2007年6月22日金曜日

Safariの本当のチカラ

去る11日に開催されたWWDC(アップルの開発者向け会議)で発表されたSafari 3.0 Public Betaをダウンロードして使ってみた。

なるほど、速い。非常にキビキビした動きでインターネット回線が日本よりかなり遅いここではSafari 2と比べてもかなり体感的に速い。

で、Flashのプラグインとかが使えなくなるのでは?と危惧したけど、何の問題もなく作動している。

で、何よりもGoogle Docs&Spreadsheetが使えるようになった!

私はMacユーザなのでWinのSafariが出ても「そう?」くらいにしか思わなかったのだが、出てすぐにバグだのセキュリティホールだのが発見されたのにもかかわらず、なんかもう100万ダウンロード達成したみたいでちょっと驚いている。でもいろんなところを読んでみると、どうやらこのSafariはかなり戦略的な製品だということがわかってきた。

1. フォントのレンダリングエンジン 
同じページを同じCSSで見たとしてもMacで見るときとWinで見る時は全然印象が違う。それは主にフォントの違いというかフォントをどう表示するかの問題なのだ。僕はWinのユーザがMacのフォントはボケボケと言うのを聞いて「?」と思っていた。で、なんでWINのフォントはあんなに汚いのだろうと思っていた。この違いはどうやら同じフォントのデータでもレンダリングの仕方が違ってMacは「ボヤけででもオリジナルのフォントのデザインを守る」というレンダリングをしているのに対し、Winでは「デザインが崩れてもはっきり見えるようにする」、その違いらしい。だからWinのフォントは字によって横棒の太さがまちまちだったり、統一感がないのだ。SafariはWin用アプリでありながら、Webの表示にMac風のフォントレンダリングを行っているらしい・・・これは確かにすごいことだ。iTunesやiPodによってすでに食い込んでいるWinへのアップル技術の浸透にWebの「見え方」を提供する・・・

2. iPhone関連
 iPhoneにはSafariブラウザが搭載される。そしてiPhoneのサードパーティーアプリはWebアプリとして開発され提供されることになっている。これはアップルの考えとしてハードと直接関連して動くアプリはアップル製で固め、ユーティリティアプリケーションはブラウザ上で動くWebアプリにシフトしていくというアプリケーションの未来像を示しているのかもしれない。 そういう意味でSafariはその中核をなすアプリケーションとなる。

 もちろん1人のMac Fanboyとしては今回のWWDCはやっぱり気が抜けるものであったけどアップル全体で言えばもしかしたらすごく重要なことが発表されたと言えるのかもしれない。

2007年6月20日水曜日

ブログのはじまり

3月にこのブログのカタチを作ってから放ったらかしていたのだが、正直どこから書き始めていいのやら全くわからなかったのである。書きたいことはいくらでもあった。今取り組んでいるUbuntuベースのLinuxマシンのこと、Appleのこと、Googleのこと、MSのことetc...
でも、迷ってばかりいても仕方ないのでとりあえず脈絡もなく書き始めてみようと思う。

私がこのアフリカの西の端ダカールにMacオンリーのサイバーカフェCYVOGUEを開いてから10ヶ月がたった。時が経つのは早いものだ。この10ヶ月はまさに試行錯誤の連続であった・・・そしてその状態は今も続いている。
Macベースのサイバーカフェがここで受け入れられないと思ったことはなかったし、客の中にはWin慣れをしている人も少なくなかったが、彼らがMac OSXの環境に慣れるのに大して時間はかからなかった。Nortonなどを入れてない分、Macの接続は速いし、ここらのサイバーカフェではそれに加えて非常に古いマシンをRamを増設することもなく使っていてしかもCybercafe Proというマシンをコントロールするソフトウエアを動かしているのが標準的なので、体感的には倍くらいのスピードに感じるはずだ。
だから、値段は標準の倍に設定した。そのコンセプトは「ワンコインでできるちょっとした贅沢」である。でも私の野望はそういった「マージナルな需要」を掘り起こすことではなく、サイバーカフェの新しい標準を作ることにある。この10ヶ月ずっとそれを考え続けてきた。
で行き着くのは「アフリカでのMac標準化は困難」ということである。では何を標準化するのかというとLinuxということになる。問題はWindowsのダンピングだ。海賊版の問題は別にしてもMS自体が30ドルで売る(途上国の教育機関向けと表向きはなっているが)と言っているし、ASUSが200ドルのラップトップをXP入りで売るという。WindowsもOfficeも値段があってないようなもの、しかもほとんどのPCにバンドルされているのだから「あえて」Linuxという選択にはなっていかないだろう。最近DELLがUbuntuをプリインストールしたマシンを発売したがこれが他のメーカーを巻き込んでいくかというとかなり疑問だ。特に日本のメーカーはWindows APIで自社製のマシンに特化したソフトをすでに数多く作っているので、これをLinuxベースで作り直そうという動きにはなかなかなっていかないだろうと思う。
しかし、この状況に対するダークホースが実はアップルではないかと思うのだ。Linux版iTunesやLinux版Safariが出てくればLinuxのアプリケーションレベルの使い心地がMacのそれに近づいてくる。そしてアプリケーションそのものがだんだん単体アプリからJavaやAjaxに移行していくことを考えれば「基本的にどのOSを使っていてもアプリケーションレベルの使い心地が標準化される」ことが容易に予想されるのだ。
CYVOGUEが見据えていかなければならないのはそういう未来なのだと思う。