2009年1月31日土曜日

Burkina Faso:初等教育の先にあるもの


IRIN Newsの記事から。
ブルキナファソで基礎教育のミレニアムゴール達成を目前にして別の問題が浮上しているというのです。
それは、高等教育に進む子供達が増えて、高等教育機関のキャパシティが足りなくなり、また高等教育に対する政府予算も逼迫しているという問題です。
当然の問題です。
私は2003年にニジェールの援助計画に関わった時点から、この「問題」について言い続けてきました。その頃はもうどのドナーも初等教育初等教育と援助合戦を繰り広げていたわけで、中等教育や職業訓練、高等教育などの「初等教育の先にあるもの」に対する援助の話は聞いてもらえもしませんでした。ましてやその分野の案件形成なんて夢のまた夢。しかし、常識的に考えれば小学校への就学率が高まれば当然その子たちは数年後に成長して中等教育、そしてその先にどんどん進んで行くのです。つまり、初等教育に注力するのはかまわないけれど、その先をちゃんと考えて準備しておく必要があったのです。さらに言うなら、最終的には「雇用」の問題がどーんと待ち構えているわけで、これには経済政策を含んだ国の民間企業振興策が絶対に必要なのです。しかし、私の知る限りこの分野にまともに取り組んでいるのはUNDPと世銀くらいなものでしょう。
ブルキナファソは言ってみればセネガルと同じく援助の優等生で、政府が自分の考えを押し通すよりはドナー側のオファーやトレンドに迎合しやすい国だと思います。しかし、考えてみればドナー側のオファーやトレンドなんて例の構造調整と同じで永続的なものでもなければ長期的計画にのっとったものでもないのです。それを今回の問題がまさに証明しているわけです。
人材育成というのは常に「その国が必要とする最終的な人材像」を思い描いて、それを作り上げるシステムに対して助成を行うものです。つまり小学校に限定して援助を行っているドナーはその国の必要としている人材像は「小学校卒」だとでも言うのでしょうか?「選択と集中」とか言っても、それはもっと大きな設計図があって時系列的にも整理された上でのものでなければなりません。
まあ、この世界を渡り歩くともっとおかしなことに巡り会うこともあるわけで、時間を逆行し初等教育の次は幼稚園、そして就学前の教育だとか言い出し、実際にそういうプロジェクトを通してしまうのも見ました。もちろん、予算が豊富にあって、ちゃんと「子供の成長していく未来」を見据えた上でやるのならいいのですが、中等や高等、技術教育は「トレンドから外れているから」という愚にもつかない理由で全くできてないのですから、ムダそのものです。プライオリティというものをはき違えています。そして、民間の財団や大型NGOがすでに活発に入っている分野にわざわざODAが入る意味はなんなのか、論理的に説明してほしいものです。
国の開発計画は「トレンド」でどうこうするようなものではないと思います。今回のブルキナのケースなどはほとんど国際協力の「ファッションヴィクティム」だと言えます。まあ、そういうものに安易に流されてしまったブルキナ政府も情けないですが・・・
保健の分野では、エイズ対策がこれにあたるでしょう。今はまだプロジェクトにエイズと名前がつくだけで金が集まってくる、一種のバブル状態ですが、ARVなどは根本的にHIVを駆除できる治療薬が開発されるまでは永続的に続ける必要があるわけで、それまでバブルが続くとも思えません。はじけたときに切り捨てられる人々が百万人単位で発生すればこれはもう一種のホロコーストだと言えます。各国が援助に頼らないエイズ対策の計画を立てていくことを援助しなければならないでしょう。

オバマ大統領は世界を救うのか?


オバマ大統領の就任の日、私はニューヨーク5番街の路上にいました。午前中に確かコロンブスサークルの近くにあったCOMPUSAを探したのですが、何回かそのあたりを回っても見つからず、Apple Storeに行って調べたら、COMPUSAはすでに撤退、フロリダを中心に2〜3の州を除いて店舗展開をやめていました。しかたがないので次の目的地5番街と42nd〜43rdにあるBEST BUYとCircuitCityに向かいます。途中ロックフェラーセンターを覗くと、大きなTVスクリーンがセットされ、就任式の準備が中継されていました。たくさんの人がビルの前の広場を埋め尽くしていました。CircuitCityは廃業するということですべての品物を10%引きにしていました。しかし、もうほとんど在庫もなく、店員もレジにしか人がいないという殺伐とした雰囲気。BEST BUYの方はそれほどではありませんが、Apple Storeとは全く違う雰囲気でなんかやはり景気悪いのかな?というのをひしひしと感じます。12時が近づき、人がわらわらと駆け込んできて大型テレビを取り囲みます。YO YO MAが演奏しています。そういえばニュースでタイムズスクエアに巨大スクリーンが出て中継すると言っていたのを思い出し、42ndを西に歩き、ブロードウェイに出ます。すると、丁度演説の真っ最中でした。まあ、演説そのものは後でテレビで何回も見られますし、夜には解説もたくさん出回るので、雰囲気を味わいました。街の雰囲気は熱狂的ではありませんでしたが、ブッシュ政権にはみんな本当にもうウンザリしていて、ともかくよかった、という感じです。演説の内容は選挙の時のような、人の心を鼓舞するようなタイプの演説ではなく、アメリカが今抱えている多数の問題を直視した非常に押さえたトーンのものだったので、マーケットの反応もどちらかというとネガティブで株価は下がったようです。
しかし、本当に重要なのはこれからです。今必要だったのはアメリカの歴史のページをめくること、ブッシュの時代にピリオドを打って、次の時代の幕を静かにあげることだったのです。オバマ大統領は「ミラクル」を起こすわけではないと思います。また、アメリカという多様性の国民を総立ちに熱狂させるタイプでもないということが就任式を見ていて良くわかりました。
しかし彼はもっと冷徹な実務者タイプの大統領なのだと思います。
実際、ホワイトハウスに入る前からかなり周到な準備を行っているようですし、これからどんどん大型政策を発表していくことになるのでしょう。多分、当面は外交よりはアメリカの内政問題を重点的に解決していくと思われます。でも、これに失望することはありません。世界を不況に落とし込んだサブプライム問題というのは純粋にアメリカの国内問題だったのです。しかし、そういうフワフワしたおいしい儲け話に乗ったヨーロッパや日本の銀行がいっぱい資金をつぎ込んだ結果、そのあおりをまともに食らっただけなのです。そして世界のマーケットが機能不全になって世界を不況に引きずっていった。
つまり、アメリカの内政問題は世界全体の問題でもあるわけです。何度も言いますがオバマ大統領はミラクルを起こして世界を救うことはないでしょう。しかし、地味な努力と確実な実行力によって徐々に体勢を立て直していくと思います。

