれから立ち上げる必要がありました。しかし新Sugarは実にいろいろな方法が用意されているのです。まずUbuntuなど他のLinuxディストリではエミュレータが用意され、レポジトリからダウンロードして簡単にSugarを起動できます。またWindowsやMac OSXでもVirtualBoxを使って仮想マシン上で動かせるようになっています。(これはテストしていませんが)さらにまだBeta段階ですがSugar On a Stickと言って、USBメモリ上にSugarをインストールし、Sugar環境を有り体に言ってどこでも使えるというものも開発されています。これはまた新しいコンセプトだと思います。One Laptop Per ChildではなくOne Stick Per Childとも言うべきもので子供1人に1台のラップトップが難しいなら子供1人にUSBスティック1本というコンセプトの変化です。そしてそのスティックにOSとデータを保存することによってどこでもどのコンピュータでもその子のマイコンピュータになるという新しい考え方ですね。これはもしかしたら子供用だけでなく一般のビジネス用にも広がるコンセプトかもしれません。しかもラップトップに比べてスティックのコストは段違いに低いですし、メインデナンスフリーでもある。そしてマシンは学校に据え付けという形でラップトップである必要はない。また例えばネットカフェなどでもそのスティックから起動して宿題をやるとか新しい形態の使い方が考えられます。(ArsTechnica
リンク:OLPCプロジェクト

2009年2月24日火曜日

Rwanda:OLPCでフリーWifiを見つける子供達


Engadgetの記事から。
かわいいですね。ルワンダではOLPCのプロジェクトがスタートしたばかり、ということですが、XOを持った子供達は教室を飛び出して街でフリーのWifiスポットを見つける遊びに乗り出してしまったそうです。そして見つけた最高のスポットはキガリ国際空港なんだそうです。うちにも子供達は遊びにきます。そしてたいていFlashやShockwaveのゲームのサイトを見つけて一生懸命遊んでいます。子供は確かに慣れるのが驚くほど速い。特にOLPCなんかは記憶領域が小さいですから、中に入っているものではすぐに飽きてしまうでしょう。XOはネットブックの走りとも言うことができ、ネット環境があることを前提に作られています。そして、XOは自らをホットスポットとしてWifiの領域を広げることもできるのです。それがOLPCの考える「子供世界のソーシャル」なのだと言えます。しかし、どこかにネットの接続口がないと、元も子もないわけです。つまり、OLPCの投げかけているのは今商業ベースでしか考えられていない「ネットへの接続」を「社会インフラ」「公共サービス」の1つとして捉えようという試みなのです。それは多分にユートピア的考えでしょうが、もしかしたらルワンダのような国にいちはやくそのような「ユビキタス」が出現するのかもしれません。
とにかくルワンダでのOLPCプロジェクトの成功を祈っています。

2009年2月9日月曜日

OLPC:ネグロポンテはあきらめない


カリフォルニアのモンテレイで開催されているTED (Technology, Entertainment, Design) Conferenceを舞台に、OLPCプロジェクトのニコラス・ネグロポンテ氏が新しいOLPCビジョンを発表しています。
OLPCプロジェクトを巡っては最近はBuy1 Give1プログラムの不振やプロジェクト要員のレイオフや減給など、プロジェクトの行く末が危ぶまれるようなニュースしか聞こえてきませんでした。また、プロジェクトそのものも、ほとんど分解されてしまって、ハードの中心をなすスクリーンはPixel Qiという別会社になりSugar OSについてはSugar Labに引き継がれました。そしてOLPCプロジェクトはすでに完成しているXOラップトップのディストリビューションと新しいOLPCのコンセプトを作り、それが昨年エレガントにソフィスティケートされたNintendo DSのようなデユアルスクリーンのコンセプトとして発表されたわけです。
今回のネグロポンテ氏の発表した新しいOLPCビジョンとは、これらの動きをさらに押し進めた「オープンソースハードウェア」というもので、誰でもXOをコピーして生産できるようにするということらしいです。しかしGIZMODOが分析しているようにこれはオープンソースというよりは「XO Laptopのライセンス生産」に近いと言えるのかもしれません。CNETはさらにビル・ゲイツ氏の「OLPCはやり方を誤った」という談話を引用し、言ってみれば遅すぎたコマーシャルベースへの解放を指摘しています。しかし、ネグロポンテ氏の言う通り、XOというコンセプトそして実機を作ることをしなかったなら多分現在の花盛りなNetbookの氾濫はなかった、これは事実だと思います。そして、現在のNetbookがXOの抱えているのと同じ問題を抱えているのも事実なのです。XOは大人が遊びすぎて、表面だけ子供用にしたSugarを載せてみたり、Win XPを載せてみたり、言ってみれば子供達が何をするマシンなのか、そのあたりがあいまいになってしまった。
今のNetbookも同じです。XP、Vista、XFCE、Moblinを載せたものがあり、はてはMac OSX Leopardを入れる方法まで紹介されているのです。しかし、そんなことはほとんど必要ない、これは大人の遊びなのです。OLPCに必要だったのはDSのように割り切った使い方をする機能だったのではないかと思います。その方がかえって途上国政府やパートナーの理解も得やすかったと思います。
WIREDにXOの新しい使い方としてE-Bookリーダとして使うことが提案されています。これも、やたら「あれもできるこれもできる」わけのわかんない機械ではなく、1つの明確なしっかりした使い方をするという点ではDSに似たものがあります。ともかく、ネグロポンテ氏はまだまだOLPCプロジェクトをやる気満々なようです。

