2009年3月31日火曜日

Africa:News Round Up 3/31


現在、少々一時帰国中です。

まずはマダガスカルですが、現在スワジランドで開かれているSADCのサミットで、SADCはマダガスカルの現政権を正当なものと認めず、SADCから除名する決議をしました。(RFI)しかし、先日お伝えしましたが政権を軍部にゆだねた後前大統領のマーク・ラバロマナナが突然姿を現したのがここスワジランドなのです。彼が根回しをしてラジョエリナ新政権の孤立を深める工作をしていてもおかしくありません。そして、その先に狙っているもの・・・それはカムバックなのでしょうか?(RFI)しかしながら、もしラバロマナナのカムバックがあったとして、それはマダガスカルの将来にとって明るくなるのかというと、そうではない気がします。こうやってラバロマナナとラジョエリナがほとんど個人的とも言える抗争を繰り返している間にそれこそ「第3の男」に対するニーズを生み出してしまいます。そして政治家として第3の男が出なかった時、また軍部が政権を握るという選択をしないとは言いきれない。そうでなくても、政治が混乱すれば軍部のコントロールが効かなくなるのです。このあたり、Afrik.comがマダガスカルにおける軍部の役割をインタビューしています。また、マダガスカルではラバロマナナ前大統領の支持者1.5〜2万人が土曜に大規模なデモを行いました。ラバロマナナ氏は南アフリカに移動しているようです。(Jeune Afrique

次にニジェールですが、2009〜13年にかけてUNDPとUNFPA(国連人口基金)が1.1億ドルの援助をニジェールのMDG達成のために行うことになりました。(Afrique en Ligne)この資金は「パリ宣言」に従い、ニジェールの政府に管理をゆだねられるそうです。さて、そのニジェールのMDG達成ですが、IRIN Newsによると、教師のストがこの達成を阻害している、ということです。ニジェールの教育は慢性的な教師不足です。しかし、公務員である正規教員をそんなに増やすことはできない。それで、ニジェール政府が編み出したのは「契約教員」を大量に雇い、その給料を援助からの資金で賄うことでした。しかし、正規の教員と契約教員の待遇には大きな差があり、これが大きな不満を生んでしまっているのです。
また、先日サルコジ大統領が訪問した理由でもあるニジェールと仏Areva社とのウラン採掘権の話ですが、この鉱山の開発によって砂漠に生活する人が大きな被害を被る危険性があることをAllAfricaが伝えています。

コートジボワールではIMFが5.6億ドルの融資を行うことに決めたそうです。(Afrik.com)一方、アビジャンのウフェット・ボワニスタジアムで行われたマラウイ対コートジボワールのCANアフリカ杯の予選試合で押し合いが起こり、19人が死亡、132人の重軽傷者を出す惨事が起こっています。(Afrik.com

セネガルでは日本より2.2億ドルの無償資金協力が行われることになったとAfrique en Ligneが伝えています。

ギニアビサウですが、BBCが伝えるところによると、先日殺害された大統領の後任の選挙を行う資金がないそうです。

2009年3月26日木曜日

Africa:News Round Up 3/26


まずマダガスカルです。ラジョエリナ新大統領が就任して落ち着くか?と思いきや、ラバロマナナ前大統領の支持者がデモを繰り返す騒ぎになっています。(RFI)ラバロマナナ前大統領は政権を軍部に譲ると政権を投げ出した後、米国大使館に身を寄せているなどの情報はあったものの公的に姿を現すことはなく雲隠れしていましたが、スワジランドに姿を現しました。(BBC)このあたり、怪しいというかラバロマナナも困ったのかな?というか複雑です。スワジランドは南アフリカ共和国の中に島のようにある「王国」です。この王国というところがミソで、王国では王様が全権を持っており、そこが共和制の国とは違います。そこにラバロマナナが身を寄せたということ、これは1つの意味を持っていると思います。一方国内外でさまざまな抵抗に晒されているラジョエリナ新政権は選挙に向けてAssise Nationale(国民集会?)を4月2〜3日に開催すると発表しました。(Afrik.com)とにかく、ラジョエリナの政権奪取はマダガスカルの政治混乱の単なる1ページにすぎなかった、ということです。先行きは極めて不透明、といわざるを得ません。

フランスのニコラ・サルコジ大統領がRDC(コンゴ民)コンゴニジェールの3カ国を駆け足で回りました。この選択がかなりあざといと言えます。France 24のニュースでは、RDCはフランスの援助を確認した上で、北キブ州の資源をルワンダと分け合うように示唆、キンシャサからコンゴ川を渡って対岸のブラザビルに移動しました。コンゴでは近々大統領選が行われます。ブラザビル訪問は「ついで」という感じをぬぐえませんが、ンゲソ大統領の顔は立てた、という感じでしょうか。そして、ニジェールに飛びます。本ブログでも伝えましたが、ニジェールではフランスのAreva社がアフリカ最大と言われるウラン鉱山の採掘権を取得しており、その見返りともいえる援助を約束したようです。(Jeune Afrique

地下資源の話が出たところで、BBCがこのアフリカの資源国における鉱山採掘権のレポートを紹介しています。このレポートではアフリカの最大の資源国南ア、ダイヤモンド鉱山を持つシエラレオネ、アフリカ最大の金産出国ガーナ、地下資源の宝庫コンゴ民、マラウイ、タンザニアとザンビアを対象にこれらの地下資源採掘をめぐる問題点と、アフリカが「取り損ねている」資源の代価と資源開発のチャンスをレポートしています。

このレポートには出てきませんが、資源大国であるナイジェリアの経済メルトダウン危機がやはり深刻化しているようです。(All Africa

同じくボーキサイトが出るギニアでは旧政権幹部によるずさんな鉱山管理をダディス・カマラ大統領が激しく追求しており、今度は旧政権の首相が逮捕されています。ギニアでの最近の流れはまさに「粛正」ともいえるもので、こういった膿を出し切ってから選挙を行うのだという強い意志が感じられます。(Afrik.com

2009年3月24日火曜日

Africa:News Round Up 3/24


ダカールは昨夜からまた寒さが襲っています。もう3月末だというのに。

さて、そのダカールですが昨日の記事に1つ訂正があります。カリム・ワッドが立候補していたのはプラトーではなくPoint-Eでした。あと市長(Maire)と言っていますがこれはダカール氏全部を示すのではなくどちらかというと「区長」というニュアンスに近いです。ダカール市長は区長の間で決められるという話です。さて、渦中のカリムはすでにセネガルを脱出、パリにいるそうです。選挙結果の方は野党連合Benno Siggil Sénégalがリードしているということです。まあ、セネガルの場合、与党野党と言ってもそれほど主張や方針に違いがあるわけではないので、政治的色合いがガラっと変わることはいずれにしてもあり得ません。(Afrik.comの記事

