2009年3月12日木曜日

Madagascar:軍の混乱、介入


アップデートをしていなかった間に一番困ったことになってるのがマダガスカルです。
ラバロマナナ大統領とラジョエリナ氏の直接会談は何の結果ももたらさず、決裂し、身の危険を感じたラジョエリナ氏はフランス大使館に避難しました。これは1つの象徴的な意味を持ちます。
大使館というのはその国にありながらその国でない治外法権が適用されます。つまり、ラジョエリナ氏はマダガスカルにいながら「亡命」したに等しいわけです。
そこでゴソゴソと動き出したのが軍です。最初は軍の内部に分裂がおき、統制に乱れが生じました。そしてまた防衛大臣が辞任、軍司令部が直接軍を掌握します。これが何を示すかというと、軍が政府のコントロール下から這い出してしまうということなのです。そして案の定、軍の司令部が今度は政治的野心をちらつかせながら事態の沈静化に向かっています。
この事態の展開によって、マダガスカルの危険度は一気に高まったと思います。最初は単に大統領と市長の権力争いだったものが、長期化することによって国のシステムそのものがズタズタにされ、軍による掌握という最悪の事態に向かっているのです。これはもうすでに民主主義がどうこうというレベルではなくなっています。
マダガスカルにとって不幸だったのは、ラバロマナナ大統領とラジョエリナ氏の確執という状態の時にこれをなんとか仲裁する「Doyen」つまり過去の大統領経験者とかがいなかったというのがあります。両者とも一国のトップに立つには若いのです。これはいいことなのですが、Doyenの存在がなくなるとどうしてもお山の大将になってしまいます。もう1つは、ラバロマナナ大統領、ラジョエリナ氏の次の「第3の男」がいなかったということです。マダガスカルの政界に「第3の男」が存在すれば、ラバロマナナ大統領とラジョエリナ氏の間がにっちもさっちも行かなくなった時に政治的解決ができたのです。しかし、この「第3の男」がいないことによって、この閉塞感は軍部を刺激してしまった。こうなったらもうシビリアンコントロールが崩れます。マダガスカルにおける民主主義はこの先かなり長期にわたって楽観できない状態に置かれることになります。

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