2009年1月6日火曜日

Apple:MacBook Wheel! (ネタ)


Engadget Japanの記事より。
はじめに断っておきますがこれはネタです。
もちろん、AppleがUIに関してパイオニアであるというのは事実なのでこういうネタが成り立つのでしょう。
ところで、このよくできたフェイクのデスクトップを見てあるモノを思い出した人もいらっしゃると思います。それはOLPCのSugar UIです。
これもメインメニューは円形に並べられていて、トラックパッドとポインタで選択するようになっています。まあXOにはフルキーボードが装備されているので、ホイールで操作するわけではないのですが・・・
これで思い出したもの、それは「アイコン」です。カラフルかつ自由にカスタマイズできて視認性のよい「アイコン」はMacOSのシンボルだったと言っても差し支えないでしょう。しかし、今Appleはこのアイコンの役割をだんだん終わりにしようという方向に動いている気がします。MacOSX LeopardのFinderはデフォルトで4つのファイル表示方法が選べます。クラシックなアイコン表示、リスト表示、ヒエラルキーリスト表示、そしてカバーフロウ的表示です。私は通常シンプルでソート機能の充実したリスト表示を使っています。これは名前のアルファベット、作成日時、サイズ、そしてファイルの種類によってソートできるので大量のファイルを管理するのには一番便利な表示方法です。ヒエラルキーリストはファイルの置かれた位置がすぐわかるところが便利ですが、すべてアルファベット順のソートになるのと、ファイルを選択したときのプレビューがなんかうざったいのです。カバーフロウはいちいちプレビューを出すのがややこしい時に内容をすばやく確認するのに役に立つ表示方法です。プレビューに関してはファイルを選択した状態でスペースバーを叩くというやり方もあります。
しかし、クラシックなアイコン表示はほとんど使わなくなってしまいました。
逆にWindowsに慣れ親しんでいるアマドウはなぜかすぐ表示をアイコン表示にしたがります。しかもソートをかけて自動配列させるので、例えばファイルをドラッグ&ドロップでデスクトップにコピーしたときなど、ドロップした場所にファイルが現れず、探さなければならないので面倒極まりないというやり方をするのです。しかも、アイコンをやたらと大きく表示させる傾向にあります。どうやら、アイコンの文化というのは今はWindowsに移って行ったのでしょう。これはSpotlight、昔のSherlockあたりから変わっていった気がします。検索に文字列を使うことからユーザはどうでもいい名前から検索しやすいファイルのネーミングをするようになっていった、という気がします。少なくとも私はそうでした。OS9などのときは適当な名前を付けてアイコンで探していたのです。HTMLなどをいじり始めると、ものすごく細かくて多数のファイルを扱う必要があるので、それが脱アイコンに拍車をかけたのかもしれません。