2009年1月30日金曜日

Africa:News Round Up 1/30


まずはマダガスカルですが、まだ落ち着いているというのからはほど遠い状態のようです。またこの問題の根は深くて実際政権そのものがどうにかならないと決着がつかないレベルなのではないかと思います。これを見てもわかるように、民主化の道というのは単に政権交代が行われただけではダメでそれは単なる「入り口」に過ぎないわけです。理想にあふれた若い国家元首はその理想と個人的野望をはき違え、独裁者になっていく。これはかなり長引くかもしれません。

次にニジェールですが、国連の特使は12月から行方不明のままです。今度はヨーロッパの観光客が誘拐されました。スイス人2名、ドイツ人1名、英国人1名の4名で、マリ北部で行われていたフェスティバルに行った帰りに誘拐されたということです。ということで、マリ北部およびニジェールは特に外国人を狙った誘拐事件がこれからも起きる可能性があり、危険なようです。(Afrik.comの記事

コンゴ民東部北キブ州での内戦ですが意外な展開を見せています。この内戦を指揮していたローラン・ンクンダがルワンダの自宅で逮捕されルワンダ当局によって勾留されています。RDC政府はンクンダの引き渡しをルワンダ政府に要求しているようです。そしてCNDPは事実上解体し、ゲリラはコンゴ民軍、ルワンダ軍に合流したということなのですが、なんだか訳の分からない展開だと言えます。この地域ではまだウガンダ国境においてLRAという一種の新興宗教的バックグラウンドを持ったゲリラも動いていますので、ちょっとしたきっかけですぐ火がついて燃え上がるような状態ではないかと推察します。(Afrik.comの記事)

AllAfricaによると、西アフリカ全域において黄熱病のケースが認められるということです。カメルーン、中央アフリカ、ギニアとシエラレオネですでに症例が確認されているということです。ソースはIRIN NEWS。

2009年1月28日水曜日

Apple:これがiPod自販機


小ネタで申し訳ありませんが、帰路はJFKのターミナル7からボーディングでした。
JFKはターミナルが8つもある巨大空港です。それがこう丁度Cを左右逆にした形に並んでいて、その内側を「エアトレイン」という高架鉄道が走っています。エアトレインは空港西側のAトレインのハワードビーチ駅、北側クイーンズのジャマイカセンターともつながっています。
JFKからマンハッタンに行く一番安い方法がコレで、エアトレインでハワードビーチに行き、そこからAトレインでマンハッタンに入るとエアトレイン5ドルと地下鉄2ドルの合計7ドルです。
まあAトレインはブルックリンをずっと通っていくので、ニューヨークの中ではそれほどガラのいい地区とはいえないので、そういうのが苦手な人にはお勧めできませんが、アフリカに慣れている人ならどこか懐かしいような雰囲気に浸れます。なんと言っても、Aトレインは「A列車で行こう」と歌われているあれなのです。ちなみにAトレインにずっと乗っているとしっかり125丁目、ハーレムにも行けます。ニューヨークのアフリカ人地区、116丁目はこの125丁目の1つ前の駅です。ここにはアフリカ料理のレストランやTOUBAやKINEとかいう看板が並び、リトルセネガルと呼ばれています。116丁目はAトレインは通過してしまうので、セントラルパークの南東端コロンブスサークルの駅で各駅停車のCトレインに乗り換える必要があります。
話がずれてしまいましたが、アメリカは入国に関しては非常に厳しく、手続きもややこしいのですが出国に関しては本当におおらかというか、手続きそのものがありません。出国カードはボーディングの際に航空会社の職員が集めるだけです。なので、空港ではセキュリティを通ればもう待合室に直行です。
この待合室の売店も食べ物が半分くらい、あとは一般的な免税店と本屋と小物を売る店がいくつかあるだけで、あっさりとしていました。

そんな中、噂に聞いていたiPodの自販機を見つけました。
買いませんでしたが、今から考えると話のタネに買っておいた方がよかったかも・・・と少し後悔しています。
これはヨーロッパによくあるタイプの自販機で、購入すると品物が落ち、右の取り出し口から取り出せるというタイプ。操作は右側のタッチスクリーンで行います。Nano、Touch、イヤフォンなどのアクセサリ、それにAppleCareまで売っています。でもなぜかClassicはありません。
空港という意味ではロンドンヒースローのTerminal 5がほとんどデパート状態ですごいです。しかも最近のポンド安で本当に激安。Dixonというコンピュータショップもあって、UKキーボードというのに抵抗がなければ、2.4GHzのMacBookが977ポンドで売ってました。1ポンド130円としても13万円弱。乗り継ぎ時間があまりなかったので、行きに目を付けていたMacBook Air Superdrive 58ポンド(約7500円)とJBL Onstage Micro 68ポンド(約9000円)をさっと買ってパリ行きに乗りました。

2009年1月27日火曜日

Apple:新MacBookに移行中


さて、新しいMacBookへの移行を行っています。
この新型MacBookはハードディスクの換装が簡単なことがウリの1つ。それを見込んでHDDはアップグレードしないで250GBのまま買いました。余るドライブはUSBのケースに入れて使えばいいことですし、外付けドライブは複数台あって重宝はしても困ることなどないものです。
ということで、ダメもとで黒MacBookに入ってるドライブを取り出してそのままアルミMacBookに突っ込んでみました。かなり乱暴な話で、他人にはお勧めしませんが・・・

起動。このドライブにはUbuntuも入っているのでrEfitの画面が出ます。MacOSを選んで起動プロセスを続行するとまるでUbuntuのような黒スクリーンにいっぱいメッセージが出てきました(写真参照)。読むとどうやらCPUがマッチしない、グラボがマッチしないというメッセージのようです。しかし数秒後にメッセージは消え、何もなかったかのごとくログイン画面が!
で、ログインしても何に問題もなく使えています。しかし、シャットダウン時にはまたログメッセージが出ます。

ということでやはりデータを移行してインストールをやり直す方がいいようです・・・

UPDATE:インストールをやろうとしたらディスクをイニシャライズしろと出たので念のためディスクのパーミッションを修復したら、変なメッセージは出なくなり普通に起動&終了するようになったのでしばらくこのまま様子をみることにします。
=結論=
旧型MacBookからの移行はHDDの物理的な入れ替えで可能。入れ替えた後、ディスクユーティリティでパーミッションを修復するだけ。