次にマダガスカルですが、ラジョエリナ新大統領が就任して一般レベルでの落ち着きは一応取り戻したようですが、これは多分一時的なものという気がします。ラジョエリナ政権は外交筋からはそっぽを向かれたままで、特にその態度に変化はありません。旧政権の行政部分が破壊されているために、この部分でカオス状態になるのは明白です。そしてこのカオスが民衆レベルにフィードバックされた時、また民衆レベルでのムーブメントを呼び起こすことも間違いないのです。(All Africaの記事)すでに、旧ラバロマナナ政権の支持者がデモを開始しています。(RFIの記事Jeune Afriqueによると、マダガスカルの援助依存は大きく、国家予算の70%を国際的援助に頼っているそうです。

RDC-ルワンダ問題も全然片付いていないようです。ルワンダとコンゴ民は共同軍事作戦を展開してキブ州に潜むフツ族ゲリラFDLRの一掃を行いました。それからまだ1ヶ月もたたないうちに、またまたこの地域でFDLRが跋扈して3万人もの難民が発生しているとHCRは発表しました。もともと、この根の深いツチ=フツの民族抗争がたかが1〜2週間の軍事作戦で一掃できるはずがないのです。この問題をどうにかしない限り、RDC東部、ルワンダおよびブルンジの安定は望むことは難しいと思います。(RFIの記事

最後にブルキナファソは2010年に大統領選挙が予定されていますが、新生サンカラ党のBénéwende S. Sankara氏が立候補を表明しました。ちなみに、同じ苗字ながらトーマ・サンカラと家族関係はないそうです。(Afrik.comの記事

2009年3月23日月曜日

Senegal:市長/地方選挙の結果


今回の選挙で一番注目されていたのはダカールの中心部プラトー地区の区長に立候補していたワッド大統領の息子、カリム・ワッドが市長になれるかどうかでした。その結果は惨憺たるもので、カリムは市長になれなかったどころか、自分が投票した投票所でさえ、他の候補に負けてしまいました。これを見てもわかるようにカリムの支持層とワッドの支持層は明らかに違いますし、むしろ最近のワッド大統領人気の低下はワッド大統領の言動そのものもありますが、ある程度カリムの不人気が足を引っ張っていることも確実でしょう。
カリムはワッド大統領が自分の後任に据えたがっているという噂が絶えないわけですが、今回の惨敗で親子共々これをあきらめるのでしょうか。そのあたりが2012年に近づいてきた次の大統領選の行方を握るカギとなるかもしれません。
ワッド大統領の真意は不明ながら、これまで任期中にポストワッドと見られた人物を首相に任命してはこれをクビにする・・・また、いろんないちゃもんをつけて政治的に抹殺してきたのです。それがカリムを自分の後釜に据える工作だと見られてきました。
いずれにしても、荒れることは間違いないと思います。
ただ、セネガルはこれまでアフリカの中では奇跡的にも独立以来クーデターというものを知らない国です。荒れるといっても、クーデターが起きることはないと思いますが・・・
さて、今回の選挙で問題になったのはその実施手続きのマズさです。投票用紙の不備や投票所の運営などでたくさんの問題が起きていたということです。またダカールの市内ではうちの周囲を含めて極めて静かでしたが、これがバンリュー(衛星都市部分)に行くとガラリとかわります。すでに選挙運動期間から、ミーティングが暴動の一歩手前になりケガ人が出るところがたくさんあったようです。(RFIの記事

2009年3月22日日曜日

Africa:News Round Up 3/22


マダガスカル以外をラウンドアップします。

まず、セネガルでは本日、市長選挙の投票日です。とても静かです。ただ、これは2011年に実施予定の大統領選挙の試金石と見なされていて、この結果次第ではワッド大統領周辺にまた波乱が起こる可能性があります。

次にマダガスカルの記事で触れたギニア・コナクリですが、19日にダディス・カマラ自身が招集した鉱業フォーラムにアシャンティ・ゴールドフィールド社が欠席、これに怒った大統領はこの会社を即閉鎖する命令を出しました。(Afrik.comの記事)このあたり、やはり軍人というか、独裁政権に慣れきってる国だというか、本当に大丈夫なんでしょうか。

そしてコンゴ民RDCですが、ナイジェリアと同じく資源国で独自通貨を採用しているRDCも経済危機に瀕しています。コンゴフラン(FC)はキンシャサの闇レートで1USドル=800FCの壁を突破、この3ヶ月で35%以上値下がりしているそうです。(Afrique en Ligneの記事)これによって、食料価格の高騰が問題化してきています。さらに政府も資金繰りに困っているようで、IMFは約2億USDの緊急融資を決定したそうです。(Afrique en Ligne

マリ北部を1月にニジェールから入って訪れていたヨーロッパ人観光客4人がアルカイダに誘拐された事件で、この誘拐犯と見られる2名がマリ当局によって逮捕されました。(Afrik.com

最後に、またマダガスカルですが、OIF(フランコフォニー国際機関)のアブドゥ・ディウフ事務局長(前セネガル大統領)は今回の政権交代に関して遺憾とし、「憲法を遵守する国家への一刻も早い回帰」を期待するとともに、フランコフォニーからの除名の可能性を示唆しました。(Afrique en Ligne

Madagascar:国際社会の冷たい反応


マダガスカルでは土曜日にラジョエリナ新大統領の就任式が行われました。同時に旧ラバロマナナ政権の支持者達が早速デモを行いました。34歳のラジョエリナ氏がマダガスカルの正式な大統領になるには憲法を変える必要がありますが、今回の暫定大統領ということに関しては憲法評議会が超法規的措置として認めたようです。ラジョエリナ氏は多分任期中にこの憲法の手直しの国民投票をやるつもりでしょうし、現在18〜24ヶ月と言っているトランジションの期間をできるだけ引き延ばそうとするかもしれません。少なくともそのベクトルを持つと思います。しかし、ラジョエリナ新大統領にとって最も厳しいのは外交関係になりそうです。AUアフリカ連合、SADCと南アやナイジェリアなどが新政権を認めないと発表、AUの議席を失いました。さらにフランスのサルコジ大統領も態度を硬化、今回のトランジションを「クーデターである」としています。米国も同じく軍の力を借りたクーデターであると非難しています。(AllAfricaの記事)もうすでに四面楚歌の状態と言えるでしょう。
しかし、私はラジョエリナ新大統領はここまで状態が悪化する前にやるべきことがあったと思います。12月のコナクリのクーデターを見ればすぐにそれがわかります。もちろん、ダディス・カマラがやったのは完全に軍事クーデターであって、ラジョエリナには全くその気がないという違いはありますが、ダディス・カマラはまず隣国セネガルに特使を飛ばしてワッド大統領の助力を仰ぎました。そして次々と隣国に特使を送りつつ、ワッド大統領の助力を得て(飛行機を貸してもらって)外交関係の悪化を防ぎました。また民間人(国際公務員)をさっとエジプトから引き抜いて首相に据えました。これらの努力によって、軍事クーデターではあるものの、周辺国との関係は壊れていないし、それほど悪い印象も与えていません。ラジョエリナはこういう努力を全くしていないと思います。もちろん、ラバロマナナの辞任は突然でしたが、老獪な政治家なら少なくとも現地の各国大使などと調整してこういう事態に備えたはずです。また、ラバロマナナとラジョエリナは両方とも、国際社会の調停をことごとく蹴っ飛ばしてこれらの顔に泥を塗っています。すでに、ものすごく印象が悪いわけです。これから、ラジョエリナ新大統領にとっては茨の道になることは間違いないと思います。
34歳の大統領は今アフリカで一番若い(世界一?)ですが、同じ世代の大統領がアフリカにはいます。コンゴ民のジョゼフ・カビラ大統領です。彼は1971年生まれなので現在37歳。2001年の就任当時は弱冠30歳だったのです。もちろんカビラは前大統領の息子でその地位を実質世襲したわけで、当然お目付役や前大統領の側近をすべて引き継いだ。ということで、ラジョエリナ大統領とは全く事情は違います。いずれにしてもラジョエリナ新大統領がまずやらなければならないことは、外に友達を見つけることで、もし私ならまず年の近いカビラに接近するかもしれません。すくなくともワッドやボンゴのような年寄りよりは話しやすいと思うでしょう。
さて、政治的な危機もありますが、これからマダガスカルを襲う本当に恐ろしい危機は経済危機でしょう。この点でもマダガスカルは孤立しています。フランスだけが援助の継続を表明していますが、大型の契約を一方的にホゴにされた韓国からの援助も期待できないでしょうし、政治的混乱はマダガスカルの大きな資源である観光を直撃しています。(BBCの記事)そしてこれはトランジションが長引けばそれだけ深く傷ついていくというやっかいな問題です。