2008年10月25日土曜日

OLPC:子供に選ばれるSugarXO


Cnetの記事より。
この記事は2段構えになっていてまず最初のパートではWin XPとSugar XOの2つのバージョンのOLPCを比較し、第2のパートでは子供がどちらのラップトップを好むかという実験をしています。
OLPCのハードウエアは開発されてからすでに2年以上過ぎているので、もう最新のものとは言えずハード的には時代遅れとなっている感を否めません。その間にASUSTEKのEee PCをはじめとする低価格のNetBookが非常に速いペースでどんどん新製品を出して進化しています。
OLPCは特に目立った進化を遂げることができず、折り畳むNintendo DSのようなコンセプトを発表するなど、ハードを作って自ら途上国での教育プロジェクトをハンドリングすることをあきらめたのか?と思っていたのですが、どうやらそうでもないようです。
しかしながら、やはりIntelなどと組んでコマーシャルベースに乗せなかったのはハードの開発という点において致命的だったのではないかと思います。もちろんLinuxはPentium 3のような古いマシンでも一応作動しますから、XO Laptopが古くなったとはいえ、ハード的に動かなくなるということはないようです。
子供用に開発され、子供用のソフトウエアを多数組み込んでいるSugar XOに対し、OLPCのMSバージョンはほとんど大人用のXPと変わらないそうです。インターフェイスの差はWinなどへの慣れのない子供では柔軟にSugar XOに対応できるようで、結果として子供にはSugar XOの方が受けがいいというのが結果でした。
Sugar XOもいくつかのアップデートを経ており、現在の最新リリースは8.2.0になったようです。また、フィールドにおいても10月の第1週にルワンダが正式にOLPCのプログラムを始動させ、500台のXO Laptopが実際に学校に配備されたそうです。

2008年8月10日日曜日

OLPC:消えた夢


今年の5月に「OLPCはもう終わり?」と書いた直後に、新しいコンセプトが発表されて少しだけ期待しました、やっぱりOLPCはもう終わりなのかもしれません。それは一向に本格的に生産、出荷されている気配がないのに、もうすでにOLPCハード構成が古くさいものに成り果てているからです。これでは、子供にさえアピールしないでしょう。それに、何度も書いていますがOLPCの成功の鍵を握るのはオンラインサービスです。これまたいっこうに始まる気配すらない。これでは全くOLPCは孤立したただ安っぽいだけのPCです。

大変残念ですが、OLPCはミスリードされた、有望なプロジェクトに終わってしまいそうです。
その事態を招いてしまったのは1つにネグロポンテ氏のワンマンぶりがあるでしょう。
ワンマンのカリスマ経営者は悪いものではありませんし、IT業界にはそんなに珍しいものでもありません。AppleのSteve Jobs氏もMSのBill Gates氏もそうだと言えるでしょう。またUbuntuのMark Shuttleworth氏も言ってみればそうだと言えます。
しかしネグロポンテ氏はすべてをミスリードしてしまったように見受けられます。
ハードの開発にあまりにも長い時間とリソースをつぎこんだこと、かたくなに商業ベースのパートナーを拒んだこと、そしてマーケットとの融合を拒んだこと。このミスリーディングによってハードの価格を目標の100ドルはおろかその倍近い180ドルにしか押さえることができなかった。また、途上国政府の支払い能力を過信したために、実際には金が入らず、ハードの生産が思うようにできなかった。そしてSugar UIの思わぬ落とし穴。さらに追い討ちをかけるように低価格ラップトップが登場し、商業ベースに乗ってマーケットを席巻、それによってこのジャンルのハードが急速に発達、低価格化が進んだこと。最終的にはユーザの要望に屈し、XPを搭載することになったこと。
しかしXPすら、OLPCでは遅いこと。

もちろん、OLPCのコンセプトは大きな影響力がありました。これがなければASUS Eeeはなかったでしょう。低価格ラップトップのマーケットもなかったでしょう。だからこそ、OLPCが大きな規模で、展開できないでいるのが非常に残念です。もっとタイムリーにいろんな決断をしていたら、今は本当に100ドルで途上国の子供達がOLPCを手にしていたのかもしれません。また、OLPCプロジェクトが直接途上国政府とやり取りするのでなく、国際機関だとか政府系援助機関やNGOなど、途上国において事業を展開するのに慣れている機関の手を借りれば、資金調達やインプリメンテーションももっとスムーズに行ったはずです。
今でもコンセプト的に共感する人は多いし、実際インテルなどの企業がパイロットプロジェクトを展開しています。今後もこれが単に消え去ってしまう夢でなく、たくさんの人が見続ける夢になっていってほしいと思います。

2008年7月25日金曜日

Netbookへの懸念?

