2009年1月31日土曜日

オバマ大統領は世界を救うのか?


オバマ大統領の就任の日、私はニューヨーク5番街の路上にいました。午前中に確かコロンブスサークルの近くにあったCOMPUSAを探したのですが、何回かそのあたりを回っても見つからず、Apple Storeに行って調べたら、COMPUSAはすでに撤退、フロリダを中心に2〜3の州を除いて店舗展開をやめていました。しかたがないので次の目的地5番街と42nd〜43rdにあるBEST BUYとCircuitCityに向かいます。途中ロックフェラーセンターを覗くと、大きなTVスクリーンがセットされ、就任式の準備が中継されていました。たくさんの人がビルの前の広場を埋め尽くしていました。CircuitCityは廃業するということですべての品物を10%引きにしていました。しかし、もうほとんど在庫もなく、店員もレジにしか人がいないという殺伐とした雰囲気。BEST BUYの方はそれほどではありませんが、Apple Storeとは全く違う雰囲気でなんかやはり景気悪いのかな?というのをひしひしと感じます。12時が近づき、人がわらわらと駆け込んできて大型テレビを取り囲みます。YO YO MAが演奏しています。そういえばニュースでタイムズスクエアに巨大スクリーンが出て中継すると言っていたのを思い出し、42ndを西に歩き、ブロードウェイに出ます。すると、丁度演説の真っ最中でした。まあ、演説そのものは後でテレビで何回も見られますし、夜には解説もたくさん出回るので、雰囲気を味わいました。街の雰囲気は熱狂的ではありませんでしたが、ブッシュ政権にはみんな本当にもうウンザリしていて、ともかくよかった、という感じです。演説の内容は選挙の時のような、人の心を鼓舞するようなタイプの演説ではなく、アメリカが今抱えている多数の問題を直視した非常に押さえたトーンのものだったので、マーケットの反応もどちらかというとネガティブで株価は下がったようです。
しかし、本当に重要なのはこれからです。今必要だったのはアメリカの歴史のページをめくること、ブッシュの時代にピリオドを打って、次の時代の幕を静かにあげることだったのです。オバマ大統領は「ミラクル」を起こすわけではないと思います。また、アメリカという多様性の国民を総立ちに熱狂させるタイプでもないということが就任式を見ていて良くわかりました。
しかし彼はもっと冷徹な実務者タイプの大統領なのだと思います。
実際、ホワイトハウスに入る前からかなり周到な準備を行っているようですし、これからどんどん大型政策を発表していくことになるのでしょう。多分、当面は外交よりはアメリカの内政問題を重点的に解決していくと思われます。でも、これに失望することはありません。世界を不況に落とし込んだサブプライム問題というのは純粋にアメリカの国内問題だったのです。しかし、そういうフワフワしたおいしい儲け話に乗ったヨーロッパや日本の銀行がいっぱい資金をつぎ込んだ結果、そのあおりをまともに食らっただけなのです。そして世界のマーケットが機能不全になって世界を不況に引きずっていった。
つまり、アメリカの内政問題は世界全体の問題でもあるわけです。何度も言いますがオバマ大統領はミラクルを起こして世界を救うことはないでしょう。しかし、地味な努力と確実な実行力によって徐々に体勢を立て直していくと思います。

0 件のコメント: