2009年3月20日金曜日

Africa:News Round Up 3/20


今日はマダガスカルの続報を中心に軽くラウンドアップします。

マダガスカルですが、ラジョエリナ氏の大統領就任に「年齢制限」でいちゃもんをつけていた憲法評議会は意外にも簡単に折れ、ラジョエリナ新大統領を承認しました。しかし、外交筋からの反応はもっと厳しいもので、AUアフリカ連合は国民投票を実施するよう求めています。(Afrique en Ligneの記事)またSADC(南部アフリカ開発コミュニティ)はマダガスカルの新大統領を承認しない、としています。(Jeune Afriqueの記事)そしてAUもやはりマダガスカルの新政権を除名しました。アメリカも今回のトランジションを非難しています。(BBCの記事)またフランスは援助をストップすることはないものの、AUに同調すると遠回しに「サポートしない」と言っています。援助関係でも動きが出てきました。すでにラバロマナナ前大統領が元首だった昨年11月に世銀とIMFは不透明な会計を理由にマダガスカルに対する融資をストップしていますが、今度は北欧ノルウェイが総額1400万ドルの援助の凍結を発表しました。(IRIN News)また、前政権の巨大プロジェクト、韓国大宇との農業開発プロジェクトはラジョエリナ新大統領によって完全にキャンセルされました。(Afrik.com)そして、実はマダガスカルを襲っている脅威は政治的なものだけではありません。アンタナナリブの瀟洒な街の風景はマダガスカルのどこでも見られるものではないのです。首都と地方の格差は非常に大きく、貧困の影響を受けやすい人々がたくさん地方にはいるのです。これらの人々を襲うのは食料価格の高騰、南部の旱魃、そしてサイクロンであり、これらの苦しんでいる人々は忘れられた存在です。人道援助が必要だとIRIN Newsは伝えています。

さて、ローマ法王ベネディクト16世のアフリカ歴訪で最初に法王が訪れたカメルーンでの発言が波紋を呼んでいます。カトリック教会はもともと中絶や避妊に対して基本的に反対の姿勢をとってきましたが、前法王ヨハネパウロ2世は広がるHIV感染を鑑み、コンドームの使用を承認したのです。しかし、ベネディクト16世は「コンドームの使用がHIV問題に効果的だとは思わない」と発言、既婚者には貞節を、未婚者には貞操を守ることを呼びかけました。これはカトリック教会の従来からの「教え」を繰り返しただけなのですが、効果を上げつつあるコンドーム普及が影響力の強い法王の発言で台無しにされたとヨーロッパ諸国が反発しています。

昨年末に起こったギニア・コナクリのクーデターのあと、ダディス・カマラ大統領に率いられた新政権は前大統領の周囲の有力者が手を染めていた麻薬流通組織の大々的な摘発に乗り出しました。これで真っ先にヤリ玉にあげられたのが故ランサナ・コンテ大統領の息子です。(Afrik.com)ギニアはギニア・ビサウと共に南米→アフリカルートのコカイン経由地として悪名をはせていました。この摘発は「麻薬と戦う正義のダディス・カマラ」を印象づけ、同時にギニア国内に残存する前大統領に近い有力者を選挙期間に入る前に一掃するという、なんともおいしい作戦のようです。国際社会の反応は意外に冷ややかでアフリカ連合の議席も奪われたままです。今年12月の選挙実施をダディスカマラ大統領は発表していますが、彼の真意(本当に政権に対する野望はないのか?等)はまだわかりません。私はかなり怪しいと思います。
ところでダディス・カマラ大統領の国際社会での最大のアドボケイトはセネガルのワッド大統領なわけですが、これをもってしても「イレギュラーな政権」が国際社会に認められることは難しいということです。とすると、このようなアドボケイトを持たないマダガスカルのラジョエリナ新大統領はもっとつらい立場に置かれるでしょう。

アフリカ連合などがこのようにイレギュラーな政権交代に神経質になっている理由は、これから次々と政権交代時期に入る国があるからです。まず、大統領が死亡したギニアビサウ、今年末にはニジェール、そしてギニアコナクリ、そして延び延びになっているコートジボワール。2010年にはトーゴ、ブルキナファソ、2011年にはセネガルが政権交代を行わなければなりません。ざっと見回しただけでもこれだけあるのです。イレギュラーな政権交代に神経質になるのは当然です。

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