NY Timesのこの記事です。
OLPCが先鞭をつけ、ASUSTEKが切り開いた後、その成功に乗っかって他社が次々と新製品を投入するNetbook市場に、老舗PC大メーカたちが懸念を表明している・・・というのですが、このあたりそれらのメーカの体質を見事に表しているようで面白い。

その一方で、じわじわとMacが売れているらしいです。
これまでWinベースのPCやラップトップが売れたのはなぜだったのか、これらの大メーカは忘れてしまったのでしょうか?

それは「安いから」に他なりません。

そのために大幅に値引いて量販店で売りさばいたわけです。それに、その「安さ」で対抗するNetbookが今までは部品メーカー、パーツメーカーであったASUSTEKなどが入り込んだからといって、それを懸念するというのはいかがなものでしょう?
むしろ、それは健全な競争であるという気がします。
安さでシェアを獲得した後はブランドや付加機能などで売るタイプの戦略に移行しているようですが、本来の自分たちの支持基盤というものを忘れちゃったのでしょうか?
反対に最初からブランドで売っているAppleにこの戦略では一日の長があるのはあたりまえです。なんと言っても、他の大メーカが安売りに汲々としていた時代からブランドのビルディングをやっているわけですから・・・

しかも、モデルを絞ることによって非常においしい価格帯に仕上げている。今、一番C/Pの高いラップトップは間違いなくMacBookだと思いますし、デスクトップならiMacでしょう。しかも、どうしてもWinが使いたければBootCampして両方使えるわけだし。
で、2台目サブノートは?といえば安いNetbookに目がいくのは当然の帰結なのだと思います。それかiPhoneにしたり、Touchという選択肢もあるし。

今のWindowsノートは高すぎると思います。例えばSONYのVAIO Tとか新しいVAIO Zとかですが、確かにデザイン的に惹かれるものはあるし、モノとして欲しいという気はします。しかし、MacBook Proと同じかそれより高いし、中古でさえMacBook Airの新品が買えてしまう。それなら素直にMBP/MBAを買おうと思います。かと言って安いWindowsノートは買う気のおきないようなデザインだし・・・
言ってみれば作る側の都合がデザインや価格において常に優先されている。全然ユーザの立場に立ってない気がするのです。(ユーザの立場に立っているのがド派手なカスタマイズパーツだとしたらそれは間違った認識だと思います。)

そうなったらもうブランドだの言ってられません。安いものがマーケットを制覇するのは当然です。しかも、PC界を裏で操るMSがLinuxが普及してしまう懸念から「人気のXP」を安くこれらのNetbookに搭載することを許してしまったのです。
こうなってまで大手PCメーカがMSと運命を共にしようとするその姿勢の方がかわいそうに思えてきてしまいます。
VAIOなんかVistaじゃなくてUbuntu Studioをプリインストールして5万円くらい値引きすれば売れると思うんですけど。