Senegal:チェブケチャ


今日の昼飯はこれでした。ここ数ヶ月のお気に入りの飯なのですが、このチェブケチャはレストランではほぼ絶対に食べられない飯です。チェブというのはウォロフ語で「米(飯)」のことでケチャは干した魚(ヤボイ)の名前です。これを応用するとセネガルのナショナルプレート「チェブジェン」はチェブ(飯)+ジェン(魚)、チェブヤップはチェブ(飯)+ヤップ(肉)というのがすぐにわかります。
さて、チェブケチャはチェブジェンやチェブヤップなどと違ってなぜレストランで食べられないか?と言うと、これは純粋な家庭料理で他人様にお出しする料理ではないのです。つまり「格の低い料理」とされているのです。
私にとってチェブケチャは懐かしい料理でもあります。昔、タンバクンダの奥にあるニオコロコバ国立公園で働いていたとき、公園内の監視ポストにお昼時に行くと、たいていポストのレンジャーが食べさせてくれたのがこのチェブケチャでした。そんなポストにはもちろん冷蔵庫なんてなく、生ものは腐ってしまいます。しかし、カラカラに乾いたケチャなら保存がきくのです。パラパラしたピラフみたいな飯にこのケチャをほぐしたものを混ぜ込んであるだけ。それに、カーニと呼ばれる唐辛子の粉とマギーブイヨンをついて粉状にしたものをブレンドしたふりかけをかけて食べさせてくれたものです。
そんな昔々の超シンプルなチェブケチャと本日のチェブケチャは全く違います。これはリッチなチェブケチャでとても具沢山です。ベースになる米にはケチャの他にニェベ(豆)とトゥファと呼ばれる巻貝を干したもの、それにもっと小型の二枚貝の中身を干したものが混ぜてあります。その上に、コン(なまずの薫製)、キャベツ、ニンジン、キャッサバ、茄子、ジャハトゥ(苦い茄子)が入っていて、付け合わせにタマリンドのソースまでついているという豪華さ。下手なチェブジェンなんかよりは格段に豪華なチェブケチャです。
セネガル料理はこのようにアレンジによって、同じ名前で呼ばれていても全然違う料理になるのが結構あります。チェブジェンもその1つなのですが、これはさらに「サンルイ風」とかいろいろなバリエーションがあります。一度友達の家でスープカンジャ(オクラとパームオイルのソース)をごちそうになったことがあるのですが、そのスープカンジャには車エビまで入っていました。車エビの入ったスープカンジャを見たのは後にも先にもあのときだけです。
ニジェールのファコホイもこれと同じような家庭料理であんなにおいしいのにレストランでは食えないのです。

2009年3月20日金曜日

Africa:News Round Up 3/20


今日はマダガスカルの続報を中心に軽くラウンドアップします。

マダガスカルですが、ラジョエリナ氏の大統領就任に「年齢制限」でいちゃもんをつけていた憲法評議会は意外にも簡単に折れ、ラジョエリナ新大統領を承認しました。しかし、外交筋からの反応はもっと厳しいもので、AUアフリカ連合は国民投票を実施するよう求めています。(Afrique en Ligneの記事)またSADC(南部アフリカ開発コミュニティ)はマダガスカルの新大統領を承認しない、としています。(Jeune Afriqueの記事)そしてAUもやはりマダガスカルの新政権を除名しました。アメリカも今回のトランジションを非難しています。(BBCの記事)またフランスは援助をストップすることはないものの、AUに同調すると遠回しに「サポートしない」と言っています。援助関係でも動きが出てきました。すでにラバロマナナ前大統領が元首だった昨年11月に世銀とIMFは不透明な会計を理由にマダガスカルに対する融資をストップしていますが、今度は北欧ノルウェイが総額1400万ドルの援助の凍結を発表しました。(IRIN News)また、前政権の巨大プロジェクト、韓国大宇との農業開発プロジェクトはラジョエリナ新大統領によって完全にキャンセルされました。(Afrik.com)そして、実はマダガスカルを襲っている脅威は政治的なものだけではありません。アンタナナリブの瀟洒な街の風景はマダガスカルのどこでも見られるものではないのです。首都と地方の格差は非常に大きく、貧困の影響を受けやすい人々がたくさん地方にはいるのです。これらの人々を襲うのは食料価格の高騰、南部の旱魃、そしてサイクロンであり、これらの苦しんでいる人々は忘れられた存在です。人道援助が必要だとIRIN Newsは伝えています。

さて、ローマ法王ベネディクト16世のアフリカ歴訪で最初に法王が訪れたカメルーンでの発言が波紋を呼んでいます。カトリック教会はもともと中絶や避妊に対して基本的に反対の姿勢をとってきましたが、前法王ヨハネパウロ2世は広がるHIV感染を鑑み、コンドームの使用を承認したのです。しかし、ベネディクト16世は「コンドームの使用がHIV問題に効果的だとは思わない」と発言、既婚者には貞節を、未婚者には貞操を守ることを呼びかけました。これはカトリック教会の従来からの「教え」を繰り返しただけなのですが、効果を上げつつあるコンドーム普及が影響力の強い法王の発言で台無しにされたとヨーロッパ諸国が反発しています。

昨年末に起こったギニア・コナクリのクーデターのあと、ダディス・カマラ大統領に率いられた新政権は前大統領の周囲の有力者が手を染めていた麻薬流通組織の大々的な摘発に乗り出しました。これで真っ先にヤリ玉にあげられたのが故ランサナ・コンテ大統領の息子です。(Afrik.com)ギニアはギニア・ビサウと共に南米→アフリカルートのコカイン経由地として悪名をはせていました。この摘発は「麻薬と戦う正義のダディス・カマラ」を印象づけ、同時にギニア国内に残存する前大統領に近い有力者を選挙期間に入る前に一掃するという、なんともおいしい作戦のようです。国際社会の反応は意外に冷ややかでアフリカ連合の議席も奪われたままです。今年12月の選挙実施をダディスカマラ大統領は発表していますが、彼の真意(本当に政権に対する野望はないのか?等)はまだわかりません。私はかなり怪しいと思います。
ところでダディス・カマラ大統領の国際社会での最大のアドボケイトはセネガルのワッド大統領なわけですが、これをもってしても「イレギュラーな政権」が国際社会に認められることは難しいということです。とすると、このようなアドボケイトを持たないマダガスカルのラジョエリナ新大統領はもっとつらい立場に置かれるでしょう。