2009年1月26日月曜日

Apple:NYCのApple Store


ニューヨークから帰ってきました。今冬一番の冷え込みということで最低気温が-13度まで下がるという凍り付いたニューヨークでした。日陰になってる歩道は氷がはっていて、雪も降ったりしたので足下を見ていないと滑って転びそうでした。そんな中でしたが、しっかりApple Storeだけは全部チェックしてきました。
マンハッタンには3つのApple Storeがあります。一番の老舗はSOHOのPrince St.にある店で、ここは古い郵便局かなんかの建物をリノベしたものです。中央が階段になっていて2層です。私はこの店が一番好きなのですが、それは滞在してる友達の家から一番近いこと、5番街の店ほど混んでいないこと・・・という理由。一番有名なのは5番街のセントラルパークの南東端、プラザホテルの向かいにあるガラスのキューブが入り口になっている店です。ここは地下の1層だけで、24時間営業が売り。一番新しいのは西14 Stのミートパッキングエリアにある店で、ここは前にニューヨークに行ったときはなかった店なのですが、なんか建物も中身も一番特徴のない店かもしれません。確かにミートパッキングエリアは今ニューヨークで「おしゃれな地区」として脚光を浴びていますが、周りもなんかガランとしているし、町並みも別におしゃれって感じではありません。

ということで、一番お気に入りのSOHOの店で新型MacBook 2.4GHzを買いました。レビューそのものはまた別の記事にしますが、値段はRAMを4GBにしてもらって1800ドル強。1ドル=90円として162,000円!日本で買うとほぼ20万円ですから、3万円は安い。メモリ増設は「じゃあ、やってきますのでここで待っていてください」と5分くらいでスピード交換。
店員もニューヨークの標準とは比較にならないほど親切丁寧。まあ、これはニューヨークが例外的なんだと思いますが、パリの店員とかに慣れていればニューヨークの店員は普通レベル。まあ、下と比べるのは良くないですけれど。
それにしても、今回のニューヨーク、アメリカを襲ってる不況をひしひしと感じました。BEST BUYなんかガラーンとしているし、CircuitCityなんか閉店セールでもうどうでもいいや的投げ売り・・・そんな中、Apple Storeだけがどこも盛況を呈していて「この差はいったいなんなんだ?」と思いました。

2009年1月12日月曜日

Apple:Think Different

今夜から少し旅行に出るのでブログがストップします。行き先はまずパリ、そしてニューヨークです。友達からはクリスマスも終わってなんで寒いだけのこんなときに・・・と言われましたが、年末は丁度ベナンから友達が来ていて出れなかったのと、Expediaの宣伝メールでパリ=ニューヨーク384ユーロ!っていうのがあったので思わずポチしてしまったのです。で、ついでにニューヨークでMacBookを買ってきます。今の強烈な円高で、日本やフランスのMacBookの値段とアメリカの値段の差で航空運賃が出てしまうのです。もちろん他にもイロイロと小物を手に入れて来ようと考えています。
で、はからずしもニューヨークでオバマ大統領就任の歴史的瞬間に居合わせることになりました。どんなふうに盛り上がるのか楽しみです。マンハッタンよりも黒人層の多いブルックリンに行って、Juniorsのチーズケーキでも食いながら見ようかな?と考えています。
オバマ大統領はCHANGEそしてYes, we can.というスローガンでアメリカ民衆の心をつかみました。就任後が本当にその力量を問われるわけですが、とりあえずこのような歴史的な「変化」をもたらしたアメリカはやはりすごいものがあると思います。
思い出したのはもちろん、AppleのThink Differentキャンペーン。たとえ今クレイジーに思えることであっても、そのクレイジーさが世界を変える。クレイジーでないと世界は変わっていかない。このメッセージの持つ「普遍性」は今でも健在だと思います。

信じること、そして己の目指すことに忠実なこと、外圧にめげないこと。
コツコツと1つ1つ石を積み上げていくように、前進すること。
これによってしか、人間は前に進むことはできないのだと思います。それを信じることこそ、Think Differentなのだと思います。

Senegal:パン屋がスト(つづき)


今日はRoundupをしようと思っていたのですが、ここ数日めっきりニュースが減っていて特にとりあげるものが見つからないので・・・
パン屋のストは実はまだ続いていて、3日目に突入しました。パン屋の前には人が押し掛けていて大変なことになっています。
うちはアリウンが1本なんとか買ってきました。ごく少量ですが焼いてはいるようですね。
でも、これは実はウラがあって、この近所のパン屋の組合の人がよくウチで要求文書を作って印刷してるのでアリウンと知り合いだから売ってもらえた、ということなのです。つまりそういうコネがなければ手に入らないのです。
昨日などは「パンがなければお菓子を食べればいいのに」というその言葉通り、パンがないのでお菓子類が売れて、売り切れになるブティックもあったそうです。
さて、セネガルのパンですが一言でパンと言ってもいろいろあります。まず、ここでのパンはフランスパンなのですが、今は日本でもPAULなどがあって知られるようになりましたが、長い形のフランスパンにも実は数種類あるのです。パンといえば中くらいの太さでかなり長い(50cmくらい)のものをさすことが多いです。セネガルのパンもたいていはそんな感じですが、このパンはほとんど皮ばかりで中身がスカスカでフランスのパンよりもまずいです。しかしうちの近くのパン屋「Brioche d'Oree」に行くとパンSICAPと呼ばれる中身の詰まった短めのパンが買えます。これはフランスパンのバリバリ感はないのですが、食べやすくて食べがいもあるので人気があります。あと、このあたりでは見ないのですが、メディナあたりだとパンリッシュという粉に小麦粉とミレットの粉をブレンドしたものもあります。これはちょっとつぶつぶした感じがあり、ミレット独特の匂いもあって、まるでセーグルの入ったパンのようなまた別のおいしさがあります。これは形状としては短め(20cmくらい)で少々太く楕円形に仕上げるようです。

2009年1月11日日曜日

iPhone:ついにiPhoneキラー登場?