2008年5月22日木曜日

驚きのXO 2.0 Laptop


写真を拡大してみてもらえるとわかると思う。XOにXPを積んだことでもうOLPCは終わりなのか?と考えてしまった矢先、このようなものを出してくるとはなかなか憎いタイミングである。しかし、OLPCプロジェクトそのものはプロジェクトの方向性をもっと考えるべきだろう。確かにXO 1.0は100ドルPCというコンセプトがあり、このおかげでAsus Eeeが生まれてバカ売れしたという「方向性としての功績」を残した。さらにEee PC以降、Everex Cloudbookをはじめ、一連の低価格で小型のラップトップというマーケットを作り出した。Cloudbookはデフォルトでg-OSを搭載しており、Eee PCはXubuntuをカスタマイズしたものとXPから選択する形になっている。Winの優勢は変わらないものの、ある程度Linuxの食い込みが見られる。
ネグロポンテ氏もXO 1.0の失敗を繰り返すのはマズいと考えたらしく、2.0ではこれを見直したようだ。つまり、コンセプトを発表し、メーカー側がこれを見て実際に製品化するのを待つようだ。
私はXO 1.0の頃からOLPCに一番コンセプト的に近いのはNintendo DSだと思っていたが、今回のXO 2.0はまさにDSと基本コンセプトは同じである。デュアルタッチパネルスクリーンで、これが開いた形でいろいろ変化する。違いはそのサイズとスクリーン解像度、それにスタイラスペンを使わないということ。
サイズ的にはVAIOの(昔の)C1くらいの大きさになるようだ。
それにしても気になるのはこの「タッチスクリーン」技術。この分野で実装レベルで一番進んでいるのはアップルのインターフェイスだと思う。もしかしたらネグロポンテ氏も今回はソフトの面でアップルの協力を受け入れる気になるのかも?
そして驚きの価格はなんと75ドル!
これだけは実現難しいと思う。あと、やはり途上国向けを考えているらしく、消費電力をわずか1Wとしているが、これには新しいチップの開発が不可欠だろう。
情報はGIZMODOさんより。

2008年3月9日日曜日

OLPCが新しいCEOを募集


OLPCプロジェクトが苦境に立っているらしい。これまでもOLPCに立ちはだかる壁について書いたことがある。言ってみればOLPCはiPhoneのようなプラットフォームなのだ。そしてプラットフォームを成功に導くにはエコシステムが必要であり、OPLCには明らかにこれが欠けている。もちろん、エコシステムを作っていくのは難しい。あのMicrosoftですらエコシステム作りは不得手で、他者の作ったプラットフォームを買収などで乗っ取るのを常套手段としている。このあたり、うまいのはApple、adobeそしてGoogleあたりだろう。
もちろん、OLPCをいきなり商業ベースに乗せるのは難しいだろう。しかし例えば国連システム(UNICEF、UNESCO、UNDPあたり)やバイラテラルのODAと協力、タイアップするなり、あるいは先進国の政府が関わってくるのがイヤなのであれば教育系の大手NGO(ここらでは仏系のAide et Action、ENDA、あとはPlan Internationalなど)と協力することでエコシステムを作り上げることはできるはずだ。
アフリカの各地で働く日本の青年海外協力隊員もIT関連の隊員はOLPCの動きに期待し、見守っているはずだし、協力を乞われれば惜しまないと思う。他国のボランティアも同じだろうし、UNVという手もある。
OLPCの前進を阻んでいるのは参加国からかなりな数の注文をとりつけるところと、その代金を前払いさせるところだと思う。アフリカの政府はどこもそのような大金は容易にすっと出すことはできないし、それをしかも「外貨で」用意するのは並大抵のことではない。ナイジェリアがそこまでこぎつけているのはオイルマネーがあるからにすぎない。この初期投資部分だけでもODAやパートナーのNGOに頼ってもいいと思うのだ。もちろん理想を言えばこれは一回限りの措置でサステイナブルな解決策とは言えない。しかし、OLPCを離陸させることの方が重要だと思うのだ。いったんエコシステムができてしまえば、それがマーケットを作っていく。マーケットは雇用を生み、そしてアフリカでのOLPCをめぐるエコシステムが作られていくはずだ。その時点で政府にも理解が生まれ、新しい注文を出すだろうし、政府内にも参加気運が高まるはずだ。
iPhoneを見てもわかるようにまずは機材が流通しなければソフト開発者も、オンラインサービスも出てこないのだ。OLPCのXOラップトップはもう「新しい」とは言えないが、他の低価格ラップトップが持っていない面白い機能を備えているし、XO Sugarが流通し始めれば、Sugarと近いところにいるCanonicalなどがEdubuntuなどのソフトをSugarに移植などということも考えられる。