アフリカ連合などがこのようにイレギュラーな政権交代に神経質になっている理由は、これから次々と政権交代時期に入る国があるからです。まず、大統領が死亡したギニアビサウ、今年末にはニジェール、そしてギニアコナクリ、そして延び延びになっているコートジボワール。2010年にはトーゴ、ブルキナファソ、2011年にはセネガルが政権交代を行わなければなりません。ざっと見回しただけでもこれだけあるのです。イレギュラーな政権交代に神経質になるのは当然です。

2009年3月18日水曜日

Madagascar:政治的混乱は終わるのか?


マダガスカル大統領マーク・ラバロマナナは昨日辞意を表し、「政権を軍部に移管する」としました。そして、現在は在マダガスカルのアメリカ大使館に身を寄せているようです。(Afrik.comの記事
さて、政権を大統領から譲り受けた軍部はこれをそっくりそのままラジョエリナ氏に渡し、(Afrik.comの記事)ラジョエリナ氏は大統領府に入り、大統領就任宣言をしました。(記事
これで、2009年1月からのマダガスカルの政治的な混乱は一応の決着を見ました。
2/9の記事で私自身国民に銃を向けた大統領に大統領たる資格はない、と書いていますがこの事件ですでにラバロマナナ大統領の命運は尽きていたのだと思います。この時にレフェランダムなりラジョエリナ氏に政権を渡すなりしていれば、マダガスカルの政治は救われたと考えます。
しかし、ラバロマナナ大統領は粘ったのです。これはラジョエリナ氏を甘く見すぎていたこともあるでしょうし、最後の政権の譲り方を見てもラバロマナナ氏が「ラジョエリナ氏にだけは渡したくなかった」というのがありありと見て取れます。それだけ深い確執と嫌悪をこの2人はお互いに抱いているということなのでしょう。そして、この2月からの1ヶ月・・・これがマダガスカルという国のシステムを深く傷つけることになるのです。ラジョエリナ氏陣営の決定打を出せない政治力不足、そして軍部のゴタゴタ、分裂。名乗りを上げるだけの大臣・・・この1ヶ月の間に次々とこのような事態が生じ、アナーキーな「印象」を作り上げてしまったのです。

さて、今回ラバロマナナ氏が身を引いて、これで決着するのでしょうか?
私はこれについては懐疑的にならざるを得ません。まず、大統領になったラジョエリナ氏ですが、欧米のメディアもこぞって「若すぎる」「力不足」「DJ上がり」とかなり辛口な記事を出しているようです。私は年齢や職歴は関係ないと思いますが、力不足はこの1ヶ月たっぷりと見せてもらったわけで、この点においてラジョエリナ氏にマダガスカルを「率いていく」ことができるかは大いに疑問があります。ラジョエリナ氏はフランスとは結構関係を持っているようですが、AUなどにはほとんど知られていない存在でしょう。ラジョエリナ氏はマダガスカル内に視線が向きすぎているように思います。また、マダガスカル内に目を向けてみても、ラジョエリナ氏が国民の圧倒的な支持を得ているかというと、そうでもないようです。ラバロマナナ氏にはかなりの支持基盤がありましたし、だからこそ彼は粘った。また、この1ヶ月のゴタゴタで人々の生活はかなり不愉快なものになっており、それをラジョエリナ氏のせいだと考える人も少なくない。また、軍部は今回政権をそっくりラジョエリナ氏に渡しましたが、これはラジョエリナ氏が軍部を掌握しているわけではないと思います。またこの「譲った」という行為そのものが、今後ずっしりとラジョエリナ氏の肩に重い荷物となっていく気がしてなりません。
これらの内圧、外圧にラジョエリナ新大統領が耐えられるかどうか?
これは大いに疑問です。
とにかく、トランジションのための政府を立てて、事態を収拾し正常化させることがラジョエリナ新大統領にとって急務といえます。その後、やはり選挙を実施して民主的にリーダーを選ばなければなりません。それを考えると、これはマダガスカルの政治的混乱の終結ではなく、単に1つのパラグラフが終わっただけ、という気がするのです。まあ、そのパラグラフが他のアフリカ諸国と比較してプルーストばりに長いのはマダガスカルの国民性・・・なのでしょうか?

=UPDATE=
やはり早速この「ラバロマナナ辞任→軍部に政権移管→軍部はラジョエリナ氏に丸投げ」というイレギュラーな流れは国際社会の批判を呼んでいます。AU安全委員会をはじめ、南ア大統領、SADC、ナイジェリア外相が「容認できない」としています。(AllAfricaの記事)また国連事務総長もマダガスカル情勢を「憂慮している」としています。(Afrique en Ligne
そして、ラジョエリナ新大統領(自称)にNOを突きつけたのは、外国だけではありません。もっと近くというか、マダガスカルの憲法そのものが壁のごとく立ちはだかりました。(BBC)マダガスカルの憲法では大統領は40歳以上でないと就任できないことになっており、34歳のラジョエリナ氏は6年足りないことになります。ラジョエリナ氏は押し切るつもりのようですが、マダガスカル最高裁は慎重な姿勢を見せています。
ラジョエリナ氏はスキピオ・アフリカヌスのようにこの「年齢制限の壁」を打ち破ることができるのでしょうか?

2009年3月17日火曜日

Madagascar:大統領が政権を軍部に渡す


=速報=
とうとうラバロマナナ大統領が「政権を軍部に譲る」とタオルを投げました。
しかしながら、これがマダガスカルの混乱が収まるというわけではありません。
これからマダガスカルは「民主的な選挙」まで軍政に移行するわけで、これはギニアコナクリの状態と全く同じになってしまったということになります。もちろん、軍がそのようにマダガスカルを導いていくのかはわかりません。しかし、ODA関連はフルストップを余儀なくされるでしょうし、外交関係も連続性が保たれるかわかりません。
ということで慎重に見守る必要があるでしょう。
=UPDATE=
軍部はラジョエリナ氏を暫定政府の指導者とし、ラジョエリナ氏はアンタナナリブの大統領官邸に入ったとFrance 24のニュースやRFIが伝えています。ということで、軍は大統領から政権を譲られたものの、これをそのままそっくりラジョエリナ氏に渡したということなのでしょうか。また、状況が明確になり次第アップデートします。

