2009年2月2日月曜日

Africa:News Round Up 2/2


週明けのNews Round Upです。

まずは、やはり混乱の続くマダガスカル情勢ですが、アンタタナリブ市長が「口先のクーデター」を煽動し、大統領に半旗を翻しています。しかも、7年前に現大統領が政権を掌握したときの彼の役職がやはりアンタタナリブ市長だったということで、ギニアに引き続き「歴史は繰り返す」パターンを地でいっています。この一種の「先祖返り」みたいなブームは非常に心配です。すべてが「歴史の必然」みたいな感じで正当化されてしまうとどういうことが起きるのか考えてみれば良いでしょう。そんなにしょっちゅう先祖返りを起こしていたら、人間性というものは一歩たりとも前に進むことはないのです。そして、ギニアにしてもマダガスカルにしても、これらの先祖返りが示唆するもの、それは新しい政権も実は倒された政権と「変わらない」ということなのだということを、やってる主体が気づいていないことにあると思います。もちろん、それを断じてしまうのは時期尚早であるというのも正しいですが、発足当時からそういう「含み」を持たせてしまうというところが問題なのであって、これは民主的な政権交代を成し遂げた例えばベナンとかガーナ等の安定度とは比べ物にならないと思います。それにしても、ここまで民衆レベルでの不満が高まっていたことを、外交筋とか協力関係者は察知していなかったのでしょうか?

次にジンバブエですが、コレラの犠牲者は3000人を突破、ついにムガベ大統領の俺様主義一直線にも陰りが見え、野党の代表と連立政権を目指すということですが、これに対してはメディアもこぞって「歓迎するものの・・・」(ここから先オフレコ)「多分、これはポーズ」というトーンです。しかも、暴落を続けるばかりのジンバブエドルはついに印刷さえもストップ。市井では米ドルが通貨として流通しているとのことです。しかし、ここまで破壊の限りを尽くして、それで連立とはどこまでいいかげんなのでしょうか。ムガベがしっかりいなくならない限り、この国の情勢が上を向くことはないと思います。

先週末よりエチオピアのアディスアババでAUアフリカ連合の定例会が開催され、各国の首脳が集まっています。しかし、モーリタニアとギニアは席を剥奪されたままで、しかもなんだかカダフィ師とナイジェリアのヤル・アルダ大統領との間に無言のキナ臭い主導権争いみたいな空気があって、ちょっと気になります。例のUnited States of Africa構想もこれだけ政治的にゴタゴタした国が増えると、「それどころではない」という気がします。

あと、先日から問題になっているようですが、セネガルやナイジェリアなどで当局による同性愛者バッシングが強くなっているということです。特にセネガルのケースは、逮捕されたのがエイズ対策関係者だということで、困ったことになっています。フランスをはじめEU、そして国際機関が動いています。これらはデリケートな人権問題がからんできますが、これはセネガルなど、民主的と言われているアフリカの「アキレス腱」とも言える場所でしょう。そして、被差別者あるいはその経験者がさらにその中でマイノリティを差別するという最も醜悪な現象となるわけで、これを容認したら、万人の平等という近代憲法の精神そのものを翻し、多数派による少数派弾圧を容認し助長してしまうという論理的な崩壊につながってしまいます。これもまた一種の「先祖返り」とも言えます。セネガルもナイジェリアも、ヨーロッパなどが持っているこの危機感を感じていないようでシラっとしていますが、これは「内政の問題だ」などとシラを切っているとあとで本当に高い代償を払うことになると思います。

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