2009年1月31日土曜日

Burkina Faso:初等教育の先にあるもの


IRIN Newsの記事から。
ブルキナファソで基礎教育のミレニアムゴール達成を目前にして別の問題が浮上しているというのです。
それは、高等教育に進む子供達が増えて、高等教育機関のキャパシティが足りなくなり、また高等教育に対する政府予算も逼迫しているという問題です。
当然の問題です。
私は2003年にニジェールの援助計画に関わった時点から、この「問題」について言い続けてきました。その頃はもうどのドナーも初等教育初等教育と援助合戦を繰り広げていたわけで、中等教育や職業訓練、高等教育などの「初等教育の先にあるもの」に対する援助の話は聞いてもらえもしませんでした。ましてやその分野の案件形成なんて夢のまた夢。しかし、常識的に考えれば小学校への就学率が高まれば当然その子たちは数年後に成長して中等教育、そしてその先にどんどん進んで行くのです。つまり、初等教育に注力するのはかまわないけれど、その先をちゃんと考えて準備しておく必要があったのです。さらに言うなら、最終的には「雇用」の問題がどーんと待ち構えているわけで、これには経済政策を含んだ国の民間企業振興策が絶対に必要なのです。しかし、私の知る限りこの分野にまともに取り組んでいるのはUNDPと世銀くらいなものでしょう。
ブルキナファソは言ってみればセネガルと同じく援助の優等生で、政府が自分の考えを押し通すよりはドナー側のオファーやトレンドに迎合しやすい国だと思います。しかし、考えてみればドナー側のオファーやトレンドなんて例の構造調整と同じで永続的なものでもなければ長期的計画にのっとったものでもないのです。それを今回の問題がまさに証明しているわけです。
人材育成というのは常に「その国が必要とする最終的な人材像」を思い描いて、それを作り上げるシステムに対して助成を行うものです。つまり小学校に限定して援助を行っているドナーはその国の必要としている人材像は「小学校卒」だとでも言うのでしょうか?「選択と集中」とか言っても、それはもっと大きな設計図があって時系列的にも整理された上でのものでなければなりません。
まあ、この世界を渡り歩くともっとおかしなことに巡り会うこともあるわけで、時間を逆行し初等教育の次は幼稚園、そして就学前の教育だとか言い出し、実際にそういうプロジェクトを通してしまうのも見ました。もちろん、予算が豊富にあって、ちゃんと「子供の成長していく未来」を見据えた上でやるのならいいのですが、中等や高等、技術教育は「トレンドから外れているから」という愚にもつかない理由で全くできてないのですから、ムダそのものです。プライオリティというものをはき違えています。そして、民間の財団や大型NGOがすでに活発に入っている分野にわざわざODAが入る意味はなんなのか、論理的に説明してほしいものです。
国の開発計画は「トレンド」でどうこうするようなものではないと思います。今回のブルキナのケースなどはほとんど国際協力の「ファッションヴィクティム」だと言えます。まあ、そういうものに安易に流されてしまったブルキナ政府も情けないですが・・・
保健の分野では、エイズ対策がこれにあたるでしょう。今はまだプロジェクトにエイズと名前がつくだけで金が集まってくる、一種のバブル状態ですが、ARVなどは根本的にHIVを駆除できる治療薬が開発されるまでは永続的に続ける必要があるわけで、それまでバブルが続くとも思えません。はじけたときに切り捨てられる人々が百万人単位で発生すればこれはもう一種のホロコーストだと言えます。各国が援助に頼らないエイズ対策の計画を立てていくことを援助しなければならないでしょう。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

はじめまして。国際協力に携わりたい学生です、
セネガルなどの仏語圏アフリカの教員養成校の先生を研修員として受け入れる際に、日本のどんな教育現場を見てもらえばいいか、という研修業務に少し携わっています。
なので仏語圏アフリカの教育内容(授業の質など)についてご存知でしたら教えていただけませんか?