Madagascar:無政府状態へ


昨日ラバロマナナ大統領が提案したレフェランダム(国民投票)というアイデアはこれまたラジョエリナ氏に一蹴されて終わりました。軍を味方に付けたラジョエリナ氏はついに「大統領を逮捕しろ」と発言しています(Afrik.comの記事)。しかし、これは実際に大統領を逮捕する意図よりはハッタリだと思います。
このように政治家がハッタリ合戦を相も変わらず演じている間に、軍は不気味な動きを続けています。ラバロマナナ大統領が放棄した大統領官邸を軍が押さえました。(Afrik.comの記事RFIの記事
このラジョエリナ氏と軍による政権転覆をAUアフリカ連合は非難しています。(JeuneAfriqueの記事
また、Afrique en Ligneによると、このAUの会議に出席した在エチオピアのマダガスカル大使の弁では「ラバロマナナ大統領はまだ国土の70%と軍の大半を掌握している」ということです。
しかし、これはマダガスカルという国が分裂状態にあるということを示している警報を鳴らしたようなものです。
国土の70%と軍の「大半」を掌握している政権、それはすでに機能不全に陥っているのです。しかし、この状態ではラバロマナナ大統領もうかつに政権を投げ出すことができないのも事実です。今、政権が投げ出されたら、もちろんラジョエリナ氏がそれを掴むことは間違いないでしょうが、大統領派だった「70%の国土と軍の大半」はどうなるのか?それを考えるとこのオプションも危険すぎるのです。
RFIはカギを握っているのは軍部であり、今マダガスカルは軍事クーデターの危機にある、としていますが、私もそう思います。そして、事件の初期から防衛大臣が辞任したりしているのを見てもわかるようにマダガスカルの軍の統制ははっきり言ってお粗末なものです。このあたり、コートジボワールを思い出してしまいます。コートジボワールとマダガスカルはいくつかの点で似たところがあります。まず、現政権の政治力が強大でなく、軍部がちゃんと掌握されていないこと、巨大な首都と地方の格差、経済が国をリードするメインのファクターであること等。
それを考えるとなんとなく煮え切らない今回のAUの非難も理解できるような気がします。フランスは型通りの「法に則ったトランジションを」という姿勢のようです。

2009年3月15日日曜日

Africa:News Round Up 3/16


ダカールは日中だいぶ気温が上がるようになってきましたが、夜はまだ寒いです。マンゴーの花も季節の移り変わりのしるしですが、ブーゲンビリアも枯れ木のような状態から、あちこちに葉やガクが出てきました。

さて、週明けのラウンドアップです。まず、心配なマダガスカルですが土曜日にラジョエリナ氏がラバロマナナ大統領につきつけた辞任要求はカジュアルに無視されて終わりました。あと、国会議長が辞任と書きましたが、あれは間違いで国会議長もラジョエリナ氏に同調してラバロマナナ大統領の辞任を求めた、というのが真相です。一方、軍の動きですが一時は「戦車を動かす」と動きをほのめかしていました(BBCの記事)が、ラジョエリナ氏は「戦車はいらない」と発言、今は沈黙しています。そしてここにきて、ラバロマナナ大統領側から奇策が飛び出しました。それは「レフェランダム(国民投票)」を実施するというのです。(RFIの記事)しかしながら、大方の見方ではラバロマナナ大統領にはすでに国民投票を実施したり乗り切る力はない、ということです。実際、首相府もすでにラジョエリナ氏側に乗っ取られていますし、軍もラバロマナナ下ろしにかかっています。また国会も大統領の味方にはついていないことを考えると、ラバロマナナ政権には未来がありません。軍は依然として「政権奪取の野望はない」としていますが、一時的でも軍による事態掌握の可能性は十分あり得ると思います。(JeuneAfriqueの記事

ニジェールの統計局が全人口の20%にあたる130万人が携帯電話を使っていると発表しました。首都ニアメではだれでも持ってるような気がするんですが、まだ20%なのかな?とちょっと不思議な気もします。それにしても、2005年の調査ではわずか4.6%だったので、かなり急速な普及が進んでいるともいえるでしょう。ちなみにアフリカ平均は28%で、これに比べるとニジェールの数字はまだ低く、発展の余地があるといえます。(Afrique en Ligneの記事

EUがベナンに対し、1832万ユーロの大型援助を承認しました。主に食料安全とガバナンスに向けられるようですが、EUの援助というのはFEDという5年タームについてこのように予算が承認される仕組みになっており、日本のような単年度の予算ではありません。また、アメリカのやり方とも違って、政府の財政支援も行います。(Afrique en Ligneの記事

ウガンダの北部で石油がみつかり、これが原因でまた内戦が起きそうになっているそうです。もちろん、後ろにいるのは例のカルト武装集団LRA (Lord's Resistance Army)です。(Afrique en Ligneの記事

最後にガボン大統領夫人で、コンゴ(ブラザビル)のンゲソ大統領の長女、エディット・ボンゴさんがモロッコで死去しました。享年45歳。(Jeune Afriqueの記事

2009年3月14日土曜日

Madagascar:大統領下ろし


=速報=
マダガスカルで本日大きな集会があり、ラジョエリナ氏がラバロマナナ大統領に対し4時間以内に辞任するよう求めています。また、国会の議長が辞任する等、政権そのものが空中分解しそうな感じになってきました。なお、軍はこの動きに参加はしないようです。これはさらに悪い兆候ですね。ラジョエリナ氏が政権を握ったとしても軍を掌握できるかが不透明です。(France 24の記事

Senegal:マンゴーの花


マンゴーの花が満開です。
実は2月に一度マンゴーは花をつけたのですが、寒さと強風で全部実を付けることなく落ちてしまいました。去年はなぜかほとんど実がならず、悲しかったのですが、今年もまたマンゴーが食べられないのか・・・とがっかりしていたら、2度目の花をつけました。今度は気候も良くなったのかなんか勢いが違います。一昨年はマンゴーが大豊作で、実が熟する季節・・・だいたい7月くらいにはもう毎日おいしいマンゴーが5コくらい空から降ってきました。で、実はマンゴーを大好物なのは人間だけでなく、コウモリがそうなのです。で、コウモリと競争して熟れたマンゴーを奪い合うことになります。マンゴーは木によって、おいしいマンゴーとおいしくないマンゴーがあります。おいしくないのは実も小さくて繊維ばかりで酸っぱいのです。こういうマンゴーはゆでて食べたりしますが、ウチのマンゴーの木はおいしいマンゴーの木なのです。完熟すれば売っているマンゴーよりもずっとおいしい。そういうのが毎日空から降ってくるのです!
今年は期待できそうな気がします。

2009年3月13日金曜日

NIgeria:メルトダウンを回避できるか?