ラスベガスで開かれているCESで、思ってもいなかったところからiPhoneキラー(候補)が!
それはpalmのPreというデバイス。
palmと言えばBlackberry登場の前に一世を風靡したPDAで、AppleのNewtonを引き継いだと言われるもので、細々と生き残ってきたもののなぜか製品が長続きしなくて(SONYのCLIE等)、ここ数年はほとんど見ない状況だったのですが・・・
話は脱線しますが、AppleのNewtonは「非ジョブス」デバイスで、彼がAppleを追われていたジョンスカリーの時代にスカリーの強力なプッシュを受けていたもの。ということもあってジョブスが復帰するのと時を同じくして消えてしまいました。このあたりのAppleをめぐるストーリーはミステリー小説と同じくらい面白いのですが、ジョブスのApple復帰はMacOSXの開発と深く関係があります。Appleは次期OSの開発に有り体に言って失敗し、コアシステムを外部から導入することを考えていました。その時、候補に上がったのがジョブスのNeXT STEPとジョブスがAppleを追われる原因となったジャン=ルイ・ガセーのBe OSだったのです。で、ジョブスの強力なプレゼン力とガゼーが価格をつりあげるなどの失策をやったため、AppleはNeXTを買収することに決め、ジョブスとの道を選ぶのです。そしてBe OSはその後、palmに身売りし、ガセーはpalmで生き延びることとなるわけです。つまり、今回のiPhone対Preは因縁の対決、ジョブスvsガセー、NeXT vs Be OS・・・話はさらに脱線しますが、NeXT STEPとBe OSはその当時同じように「新しいOS」ではありましたが、その設計はNeXT STEPと大きく違います。また当然ながらMacOSXとも全然違います。似ているのはGUIだけかもしれません。
ということで、今回のpalm復活!も暖かく見守りたいと思います。Be OSもそうですがガセーという人、さすが前期黄金期のApple France代表らしくデザインで惹き付けることはものすごく上手です。今回もpalm preに惹き付けられた人は少なくないと思います。そしてこのあたりが下手なNOKIAだとかMSだとかのマーケットシェアを食うのは簡単でしょう。BlackBerryも食われる可能性があると思います。
実際、ティーザーなどを見るとこのデバイスは写真で見るより実物はかなり美しいという気がします。しかし、デザインそのものとしてはHTCのG1と比較しても何となく古くさく、どちらかというとシンガポールCREATIVEのそれに近いような「残念感」があります。一番すごいと思ったのは、発表をするホテルの会場前に立てられたpalm社ロゴが入った木製の看板。これは素晴らしい!マネしようと思いました。

Engadgetのpalm pre関係のRoundUpが充実しています。

2009年1月10日土曜日

Senegal:パン屋がスト


タマハリットの記事の最後に書いたのですが、昨日より基本食料品などの値下げが行われています。パンは一昨年は1本125FCFAだったのが小麦価格の高騰などを理由に175FCFAに値上げされていました。これが今回の措置で1本150FCFAに値下げになったわけです。
しかし、今朝パン屋にはパンはありませんでした。
この値下げに反対するパン職人達がストを決行しているためです。
幸い、昨日食べ残していたパンが冷蔵庫にあったので、朝食には困りませんでしたが・・・
とにかく値上げされても値下げされても最終的に困るのは民衆なのですね。
セネガルは基本的にフランス的社会主義の流れを引き継いでいるので、とにかくなんでもすぐにストしてしまうのがガンです。
特に大学生のストなんてバカげています。それも毎年毎年やっているのです。
セネガルの大学生は多くが国費奨学生なので、学費を払うどころか、払ってもらっている方。
そんなおいしい立場でストをするなど甘えるにも程があります。ワッド政権になってから心なしか大学生のストは少々減っているように思いますが、それでも小規模なストや施設の破壊は毎年のようにやっています。
まあ、パン屋のストはパン屋だって売れなければ利益が上がらないのでそれほど長期化することはないと思いますが、これがセネガル式の「民主主義」だとしたら、本当に大したことのない、大多数の民衆の迷惑の上に成り立っている幼稚な民主主義だと言えます。

Apple:MacWorld Expo 2009


さて、今年は最後のAppleが参加するMacWorld Expoということで、ジョブスの参加もなく盛り上がりに欠けましたね。
時期的に考えて、当初の予定では発表が噂されていた新型MacMiniなども実はできているのではないか、と思います。ただ、商品化をしようとした矢先に不況に襲われたんじゃないのかな、と。
Snow Leopardについては単純に開発が遅れたのでしょう。そして、ハードとしてはMacBook Pro 17inchのユニボディーのみという寂しいものになってしまいました。
驚きはiWork 09とiLife 09、そしてMac Box Setの発売です。iWorkについてはパッケージソフトのアップグレードとともにiWorks.comでWebベースアプリ&クラウド展開を図るということで、Googleなんかに比べて明らかに出遅れていたAppleのオンラインサービスが追いつくという形になりそうなのですが、先行するMobileMeとは別のサービスになっていることなど、将来的にはiTunes Storeを含めて統合が望まれるところです。少なくともiWorks.comとMobileMeはなんとかサービス統合してほしいです。
iLifeについては単純なアップグレードのようです。
注目したいのはMac Box Setの価格で、iLife+iWork+Leopardが169ドル(シングルユーザ)、229ドル(ファミリーパック)と、Leopardがタダ同然で手に入るような価格になっています。こういうのを見るとSnow Leopard発表は近いのかな?とも思うのですが・・・
ところで、AppleがMacWorldから撤退するのはほとんど同時期に開かれるラスベガスのCESと関係があるんじゃないのかと思います。世間の目もあちらに集まりますし。

2009年1月9日金曜日

Guinee:ワッド大統領が電撃訪問


セネガルのワッド大統領が妙な動きを見せています。
ワッドはコナクリを訪問するとされながら、それをキャンセル、「選挙の日時を決めたら訪問する」としていましたが、その24時間後に突然コナクリに降り立ちました。(Reumi.comの記事
外国元首としてははじめてコナクリ入りを果たし、ダディスカマラ大統領と会談を行いました。

さて、選挙の日時ですが、ギニア新政権はまだはっきりと設定したわけではありません。先週末、フランスの協力・フランコフォン国務長官がギニア入りし、2010年末としていたのを2009年中とすることに同意させ、ギニア政府もそれを追って2009年中の実施という漠然とした決定を発表しただけです。これを「日時を決めた」とするなら確かにそう言えないこともないのですが。

ワッド大統領は国家元首としてはじめて公式にギニアの政権転覆を支持する表明を出したり、専用機をギニア新政権に貸し出すなど、ギニアに積極的な援助をしています。もちろん、あの局面でワッドがギニア新政権を支持しなければ、ギニア旧政権は軍の旧勢力と結託して泥沼の内戦に突入したでしょうし、そうなるとセネガルだけでなく、リベリアやシエラレオネなどもその戦争に巻き込まれたでしょう。この点においてはワッドは立派にこの地域の安全を救ったと思います。ワッドの支持がなければフランスもこれだけ早く特使を送ることもなかったでしょう。
しかし、ギニアの新政権を支持するワッドにも何かしらの計算があるのは間違いないでしょう。私はこれはまず1つが「電力確保」なのではないかと思います。セネガルは国土の高低差がほとんどなく、一番高いところで500mほどしかありませんがギニア東部はかなりの高地で水力発電に必要な高低差があります。もちろん、このような発電設備を建設するには何年もかかりますが長い目で見ればセネガル川、ニジェール川上流の電力開発はギニアにとっても周辺国、特にパワーハングリーなセネガルにとっても有用です。あとは、ダカールを人材開発センター化して教育都市にすることを狙っている気がします。そして、コナクリにこういう人材を輸出したいと思っているのかもしれません。
ガーナの民主的な政権交代によって、民主化という意味ではセネガルの優等生という位置はだんだん脅かされているので、セネガルは次のアセットを出してくるはずです。しかし、その分、セネガルの民主化レベルが退化しては仕方ないのですが・・・

2009年1月8日木曜日

DRM:Killing me softly


iTunes StoreのDRMフリー音楽ダウンロードは着実に増え続け、DRMはゆっくりとではあるものの着実にその死を迎えつつあります。
AppleのスティーブジョブスCEOがあの書簡でデジタル音楽ビジネスの未来を描いてみせたのは2007年の夏頃だったので、あれから1年半。「ゆっくり」とは言いましたが、考えてみればかなり急速にDRMは終わりに近づきつつあります。
あの頃、世間の論調はAppleごときに何ができる?iTunes Storeはメジャーレーベルに見放されて終わり・・・という論調が多かったのですが、それを見事に覆したわけです。しかし、この裏にはAppleのなみなみならぬ企業努力と技術革新を続けてきたわけで、この努力に敬意を表したいと思います。Appleが貫いたこと、それはDRMによるビジネスモデルは間違っていると言うことです。この件について、まるでAppleが知的所有権に関して敵対しているように考えるのは間違っています。確かにAppleの知的所有権に対する考えは一種独特とも言えますが、反対にAppleほど知的所有権に厳しい企業も少ない、とも言えます。それはMacOSXを他のマシンで動かすのを認めない、というポリシーを見てもわかります。ではなぜDRMにAppleは反対だったのか、というとこのシステムが「無意味」だったからです。
とても卑近な例で考えてみるとわかると思うのですが、DRMフリーの音楽は何もCDを購入しなくても、ツタヤ等でCDを借りれば手に入ったのです。なぜCDレンタルはOKで、ダウンロードだけがDRMの足かせをつけられる必要があるのでしょうか?あとは、RIAAやJASRACなどの版権ブローカーの存在です。アーティストが知的所有権を主張するのは当然として、レーベルがアーティストと契約してその作品を買い取り、商品化するのもいいでしょう。それはまっとうなビジネスだと言えます。しかし、版権ブローカーは自分で何を作ることもなく、マージンだけ吸い上げるというまったくもってけしからんことをやっているわけです。これはビジネスですらないのです。ただの恐喝と搾取だと言ってもいいでしょう。生産者にも消費者にもありがたくない存在である、というわけです。
日本では今度はiPodなどのプレイヤーに税金をかけようとしましたが、まったくけしからんことです。

Senegal:タマハリット(イスラム新年)

昨晩はタマハリットという祭りでした。これはイスラムの新年にあたる行事で、セネガルにおける他のイスラムの祭りと同じく「食べ物」によって特徴づけられています。例えば、コリテと呼ばれる断食開けの祭りにはここでは鶏料理、タバスキには羊と決まっているわけです。そしてこのタマハリットにはクスクスを食べます。しかし、セムール麦から作ったモロッコ風の黄色いクスクスではなく、セネガルでとれるミレットから作った「チェレ」と呼ばれるクスクスです。このチェレ、日本人には極めて評判が悪いのですが、それは鳥のえさみたいとよく言われます・・・多分、口当たりがバサバサしていて水分なしでは食べにくいこと、独特の匂いがあること、味がないことが嫌われる原因だと思うのですが、消化がよく、お通じも良くなる実は体にいい食べ物だと思います。私ももう飽きているのですが、時々食べたくなります。
そして、クスクスは合わせるソースによってかなり違いが出てきます。村で食べるようなクスクスは本当に悲惨で、ソースというか牛乳(ちょっと発酵していて砂糖を入れたもの)をかけるだけ、とか水かけて食べるというのもあるらしいのですが、タマハリットのクスクスの主役はこれらとは比較にならないリッチなソースです。牛肉と鶏肉そして野菜をじっくり煮込んだとろみのあるソースが多いです。そしてクスクス自体にも干しぶどうやらヒヨコ豆やらを混ぜてあります。味自体は他のセネガル料理と同じで適当なマギー味なのですが・・・
うちにもご近所から毎年とてつもない量のクスクスをいただきます。とうてい一度には食べられず、冷蔵庫行き。一昨年などはかなりの量を冷凍保存するほどいただきました。でも気をつけないと去年はこの保存クスクスにあたってひどい目にあいました。
あと、タマハリットにはアメリカのハロウィンのように子供が仮装をする遊びもあります。小さな子供に大人の衣装を着せて、白いヒゲなどをつけて老人に化けさせるのです。テレビではこういう仮装をした子供達による寸劇も放映されます。また、時には女の子に爺の格好をさせ、男の子には婆の格好をさせることもあります。タマハリットはタバスキとは違って国全体が数日麻痺常態になるようなことはなく、一晩限りの小さなお祭りです。翌日の今日は一応休日ですが店は開けています。
また、セネガルでは1/10よりいくつかの基本食料品(米、パン)、公共交通の運賃、燃料(ガソリン、ディーゼル油)、食料油、タマネギそしてセメントの値段が値下げされます。詳しくはJeuneAfriqueの記事をごらんください。

2009年1月7日水曜日

Africa:News Round Up 1/7


メジャーなニュースソースは近東情勢とロシアのガス問題で埋め尽くされてしまった感がある今日この頃です。
いつも思うのですが平和というのは当事者が願わなければやってこないのだと思います。もう何十年も戦争状態にあるこの地域では、戦争の中で生まれ育った人が多すぎて、戦争状態が常態となってしまったのでしょう。しかも、太平洋戦争のように大量破壊兵器は使わないということで、小競り合いを果てしなく続けて行くことになってしまっている気がします。