2008年1月11日金曜日

Pixel Qi(気)=OLPCからの派生


OLPCのボードからIntelが脱退したり、低価格ラップトップが次々と登場したりとOLPCにとって「逆風」ともとれるニュースが相次いでいるが、今度はXOラップトップをデザインしたJepsen氏が商業ベースのPixel Qi(気)プロジェクトを立ち上げ、75ドルのラップトップを作るという。確かにOLPCプロジェクトはスタックしているように見える。その主な原因は相手が政府機関であるだけに外交的な約束が実際に支払いにまでこぎ着けるのがとても遅いということ。そして商業ベースを排した点だろう。後発のAsusTech Eee PCがすでに30万台以上売り上げているのを見るとこの2点目は明らかにネグロポンテ氏のミスリードだったのではないかと思える。そこで、Pixel Qiを通してXOラップトップに搭載されている技術を「切り売り」していこうということなのだろうか。
確かにXOラップトップとEeeは似て非なるものである。XOは子供が砂場に持ち込んでも壊れないように出来ているし、Pixel Qiの中心技術である「日光のもとでも見られるスクリーン」、そして私はこっちの方が面白いと思うのだが、WiFiメッシュを生成する機能を備えている。これらはEeeにはない点だ。だから、これらの技術を切り売りして、さらにOLPCに近いモノが商業ベースで流れるようにしようというのはグッドアイデアだろうとは思うのだが、なんかタイミングがいまいち「遅い」というか「いまさら?」という感を拭えない。
もちろんPixel Qiによって大量生産ベースに乗ったOLPC用スクリーンの価格が下がり結果としてXOラップトップを目標価格の100ドルで売れるようにすることを狙うなら、それは可能ではないかと思う。スクリーンの原価はPCの原価の中でもかなりのウエイトを占めるのだから。
OLPCがこのような戦略に切り替えてきたからには、今後もしかするとワイヤレスメッシュの技術も切り売りされるのかもしれない。
これはかなり面白いことになってくるだろう。

2007年12月14日金曜日

Sugar UIは直感的か?


GIZMODOさんの記事からなのだが、OLPCの要であるSugar UIの使い心地についてのレポート。
実は私もこのSugar UIを起動CD-ROMとして焼いてPCで使ってみたことがある。しかし、SugarはOLPCハードに依存しているのでネットワークカード(Ethernet)を認識しなかったり、実際は使えなかったが、ワープロなんかは使ってみた。
Sugar UIは従来のOSインターフェイスとは全く関係なく作られているのだが、従来のインターフェイスに慣れているとものすごく戸惑う。それにインターフェイスが変わっていても機能そのものはLinuxでありAbiwordだったりするのでできるはずのことがSugarに邪魔されてできない(子供用に限定)ことの方にイライラが来てしまう。まあ、これは大人の考えなのだろうなと思っていた。
OLPCの対象年齢は多分10歳以下なのだろう。
あとはXO Laptopのハード的制約、特にスクリーンサイズによって、常駐させるべき表示を非表示にせざるを得なくてある機能への動作パスが長くなりがち・・・つまり何回もクリックしたりタッチしたりする必要がある。もちろんマルチタスクではない。
OLPCの使い心地は多分PCでもなくゲーム機でもない、その中間的なモノだと思う。中身はPCだし機能もPCなのだがそれをSugarでゲーム機っぽくしてみた感じだろうか。しかしゲーム機の使いよさというのは非常に数の少ないボタンで体感的にナビゲーションできるという点であって、それに関してはOLPCはPCなのである。
そのあたりに「使いにくさ」の源があるのかもしれない。

とにかく小学校高学年以上はOLPCではなくEdubuntuのようなOSの方が向いている気がする。

2007年12月11日火曜日

低価格ラップトップ


OLPCのG1G1(Give One Get One)プログラムによる出荷とAsus Eeeの発売が同時に始まった。これで、実機が流通し始めることになり、実際に低価格ラップトップという新しいプラットフォームが開かれた。しかし、低価格とは言っても実売は事前に言われていたよりは遥かに高い。OLPCは2台分の価格で400ドルだし、Eeeも同じくらいの価格で売られているようだ。
多分、大量に流通し始めれば少しずつ価格は下がっていくだろう。この価格帯というのはまさにiPhoneの本体価格、あるいはiPod (Touch/Classic) の価格帯である。言ってみれば大人の高級ガジェット価格。
果たしてこの価格でXOやEeeがもともと目指した最終ユーザ=子供の手に渡ることになるのだろうか?Eeeは汎用プロダクトだから別に大人が使ってもいいわけだが・・・多分子供の手には渡らない気がする。
家庭に入り込んだPCは「みんなで使うもの」からどんどん個人用ツールに向かい、ケータイに近づいている。そのカタチがEeeではないかと思う。
OLPCが描いた世界はユートピアの美しさを持っているがその実現にはまだ長い道のりが残っているということだろうか?
しかし、ネグロポンテ氏が守っているOLPCのアイデンティティはむしろアップル的なもので、時間をかければ受け入れられるだろうと思う。OLPCと競合しそうなのはAsusではなくNintendoなのではないだろうか?