もう1週間以上前になってしまいましたが、ナイジェリアの状態が心配だと書きました。その理由はいくつかあります。

1. 世界不況の影響をまともに受けている。
原油の大型生産国であるナイジェリアはリセッションの影響をまともに受けます。すでに原油の価格が下がり、通貨ナイラも下がりっぱなしです。
2. 内政が不安
南部ではニジェールデルタ問題、中北部ではジョスなどに見られるように宗教対立があります。そして経済の悪化は一般犯罪を増加させ、電力供給などの公共インフラを改善することが難しくなります。
3. 感染症の流行
首都でのラッサ熱、中北部での髄膜炎の流行が見られます。
4. 大統領の求心力低下
特に2.と関連して、大統領の指導力不足がチラチラと見えます。

このようにいくつもの要因が絡み合って連邦のシステムのメルトダウンにつながりかねない危険性をはらんでいる気がします。そしてナイジェリアのメルトダウンは周辺国にも大きな影響を与えるでしょう。ニジェール、ベナン、カメルーンなどはナイジェリア経済と深くつながっています。

Ubuntu:フランス憲兵隊の場合


ヨーロッパ、特にフランスは脱MSの気概のある国で、政府が率先してLINUX導入を行っており、すでに議会にUbuntuを導入しています。ArsTechnicaが伝えるところではフランスの憲兵隊Gendarmerie Nationalでは2004年にオープンソース導入をはじめてからすでに5千万ユーロの節約になったということです。プロセスとしては、まずMS OfficeをOpenOffice.orgに置き換え、次にIEをFireFox & Thunderbirdに置き換え、2006年のVista発表からVistaではなくUbuntuへの移行を進めたということです。現在すでに5000台がUbuntuで作動しており、今年末までにこれを15000台にし、2015年には9万台すべてをUbuntuに移行させる予定だそうです。
これによって、パフォーマンスを落とすことなくIT予算を70%圧縮することができたそうです。
このようなオープンソース導入の動きはカナダや英国でも見られる、ということです。
世界不況の中、この動きはさらに広まるでしょう。また、アフリカにもやってくると考えられます。特にフランス語圏は旧宗主国との組織レベルでのつながりを深く保っています。フランスでオープンソースが標準化していけば、追随するでしょう。
ちなみに、OpenOffice.orgはこれまでMacOSX上ではネイティブで動かず、X11環境を必要としていましたが、最近インターフェイスもAqua化されて、NeoOfficeとほとんど同じ環境になっています。NeoOfficeはJavaで動いているので、メモリー条件などが厳しいマシンでは動きが鈍いですが、OpenOffice.orgは軽快に動きます。

Madagascar:市民戦争へ


マダガスカルを続けます。実は今日12日から最後の対話の試みとも言える会議が予定されていたのですが、これは延期されました。水曜に在マダガスカルの米国大使は「マダガスカルは市民戦争に突入しようとしている」と発言しました。また軍の内部も混乱しており、軍およびMP(Gendarmerie?)はすでに政府のコントロール下にないようです。
ここにきてセネガルのワッド大統領はダカールでのラバロマナナ大統領とラジョエリナ氏の平和対談のホストを申し出ましたが、これは遅きに過ぎるでしょう。この局面でこの2人がマダガスカルを離れればたちまち軍部が政権を握るのは目に見えています。
今の状態は非常に危険だと思います。在住の方は空港が閉鎖されたりする前に一時的にでも退避を考えられた方がいいと思います。軍が出てくるということは、事態がいままでのようなゆっくりしたスピードで行ったり来たりする局面ではすでにないことを示しています。民間機が飛んでいるうちに脱出を考えた方がいいと思います。
IRIN news
BBC News
Afrik.com)
Jeune Afrique

2009年3月12日木曜日

Madagascar:軍の混乱、介入


アップデートをしていなかった間に一番困ったことになってるのがマダガスカルです。
ラバロマナナ大統領とラジョエリナ氏の直接会談は何の結果ももたらさず、決裂し、身の危険を感じたラジョエリナ氏はフランス大使館に避難しました。これは1つの象徴的な意味を持ちます。
大使館というのはその国にありながらその国でない治外法権が適用されます。つまり、ラジョエリナ氏はマダガスカルにいながら「亡命」したに等しいわけです。
そこでゴソゴソと動き出したのが軍です。最初は軍の内部に分裂がおき、統制に乱れが生じました。そしてまた防衛大臣が辞任、軍司令部が直接軍を掌握します。これが何を示すかというと、軍が政府のコントロール下から這い出してしまうということなのです。そして案の定、軍の司令部が今度は政治的野心をちらつかせながら事態の沈静化に向かっています。
この事態の展開によって、マダガスカルの危険度は一気に高まったと思います。最初は単に大統領と市長の権力争いだったものが、長期化することによって国のシステムそのものがズタズタにされ、軍による掌握という最悪の事態に向かっているのです。これはもうすでに民主主義がどうこうというレベルではなくなっています。
マダガスカルにとって不幸だったのは、ラバロマナナ大統領とラジョエリナ氏の確執という状態の時にこれをなんとか仲裁する「Doyen」つまり過去の大統領経験者とかがいなかったというのがあります。両者とも一国のトップに立つには若いのです。これはいいことなのですが、Doyenの存在がなくなるとどうしてもお山の大将になってしまいます。もう1つは、ラバロマナナ大統領、ラジョエリナ氏の次の「第3の男」がいなかったということです。マダガスカルの政界に「第3の男」が存在すれば、ラバロマナナ大統領とラジョエリナ氏の間がにっちもさっちも行かなくなった時に政治的解決ができたのです。しかし、この「第3の男」がいないことによって、この閉塞感は軍部を刺激してしまった。こうなったらもうシビリアンコントロールが崩れます。マダガスカルにおける民主主義はこの先かなり長期にわたって楽観できない状態に置かれることになります。

Apple:新型iPod Shuffle発表


いろいろあって数日更新がストップしてしまいました。
その間にアフリカもいろいろあって、ラウンドアップしなければならないのですが、これは追々追いついていくことにして、タイトルのとおり、Appleから新しいShuffleがやってきました。
でも、今回のアップデートははっきり言って個人的には全く魅力がないです。
もう、「ごめんなさいっ!」って感じですね。
まず、デザインがのっぺりしていて全く訴求性がありません。Shuffleの魅力は、シンプルで便利だけれどもしっかりした存在感があったことだと思うのです。もちろん純粋に技術の追求という意味からすれば、Shuffleは透明になってしまった方がいいのかもしれません。しかし、そのような透明なのっぺりして機能だけがあるもの・・・それは商品として、物体として魅力的でしょうか?Shuffleが今回投げかけているのはそういう問いだとも言えます。そういう意味で私は古い人間なのかもしれませんが、このShuffleには魅力を感じないのです。これだったら別に中国製のパッチもんでもiRiverでも他のどのMP3でもいっしょ。Appleでなければならない理由がまったくなくなってしまったと思います。
次に操作部分がイヤフォン側に移ったことで、通常のイヤフォンを使えなくなってしまった。また、操作性も落ちると思います。旧第2世代のShuffleは操作性、デザイン、イヤフォンのカスタマイズ性において非常に優れた製品でした、トレッドミルに乗って走りながらでも、簡単に操作できた。今回のは難しそうです。それにAppleのイヤフォンは好みが分かれるところで、私は個人的には好きではありません。そうした時にものすごくストレスのたまる仕様だと言えます。