さて、アフリカの情勢ですが数年前より内戦があり、まだ暫定政府から抜け出せていないコートジボワールですが国民の48.9%が貧困ライン(1ユーロ/日)以下というひどい結果になっているそうです。(Afrik.comの記事)ちなみに1985年にはわずか10%でした。これを受けてコートジボワール政府は世銀/IMFの貧困削減戦略文書を作成したそうです。しかし、この貧困削減文書とは言ってみれば世銀やIMFの「融資」を「贈与」に変える魔法の文書であって、この魔法は1回しか使えません。内部の「貧困体質」が改善されない限り、またすぐに借金地獄に陥るのはセネガルの例をあげるまでもないでしょう。ただし、セネガルのように政治的な「優等生」には誰かが救いの手を差し伸べるもので、先日のフランスの緊急融資に続き、今度は中国が5500万ドルという巨額の融資を行うことになりました。(Afrique en Ligneより)セネガルの巨額債務というのは、特にセネガル国民が作っているわけではありません。貧困削減戦略文書には必ず「行政の小型化」という条項があります。アフリカ諸国はパフォーマンスの悪い巨大な行政組織を持っていることが多く、この部分が債務を発生させるガンだと言えるのです。そして、セネガルなどはこの戦略文書後にさらに行政を巨大化させています。こういうのを通してしまうというのは世銀/IMFの目は節穴としか思えないのですが、その程度の「緩い戦略」にすぎません。話をコートジボワールに戻しますが、ここは根っからの農業国であることを考えると、この農業の基盤が内戦によってかなり傷ついた結果の数字と言えるでしょう。

次にギニアコナクリの情勢ですが、ギニアの新政権は旧大統領の腹心だった多数の軍幹部を定年退職させました。しかし、それに飽き足らず、何人かの軍幹部を逮捕しています。これは、この微妙な時期に再び軍部の造反による政権の転覆の芽をあらかじめ潰しておこうということなのだと思いますが、外交に熱心で民主的と思われていたカマラ大統領の本当の顔がコレだとすれば気をつけなければいけないでしょう。(Afrik.comの記事

コンゴ民ですが、ンクンダの軍組織 (CNDP) で内紛が起きているようです。ンクンダは2日ほど前に、自軍のナンバー2を「反逆」のかどで追放しましたが、今度はCNDPの幹部Désiré Kamanziが、「ンクンダはCNDPのトップから追放された」とラジオに語っています。なんだかよくわからない状況のようです。(Afrique en Ligneの記事

先日、アフリカの王様たちがカダフィを頭に「アフリカ連邦」の構想をブチあげているという話をしましたが、今度はそのカダフィ自身が3月のAU会合でこの構想を発表するそうです。マリを訪問中のカダフィ師が語ったところでは、この「連邦政府」は外交、商業、そして防衛だけの機能を持つものだということです。コンセプトとしては面白いと思います。しかし、既にたくさんある地域連合の組織をどうやって統合していくのか、実際にこういうものが作られるには少なくとも数年は構想を温めないと無理という気がします。また、リビアなどと南アという2つの「頭」がどのように共存していくのかという問題もはらんでいます。(Afrique en Ligneより

2009年1月6日火曜日

Apple:MacBook Wheel! (ネタ)


Engadget Japanの記事より。
はじめに断っておきますがこれはネタです。
もちろん、AppleがUIに関してパイオニアであるというのは事実なのでこういうネタが成り立つのでしょう。
ところで、このよくできたフェイクのデスクトップを見てあるモノを思い出した人もいらっしゃると思います。それはOLPCのSugar UIです。
これもメインメニューは円形に並べられていて、トラックパッドとポインタで選択するようになっています。まあXOにはフルキーボードが装備されているので、ホイールで操作するわけではないのですが・・・
これで思い出したもの、それは「アイコン」です。カラフルかつ自由にカスタマイズできて視認性のよい「アイコン」はMacOSのシンボルだったと言っても差し支えないでしょう。しかし、今Appleはこのアイコンの役割をだんだん終わりにしようという方向に動いている気がします。MacOSX LeopardのFinderはデフォルトで4つのファイル表示方法が選べます。クラシックなアイコン表示、リスト表示、ヒエラルキーリスト表示、そしてカバーフロウ的表示です。私は通常シンプルでソート機能の充実したリスト表示を使っています。これは名前のアルファベット、作成日時、サイズ、そしてファイルの種類によってソートできるので大量のファイルを管理するのには一番便利な表示方法です。ヒエラルキーリストはファイルの置かれた位置がすぐわかるところが便利ですが、すべてアルファベット順のソートになるのと、ファイルを選択したときのプレビューがなんかうざったいのです。カバーフロウはいちいちプレビューを出すのがややこしい時に内容をすばやく確認するのに役に立つ表示方法です。プレビューに関してはファイルを選択した状態でスペースバーを叩くというやり方もあります。
しかし、クラシックなアイコン表示はほとんど使わなくなってしまいました。
逆にWindowsに慣れ親しんでいるアマドウはなぜかすぐ表示をアイコン表示にしたがります。しかもソートをかけて自動配列させるので、例えばファイルをドラッグ&ドロップでデスクトップにコピーしたときなど、ドロップした場所にファイルが現れず、探さなければならないので面倒極まりないというやり方をするのです。しかも、アイコンをやたらと大きく表示させる傾向にあります。どうやら、アイコンの文化というのは今はWindowsに移って行ったのでしょう。これはSpotlight、昔のSherlockあたりから変わっていった気がします。検索に文字列を使うことからユーザはどうでもいい名前から検索しやすいファイルのネーミングをするようになっていった、という気がします。少なくとも私はそうでした。OS9などのときは適当な名前を付けてアイコンで探していたのです。HTMLなどをいじり始めると、ものすごく細かくて多数のファイルを扱う必要があるので、それが脱アイコンに拍車をかけたのかもしれません。

Africa:News Round Up 1/6


ニジェールでは、フランスAreva社とニジェール政府の合弁会社が世界で2番目に大きいとされるウランの鉱脈を採掘することで合意しました。アメリカは「グリーンエネルギーに注力する」と言っていますが、節電とグリーン発電を合わせても、パワーハングリーな状態は変わらないだろうし、多分原子力への需要が増えると見越しているのでしょう。(Afrik.comの記事

ガーナの大統領選が野党候補のジョン・アタ=ミルズ教授の勝利に終わったことはお伝えしましたが、落選した与党候補ナナ・クフォ=アド氏は、「これだけ僅差だとほんの1つの不正でも結果に関わる。今回の選挙でも一部で不正があったと考える」とは言ったものの、その後大きな混乱はなく、無事に政権交代が終了しそうです。これを受けて、ECOWASやAUなどの国際組織はガーナが民主主義のお手本を示したとして祝福を送っています。アタ=ミルズ新大統領はジェリー・ローリングス政権時の副大統領で、税制および経済学の教授です。ガーナでは2010年から海底油田の採掘が始まり、これを含めたガーナ経済のハンドリングのノウハウが問われる時節で、新大統領とガーナ行政の力量に期待が集まるでしょう。