2007年10月17日水曜日

Asus EeeはOLPCキラーなのか?


私は違うと思う。Asus Eeeとは台湾のPCメーカーAsusが出すOLPCに似た構成の安価なラップトップのことである。7inchのスクリーン、小さな筐体、ノンスピンドルなどOLPCと似たスペックでOSはWin XPとLinuxから選べる。大量発注をかけるとさらに安く買えるらしい。
しかし、この機械はターゲットが違う。OLPCは子供が対象だ。しかしEeeはむしろ「安価な汎用ラップトップ」である。マシン構成が似ているからと言って、これをすなわちOLPCキラーだとは言えないと思う。
とはいえ、ネグロポンテ氏のOLPCプロジェクトがそれほどうまくいってないように見えるのも、事実だ。OLPCハードはよく考えられていると思うが、ソフトの面でキッズフレンドリーでなかったり、制約が大きい、サーバサイドのソフトウェアが見えてこない、オンラインサービスが伴ってないなど問題が山積みだ。MITは例えば任天堂のようなゲームメーカーの協力を仰ぐとかキッズ用のオンラインサービスをそれなりの企業とタイアップして立ち上げるなどするべきだと思う。そうしないとせっかくのOLPCハードやSugar UIがもったいない。
とにかく有料でもいいからXOラップトップを売り始めることじゃないだろうか?
アップルがiPhoneを発売してからわずか3ヶ月なのにオンラインのiPhone用サービスは日進月歩で増え続けている。ハードのユーザが増えればソフトを開発する層も広がっていくのだ。
Asus Eeeが注目されるのはその価格と「汎用」ということだ。途上国の現状は「コンピュータを子供『専用』にするほど余裕がない」というのが本音だろう。大人が欲しがっているのだ。それを「大人のエゴだ」と感じるのは「先進国のエゴ」というものである。例えば大学生など、論文を書いたりするのにラップトップをのどから手が出るほど欲しいけど高くて買えない学生がほとんどなのだ。そういう学生あるいは地方の役所や企業など「汎用ラップトップ」のニーズはめちゃめちゃ高い。
しかし、Asus Eeeの「未来」はあまりない気がする。それは基本的にEeeが「次のステップに達するための踏み台」にすぎないからである。XPやLinuxなどの汎用OSを走らせるにはハードが貧弱すぎる。すぐに「使い物にならない」ということで、別のよりハイスペックなPCに移行する必要が生じるからだ。そして、中進国などからは徐々にモバイルデバイスに取って代わられる。つまり、iPhoneやSymbian OSを積んだケータイなどである。
それに比べればOLPCの未来は明るいと言えるだろう。しかし、もうじらすのはいい加減にして先進国でもiPhoneくらいの値段で売り出す方がいいと思う。

2007年9月24日月曜日

OLPCの新しいマーケティング


面白い試みです。OLPCラップトップ(XOラップトップ)がまもなくアメリカで発売になり、クリスマスに向けて「1つ買うと、1つ寄付」というキャンペーンをうつようです。
売価は400ドル。ちょっと高い気がするのですが・・・
REDのように売価の何%が寄付されるというスタイルの方がマスには受け入れられやすい気がするのです。
でもチャリティが一般的な米国でのこと。成功するのかもしれません。
11月に応募をしてクリスマスに間に合う形で出荷されるということです。

REDがユニセフの募金のようなものなら、このキャンペーンはフォスターチャイルドのようなものだと思うのですがだったらそれなりのNGOとタイアップしてやる。つまり、あとで「この子にあなたの寄付したXOはあげました。」とフォローして、その子から寄付主にメールが届くとか、そういう仕掛けがあれば成功する気がする。

そういうことを見てもネグロポンテ氏とそのスタッフは人をネットワークすることがあまり得意ではない気がします。