2009年3月5日木曜日

Africa:News Round Up 3/4


まず、ギニアビサウの状況ですが、憲法に従い国民議会のライムンド・ペレイラ議長が暫定大統領に就任しました。またAUはアジスアベバで特別の会議を開き、ギニアビサウの状況をクーデターではないと結論づけました。(Afrik.comの記事
また、ガボンのオマール・ボンゴ大統領が、今回の暗殺は民主主義への攻撃であると暫定大統領にあてた公式書簡で述べたそうです。まあ、ECOWASの代表も同じことを言っていますが、それは暗殺の全容が明らかになる前の話で、AUが今回の暗殺を政治的なものと切り離した今となってはちょっとズレちゃった感じを否めませんし、なによりも「他ならぬあなたが言うの?」と、まず思ってしまいます。最近、ガボンでは一連のジャーナリストの拷問などそれこそ反民主主義的な動きがボンゴ大統領側に見えるにもかかわらず、です。(JeuneAfriqueの記事

RDC-ルワンダの間にある、今回ンクンダのゲリラ戦の舞台となったキブ湖は大量のメタンガスを発生させることで知られており、それゆえに「死の湖」と呼ばれてきたそうです。IRIN Newsが伝えるところによると、ルワンダ政府は今週このキブ湖のメタンガス開発の3.25億USドルの契約をアメリカのContour Global社と結んだそうです。ルワンダはこのメタンガスを使って燃料用ガスと発電を行う予定だそうです。最近ルワンダのカガメ大統領は援助依存の体質からの脱却をブチ上げていますが、これはRDCキブ州のレアメタル等の地下資源もさることながら、すでにこのメタンガス開発のめどがついていたからだったのでしょう。ただし、これだけで援助依存から脱却できるかどうか、この見通しはそんなに明るくないと思うのですが。

ウガンダの西部にそびえるルウェンゾリ山地が山頂部にいただく氷が20世紀に激しく減少し、ここ数年のうちに完全に消え去るかもしれないとIRIN Newsが伝えています。これはウガンダの農業に打撃を与え、またマラリアなどの疾病を広げる可能性があるそうです。

AllAfricaによると、ガーナでは軍人と民間人の間に一種の緊張が高まっていることを伝えています。

シエラレオネは内戦から抜け出てまだ間もなく平和構築の段階ですが、若年者層の仕事がないことが国の安定を脅かす可能性があることをIRIN Newsが取り上げています。仕事がない若年者層は結果としてマリファナを吸ってブラブラしたりするしかないのです。こういう若年者層が60%を超えるそうです。そして次には犯罪に走らせることになります。しかし政府のこの問題に対する取り組み体勢は整っていません。若年者の問題に割り当てられる国家予算は全体のわずか1.4%にすぎません。この途上国における若年者層の問題を私は個人的にかなり前から重要視していました。国際協力の世界では例えば子供にはUNICEFという巨大なロビー団体がありますし、女性問題にも強大なロビー団体が存在します。農林水産にも非常に大きなロビーがあります。そういったロビーがほとんどない、国際協力から忘れられた人々・・・それがこの若年者層なのです。しかし、まさに今、あるいは数年後にその国を支えていくべき人たち、それがこの層です。よって「援助の効率性」という観点からすれば、論理的に考えて、若年者層というのは優先的に援助の対象とするべきなのではないでしょうか?

さて、最後に今私が一番心配しているのは実はナイジェリアです。大きな政治的混乱こそ見られないものの、ナイジェリアは今回の世界不況の影響を最も直接的/間接的に被っています。ナイジェリアについては明日にでも別記事でまとめたいと思っています。

Senegal:寒さの次は砂嵐


今日のダカール、ちょうどCYVOGUE前の道路の写真なのですが、ものすごい風と砂嵐(Poussiere)です。まあ、乾期には珍しいことではないのですが海に囲まれたダカールはこれほどひどく砂が舞うことはそんなにないのです。ティエスとか内陸部に入るともっとすごいです。もちろんニアメなんかもものすごい砂嵐でしかもあそこは舗装道が少ないし、ちょっと街を出るとすぐに荒れ地になってるのでそれはそれはすごいです。寒さも嫌ですがこの砂嵐は本当にたまりません。外に出られなくなります。さらに悪いのはこの砂がいろんなものを運ぶのです。カゼというかインフルエンザのウイルス、髄膜炎のウイルスもこの砂によって媒介されると言われています。
ところで、セネガルも地方選挙を控えてカオラックなどではストが行われたり、街のいろんなところでタイヤが燃やされる等、もともとあまりきれいでない街がさらにひどいことになっているようですし、ケドゥグではまだ若年者の不満が積もり積もっていてワッド大統領がくるのを手ぐすね引いて待っているような緊張した状態だと言われています。
また、今日の新聞の1面は消防局の機材納入をめぐる巨額の公金横領です。困ったものです。

2009年3月4日水曜日

Apple:デスクトップ機を一新


iMac、Mac Pro、MacMiniをすべてアップデートしました。それにしても今回は中身が大きく変わっているのに、表面上のデザインは全く変更がなく、アルミMacBookのような「衝撃」には欠けるアップデートとなりました。iMacおよびMac Proは値段も300ドルくらい下がってさらにアトラクティブな設定になりました。ただ、私の個人的な感覚ですが、24インチというのは、はっきり言って大きすぎる。あれはかえって疲れてしまう。そしてリビングに置いて2mくらい離れて何かするにはちょっと小さすぎる気がします。デスクトップに置いてデスクトップとして使うのは22インチが最大/最適な大きさだと思います。
またMac Proについては、昔はQuadraに憧れ、PowerMac 8600やG4 QSを持っていた私ですが、今は全く食指が動きません。
ということで、MacMiniのモデルチェンジを一番期待していたのですが、これはなんか見事に裏切られてしまった感じです。
まずはデザインの変更がなかったこと。確かに今のMiniのデザインは非常にミニマルで美しいですが、さすがにG4からずっと変わっていないのはちょっとガッカリです。光学ドライブを外付け(MacBook Airと共通)にするなどして、さらなる薄型化とかがあればもっとアトラクティブだったでしょう。グラフィックがNVIDIAになったことは評価できます。しかし価格設定については据え置きで、これはiMacやMac Proの値下げを見れば全然魅力的ではありません。またエントリーと上位機種の違いがRAMとHDDの容量だけというのもちょっとひどいですね。あとMacMiniのユーザが一番苦労している音声入力も全く改善されていません。USBを増やすのもいいですが、できればマイク端子をつけて欲しかった。MacMiniを使う人はライン入力よりもはるかにマイク入力を必要としているでしょう。(ただ、マイク入力端子はライン入力を突っ込むと壊れてしまうのでそういう自己を防ぎたいというのはわからないでもない)
まだ、実機をバラしたところはさすがにないので中がどう変わっているかは大変興味深いところです。
それより、Airport Base StationとTime Capsuleがデュアルバンド仕様になって、b/gとnを同時に通信できるようになったのはなかなか便利そうです。

Guinee-Bissau:フォーサイス氏が語る


BBCが伝えているのですが、「ジャッカルの日」で有名な英国人小説家フレデリック・フォーサイス氏がちょうどビエイラ大統領暗殺時にビサウに居合わせたそうで、その現場を生々しく語っています。
フォーサイス氏がビサウ入りしたのは、日曜の夜リスボンからで、丁度陸軍司令官が爆破によって命を落とした直後だったそうです。ホテルの部屋で寝ている時に爆発音を聞き、それは大統領邸の屋根が崩れ落ちる音だったそうです。軍人達は大統領邸の窓から爆弾を家の中に投げ入れ、それは大統領を傷つけましたが殺しはしませんでした。また崩れ落ちた屋根も大統領を殺しはしませんでした。「彼らは大統領を姑の家に引っ張っていき、そこで鉈で斬り殺した」とフォーサイス氏はBBCに語りました。フォーサイス氏は大統領の検死を行った法医学者と月曜の夜、夕食を共にしたそうです。
フォーサイス氏といえば、1973年の赤道ギニアのクーデターへの関与がありますから、今回も?と考えてしまいますがフォーサイス氏は今回の事件への関与は全くない、今回の事件は政治的な動機を持つクーデターというよりは、反目する2人の権力者の殺しあいだと語っています。またフォーサイス氏で他に有名なのがビアフラ戦争についてのルポルタージュです。今回もこの機会をのがさず、しっかりとギニアビサウをルポしてくれるかもしれません。
フォーサイス氏がビサウに行ったのは「新しい本のための調査」ということなのですが・・・

2009年3月3日火曜日

Apple:新型iMac & MacMini発表か?