マリではやはり北部での治安悪化が起こっているようです。コミュニティの間での市民レベルの戦争に発展するのではないかとAfrique en Ligneは懸念を示しています。

コンゴ民東部ではンクンダの報道官ベルトラン・ビシムワがTV5のインタビューでまたまたMONUCを名指しで非難。「MONUCは空白地帯でのコンゴ民軍の活動を故意に見逃すことによって混乱を招いている。そもそも、その存在が無意味である。」と、もともとMONUCの痛い部分をかなり狙って突いてきています。

ガボンでは昨年末あたりにお伝えしたと思うのですが、風刺新聞のジャーナリストが大統領のボディーガードに袋だたきにされるという事件がありましたが、その後もジャーナリストやNGOに対する圧力を強めています。この国も資源だけで成り立っている国なので資源の価格が落ちて売れなくなると、一発で社会状況が変わってしまうという脆弱さをモロに見ている気がします。

モーリタニアでは5月に大統領選挙を行うという発表がありました。(ロイターの記事

最後にギニアですが、この週末フランスの協力フランコフォン国務長官が訪問していましたが、ギニアの選挙を2009年中に実施するという説得に成功したようです。しかし、ここに来て不協和音が聞こえてきました。ナイジェリアのヤル・アデュア大統領がセネガルのワッド大統領とリビアのカダフィ師を「軍事クーデターを支持した」と非難しています。これがECOWASやAUのなんとなく足並みの揃わないギニア情勢に対する動きにつながっているのかもしれません。(AllAfricaの記事
ヤル・アデュア大統領の言ってることは正しいと思います。もちろん、ギニアの新政権はまず憲法を整備するなり元通りにするなりして、法治国家の体裁を整えなければなりません。その後迅速に完全に民主的なプロセスによって選挙を行い、新しい大統領を選出しなければなりません。多分、ワッド大統領もそのことはなんの異論もないと思います。
しかし、危惧されるのはギニアをネタにしてアフリカ首脳がECOWASやAUの主導権争いを行うことでしょう。正しい主張の裏にそのあたりの駆け引きがチラチラと見えるのが気になります。ましてやECOWAS分裂とかになれば、この経済的に難しい局面においてとんでもない事態を招きかねません。

2009年1月4日日曜日

Art:Mookie "Théorie des jeunes gens"

CYVOGUEの壁面には2枚の絵が飾ってあります。これは8年ほど前に友達だった2人のアーティストから買ったものです。今なら同じお金を機材に回してしまうでしょうが、その頃は多少余裕があったのと、この2枚は本当に気に入ったというのがあります。

入り口に近い方に飾ってあるこの絵は、Mookieというマリ人アーティストが描いたThéorie des jeunes gensという絵です。これはダカールのビエンナル(2年に一度開かれるダカールの大きな芸術祭)のためにMookieが描いた「エジプトシリーズ」の1枚です。このシリーズはCheikh Anta Diopのエジプト古代文明黒人説に基づいたものです。この説というのは前期古代エジプト文明を築いた人々は黒色人種であったという説で、現在まで考えられていたアラブ系のエジプト人だったという説に異を唱えるものです。後期エジプト文明、例えばアレキサンドリアを築いたのはその名の通りマケドニアのアレクサンダー大王につながるマケドニア人で、これはヨーロッパ系の人たちです。
今、ダカールのモダンアートというのはアブストレと言われる抽象的な絵柄がメインストリームなのですが、Mookieはフィギュラティフと言われる具象表現を貫いています。また、彼の特徴は絵の具の使い方で、大量の絵の具を盛り上げるように塗っていき、独特のテクスチャーを作り上げます。半分立体的なので光の当たる角度によって微妙に印象が変わるのが特徴です。
Mookieは今はフランス在住だと思いますが、本人は彼の描く人物に似て2mを超える長身で、痩身、そして驚くほど手足が長く、ある部分では非常に神経質なのですが、違う部分では驚くほど大雑把だったりして、話していて面白い人でした。

Apple:CERNで活躍するMac


Apple Hot NewsでCERNの物理学者Brian Coxが取り上げられています。
この粒子物理学者がCERNでやっているのは例のLHCによる陽子衝突実験ですが、このLHCの中でもATLASと呼ばれる衝突装置の中に据え付けられた巨大なデジタルセンサーのシステムです。そのセンサーは「100メガピクセルのカメラのようなもの」とCoxは語っています。
また、物理学者にとってMacは使いやすいと語っています。なぜなら、物理の世界では70年代や80年代に書かれたフォートランなどのプログラムをUNIXで使うということをやるらしく、実質上UNIXとかわらないMacOSXの方がWindowsに比べて格段に使いよいということです。
よくMacOSは趣味用のOSであって、ビジネスなOSではないと言われますが、Windowsは汎用ビジネスマシンではあってもプロフェッショナルなマシンではないという気がします。むしろ、Macの方がプロフェッショナルな用途には使われることが多い。それはDTPやDTMなどに限らず、医者や学者、あるいはシステムエンジニアもすべてのプラットフォームが動くMacを使うことが多いと聞きます。
Brian Coxはマンチェスター大学で教鞭もとっているのですが、彼の生徒達は大学のMac ProでVM WAREやPararellesを使ってCERNの分析スイートを使っているそうです。

2009年1月2日金曜日

Africa:News Round Up 1/3


ここ数日ダカールは日中気温が上がって暑いくらいです。それとものすごく乾燥しています。

まずはギニアから。ギニアの新政権は国際社会でのギニアの位置の正常化を目指して動き続けています。リベリアに続き、シエラレオネのフリータウンにも特使を派遣、アーネスト・バイ・コロマ大統領に接見し、クーデターの理由等を説明したそうです。また、この特使はセネガルの飛行機で到着したとのことで、ワッド大統領が飛行機を貸してあげたようです。(Afrique en Ligneの記事)また、ワッドは早期にギニアの関係者を招集し、選挙の日取りを決めることと、選挙の日取りが決まったら公式訪問を行うとしています。(Afrique en Ligneの記事
また、フランスの協力・フランコフォン国務長官のアラン・ジョヤンデ氏がコナクリを訪問予定です。(Afrique en Ligneの記事

