2009年3月17日火曜日

Madagascar:無政府状態へ


昨日ラバロマナナ大統領が提案したレフェランダム(国民投票)というアイデアはこれまたラジョエリナ氏に一蹴されて終わりました。軍を味方に付けたラジョエリナ氏はついに「大統領を逮捕しろ」と発言しています(Afrik.comの記事)。しかし、これは実際に大統領を逮捕する意図よりはハッタリだと思います。
このように政治家がハッタリ合戦を相も変わらず演じている間に、軍は不気味な動きを続けています。ラバロマナナ大統領が放棄した大統領官邸を軍が押さえました。(Afrik.comの記事RFIの記事
このラジョエリナ氏と軍による政権転覆をAUアフリカ連合は非難しています。(JeuneAfriqueの記事
また、Afrique en Ligneによると、このAUの会議に出席した在エチオピアのマダガスカル大使の弁では「ラバロマナナ大統領はまだ国土の70%と軍の大半を掌握している」ということです。
しかし、これはマダガスカルという国が分裂状態にあるということを示している警報を鳴らしたようなものです。
国土の70%と軍の「大半」を掌握している政権、それはすでに機能不全に陥っているのです。しかし、この状態ではラバロマナナ大統領もうかつに政権を投げ出すことができないのも事実です。今、政権が投げ出されたら、もちろんラジョエリナ氏がそれを掴むことは間違いないでしょうが、大統領派だった「70%の国土と軍の大半」はどうなるのか?それを考えるとこのオプションも危険すぎるのです。
RFIはカギを握っているのは軍部であり、今マダガスカルは軍事クーデターの危機にある、としていますが、私もそう思います。そして、事件の初期から防衛大臣が辞任したりしているのを見てもわかるようにマダガスカルの軍の統制ははっきり言ってお粗末なものです。このあたり、コートジボワールを思い出してしまいます。コートジボワールとマダガスカルはいくつかの点で似たところがあります。まず、現政権の政治力が強大でなく、軍部がちゃんと掌握されていないこと、巨大な首都と地方の格差、経済が国をリードするメインのファクターであること等。
それを考えるとなんとなく煮え切らない今回のAUの非難も理解できるような気がします。フランスは型通りの「法に則ったトランジションを」という姿勢のようです。

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