AppleInsiderをはじめとしていくつかの噂サイトが今日新型iMac & MacMiniの発表があると伝えています。ちょっと前にUSBポートが5つある新型MacMiniらしき画像がリークされ、いやいやこの画像はフォトショップだとか言われて次は動画まで流出していたのですが・・・
Apple Insiderによると新しいラインアップのスペックは、
=iMac=
MB417: "Entry-level" 20-inch with 2.66GHz Core 2 Duo, 2GB of RAM
MB418: "Mid-range" 24-inch with 2.66GHz or 2.93GHz Core 2 Duo, 4GB of RAM
MB419: "High-end" 24-inch with 2.93GHz Core 2 Duo, 4GB of RAM
MB420: "Very high-end" 24-inch with 3.06GHz Core 2 Duo, 4GB of RAM

=Mac mini=
MB463: 2GHz Core 2 Duo, 1GB of RAM, 120GB hard drive
MB464: Unknown Core 2 Duo, 2GB of RAM

ということらしいのですが、なんかいまいち怪しいですね。iMacはともかくMacMiniのスペックははっきり言って新型というにはお粗末すぎる。まるでマイナーチェンジです。Leopardで1GBのRAMというのは結構厳しいし、これなら価格をぐっと下げないと売れないんじゃないでしょうか?

Guinee-Bissau:暗殺の影に麻薬あり


ビサウの状況は比較的落ち着いているようです。一夜のうちにこの国の最有力者2名が死ぬという惨事の後としては考えられないくらいです。ECOWASは昨日調査団を派遣すると発表しました。(Afrique en Ligneの記事)またアメリカ、ヨーロッパに続いてセネガルのワッド大統領もビエイラ大統領の暗殺を非難しています。(Afrique en Ligneの記事)これでギニアのように軍部が政権を掌握するのか?と思ったら軍部にはそのつもりはなく、憲法にしたがって政府の再建を行うとBBCが伝えています。またギニアビサウ政府の閣僚会議は調査委員会を設置することを要請しました。(Afrique en Ligne)またAUもビサウに特使を派遣するらしく(Afrique en Ligne)、昨年12月のギニアクーデター以来、アフリカではものすごい外交合戦が繰り広げられています。
面白いのはBBCが発表しているこの記事です。これはブライマ・カマラというラジオのレポーターが目撃したビエイラ大統領暗殺現場の様子を淡々と語っているのですが、その淡々とした調子がかえって空恐ろしく気味悪いのです。これはビサウ住民がビエイラ大統領に対して抱いていた感情を反映したものなのでしょうか。話によるとビエイラ大統領の支持率は低かったそうです。また、爆死した陸軍司令官と大統領の間には長年にわたって続いた反目があり、お互いに武力を使って殺しあっただけ・・・というのが一般的な反応なのかもしれません。
しかも、今日のFrance 24の報道によると近年ギニアビサウは南米からヨーロッパへのコカインの中継地となっていたという話で、大統領をはじめとするこの国の有力者はこの取り引きに深く関わっていたとも言われています。隣のコナクリでは故コンテ大統領の息子が麻薬取り引きの罪で逮捕されています。ということで、この一連の暗殺劇は確かに麻薬を巡るマフィアの抗争(スカーフェイスのような)にも見えるのです。
とにかくギニアビサウが政治的に安定を取り戻すかどうかは少し時間がたってみないとわかりません。ただ、この機会にビサウを舞台とした麻薬取り引きのマフィアが一掃されるといいのですが・・・
ギニアビサウはセネガルのカザマンス地方と隣接しており、カザマンスのゲリラはギニアビサウとも深いつながりがあります。最近はこのゲリラも鳴りを潜めているのですが、それはギニアビサウ国境地帯にセネガル軍が相当数の部隊を駐屯させているからだともいえます。今回の混乱がまたこの地方の安定に悪い影響を与えないといいのですが。ワッド大統領もそれを気にかけているのだと思います。

2009年3月2日月曜日

Guinee-Bissau:VIEIRA大統領殺害される


=速報=
BBCが伝えるところによると3/1の午後、General Batista Tagme Na Wai 陸軍司令官がビルの爆破によって死亡したそうです。また3/2本日の朝もまだ銃撃が続いており、ヴェイラ大統領ももしかしたら殺害された可能性があるそうです。

=UPDATE=
RFIによると、ヴェイラ大統領も殺害されたということです。

ギニアビサウ軍の広報官Zamura Induta氏は日曜に陸軍司令官の命を奪った爆破のあと、月曜の朝に大統領が殺害されたことを伝えました。これを受けてECOWAS (CEDEAO)のモハメド・イブン・チャンバス氏は「これは民主主義の暗殺である」と述べています。
Induta氏の発表によると、死亡した陸軍司令官に近い軍人のグループがヴェイラ大統領の自宅を襲い、逃げようとしたところを殺害された、ということです。

=UPDATE 2=
JeuneAfriqueによるとギニアビサウ首相カルロス・ゴメスJrが危機管理委員会(Cellule de crise)を招集し、この混乱状態に対処するようです。ビサウの状況はまだところどころでカラシニコフの銃声やロケット発射音などが聞こえる混沌とした状態のようです。

TV5のサイトにもレポートが出ています。

=UPDATE 3=
Afrique en Ligneが伝えるところではビサウの街は一応平静を取り戻したようです。
右のペインにあるGuinee-Bissauをクリックしていただくと、本ブログで取り上げたギニアビサウ関連の記事が読めますが、11月末にすでにクーデター未遂が起こっています。RFIなどによると、この事件の後、大統領は軍への不信感を強め、私設警察を作って身辺の警護をさせていた、また軍の首脳部との折り合いが非常に悪くなっていたとも言われています。政府のトップが軍の掌握に失敗してクーデターになる例はコートジボワールがまさにそれにあたります。実はマダガスカルもチラチラと軍部による権力掌握の影が見え始めているので心配です。

また新しい情報が入り次第アップデートします。

Funny:株価のチャートで音楽?

MSのGarage Bandじみた音楽生成ソフトSongsmithを使い、リーマンブラザーズ等いろんな会社の株価のチャートを音楽にしてみたそうです。