次にガーナの大統領選挙は野党候補のジョン・アタ・ミルズ氏が当選しました。(AllAfricaの記事)4万票ほどの僅差でした。

セネガルではメッカに巡礼に出かけた人たちが多数取り残されてます。これは今年のメッカ巡礼オフィシャルツアーを請け負ったサウジのZam Zam社のチャーターした飛行機が「タイヤのパンク」でリビアに緊急着陸。それ以後動けなくなったためで、2500人あまりがダカールに帰れない状態になっていました。これを受けてセネガル政府はAir Senegal Internationalとこれらの人々の「救出」につき、協議していましたが、今度はモロッコ王が救いの手を差し伸べるようです。このメッカ巡礼ツアーについてはAir Senegalについての記事でも触れましたが一気に7000名ほどが動くかなり大きな契約なのです。Jeune Afriqueによると、今年のメッカ巡礼ツアーは1人230万CFA(45万円ほど)でかなり高いですね。

2009年1月1日木曜日

Africa:News Round Up 1/1


あけましておめでとうございます。
CYVOGUEは新年1/2から平常通り営業の予定です。時間は9:00〜23:00です。
さて、2008年はアフリカにとってあまり明るい年ではなかったと思います。2009年もあまり素晴らしくなりそうにありませんが、アメリカの新政権とそのリーダーシップに期待しましょう。

ダカールはいつもと同じような年明けでした。爆竹に花火が街を彩りました。でも世界不況の影響はこの国にも確実に押し寄せていて、それほどお祭り騒ぎというわけではない感じがしました。

さて、それでは本題のニュースですが、まずギニアコナクリから。Afrik.comの伝えるところでは昨日、コナクリはセネガルのワッド大統領の訪問を期待していたようですが、ワッドはこれをキャンセルしました。昨日も言いましたが、ギニアに元首クラスが公式訪問するにはまず憲法を整えて国家の体裁を整えることが必要なのだと思います。もともと弁護士であるワッドもそのあたりは気にしているはず。公式の政府が存在しない国を訪れることはしないと思います。

次に今まで一度も取り上げていませんでしたが、中央アフリカ共和国の話です。この国も内戦が続いていましたが最近やっと少し出口が見えてきたようで、反乱軍側との対話が進んだり、政治亡命していた元大統領が平和会議に参加したりしているようです。

ニジェールでは親タンジャ派の「大統領任期を3年延長する」という憲法改変に向けての動きに対抗して、反対派の動きが激しくなってきました。先日、拉致された国連事務総長の特使のカナダ人の消息もまだ不明なままです。

RDCではウガンダ戦線がまた緊張しています。30日にLRAが400人あまりの民間人を殺害したと伝えましたが、今度はLRA側が声明を出し、殺害したのはコンゴ民軍かスーダン軍かウガンダ軍、あるいはこれらの共同作戦による爆撃である、としています。いずれにしても被害を受けるのは民間人であって、責任のなすりつけあいをしても失われた人命は戻りません。

シエラレオネをカダフィ師が訪問しているとAfrique en Ligneが伝えています。カダフィ師は最近また非常に活発な動きを見せていますね。

ナイジェリアの深刻な電力危機は、発電所の閉鎖や燃料ガス工場の停止によって悪化、クリスマスの日や元日も大規模な停電が起きるとしています。

Africa:軍事政権の光と影


先日、プロの政治家による文民統治がアフリカに根付きにくいのかと言いましたが、これは多分アフリカにおける民主主義の歴史が短いというのも理由としてあるのかもしれません。また、軍事政権につきものの軍隊的なヒエラルキーというものが絶対王政のそれに似て、民主主義の未熟な民衆にとって構造的に「わかりやすい」というのがあるのかなと思います。そう考えると、文民統治の国においても長期の独裁政権になったりしやすい、という現象の因果関係もはっきりします。
近代的な民主主義は言うまでもなく法治国家であることを大前提にしています。つまり、憲法というものは政治家という人間やその権力の常に上位にあって、その言ってみれば目に見えない「法」こそが「国家そのもの」となるわけです。それを考えると、憲法を一時的放棄してしまったギニアの新政権がアフリカ連合から除名処分されてしまうのは当然なのです。「国家そのもの」を放棄したのだから当然です。大統領や首相がいてもそれは単なる人々であって、国家はやはり「ない」のです。カマラ大統領は早速首相を任命したり、ダカールやバンジュル、ビサウやモンロビアに特使を派遣するなど外交に熱心で積極的なのは非常に評価できますが、憲法そのものを元に戻さないと国際社会、国連やEU、AUなどは認めてくれないということに早く気づいてほしいと願います。
さて、軍政ですが軍においては上官の命令は絶対です。ヒエラルキーは明確かつ絶対のものです。これが狂った軍隊は軍隊としての統制がとれなくなるからです。そして規律というものを非常に大事にします。つまり、社会の中に規律や統制がなくなっている場合にはこれを取り戻すために軍隊的構造というのは必要なのです。セネガルの軍というのは昔から有能なことで有名です。その評判に違わず、セネガル軍は規律も厳しく統制が取れておりしっかりしています。セネガルは独立以後、ずっと文民統治が続く非常に珍しい国ですが、この国の安全はこのように有能な軍の存在によって守られているのです。そして、軍は政府の完全なコントロール下にあり、政府が法治国家である以上、「法」が軍の行動を規定すると同時にその権利を保障しているのです。
近くのアフリカ諸国に行くと、軍人がセネガル軍人よりもだらしない格好をしているのがまず目につきます。例えばコートジボワールとか、テレビで見るコンゴ民軍などがそうです。これは軍の規律が緩んでいる証なのです。
日本が平和ボケしてるな、と思うのは人々の行動に隙がありすぎるとか、仲良しグループのような政党政治に対して民衆的な運動が起きないということよりも、政治家による憲法の軽視だとか、現職の自衛隊幹部が政府の公式見解と相反するような論文を発表してしまうところにあります。自衛隊は軍隊ではないといえば確かにその通りなのですが、規律を守らなければならないという意味では軍隊とかわらないはずです。もし、そうでないなら武器を持った暴徒とたいして変わらないのです。つまり、自衛隊にも絶対に守るべき規律とヒエラルキーがあります。そして、例の航空幕僚長はその内規に反した行動をしたということは明白なわけです。こういう、一種の紙の上でのクーデターが起きていながら、厳罰処分ではなく退職させるという極めて生温い対処しかしないあるいはできないところに一番「平和ボケ」を感じてしまうわけです。擁護派は言論の自由や個人の権利というものを主張しますが、武器を持つことができ、武力の行使を許されている立場の人間はこういった民間人に認められている自由や権利というものの前に規律に従うことを求められ、上官そしてその上位にある政府そしてさらにその上の憲法に絶対に服従しなければなりません。例えば自衛官が個人の自由を行使して武器を振り回されることが許されるでしょうか?もし、個人の自由を行使したいのであれば、ただの一般人に自主的に戻ることがまず必要でしょう。
もし、軍事政権で同じことをやったらどういう目に遭うか考えてみればいいでしょう。