2008年7月15日火曜日

iPhone格差は広がるのか?

世界中ですでに100万台売れたそうで、ケータイ各社もAppleもニンマリでしょう。
しかし、iPhoneのちゃんとした販路のない国ではiPhone Envyがよりいっそう高まるのではないかと思います。
ここセネガルでもiPhoneを持った人が店にきますし、買わないか?と持ちかけられたこともあります。
でも、ここでiPhoneを持って、ジェイルブレイクしたとしても使えるのは通話とSMSだけ・・・最近携帯のWebもあると聞いたことはあるのですが、どんな料金体系なのかもわかんないし。
アップデートしようとすればただのオブジェに成り下がることも確実・・・そんなもの、いりません。

ということで、現状ではiPhone格差は広がっている、と言えると思います。

アフリカでは、ケータイはほとんどがプリペイドで、もちろん契約プランもあるのですが企業の業務用で使われていることがほとんどだと思います。そういう中で安価なプリペイド、しかも使用料を自分でコントロールでき、請求書を受け取ってビックリということもない安心感もあり、言ってみればここの現状に合っているものが普及しています。普及率そのものはほとんど先進国と変わらないレベルまで来ていると思いますし、プリペイドのサービスとしては日本のサービスなどより遥かにいいです。通話料は時間帯によって割引がありますし、国際通話や国際SMSも標準で使えます。プリペイドはそれでも契約プランよりは通話料が高いのですが、それでも売れている。これはキャリアにとっても喜ばしいことでしょう。

このような現状を見ると、iPhoneの正規プランとかけ離れているというのがすぐわかると思います。契約ベース、しかも2年間という長期間の縛りがある、そういうものはアフリカでは無理(南アを除いて)だと思います。考えてみれば昨年iPhone第一世代が発売されてから1年しかたってないのです。そのとき買った人はまだ最初の契約が1年残った状態。それを考えるとiPhoneのインパクトと普及はものすごいスピードで広がっていると言えると思います。

ここから先は憶測ですが、AppleはこのiPhone Envyを煽っているフシがあると思うのです。その試金石とされたのは日本じゃないのかな?と。
そしてiPhone 3Gも第一世代のiPhoneがそうであったように、トランジション的製品なのではないか?ということです。確実にハードメーカーとして携帯のマーケットに食い込むことで次世代の通信規格をリードする意図があるのではないか?それがWiMaxなのか、他の通信方式なのかはわかりません。ただ、現状を考えると、キャリア主導で行ってきた通信の規格開発にAppleがもの言える状態になったと思います。iPhoneのユーザインターフェイスが他のスマートフォンと違うのは、他のスマートフォンは通信規格があってそこでキャリアから提供されているサービスがあって、その上でこういう風に使えますという「機能」なのに対し、iPhoneのそれはユーザが「何をしたい」かをはじめに考えられている。その中でiPhoneがWiFiを使ったり、3Gを使ったり、通話を使ったりする。これはその昔、NeXTが言っていた「オブジェクト指向」ということなのだと思います。
そして、それを完全にシームレスに実現するためには現状の3Gでは満足ではないのだと思います。iPhoneが示唆しているものはその先にある。そして、先進国で新しい通信規格ができ、インフラが整ってはじめて、それが途上国にくるのかな?という気もします。
その牽引力としてiPhone格差をわざと作り出している気もします。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

はじめまして。
とても面白い記事だったので、関連等もあわせて一気に読みました。外の世界から見るのってとてもいいと思います。
ところで、1つ気になったことがあったのでコメントさせていただきます。
記事中で、

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現状を考えると、キャリア主導で行ってきた通信の規格開発にAppleがもの言える状態になったと思います。
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と、あるのですが、これは日本だけです。
日本では、NTTをはじめとするキャリアが主導となって規格を決めますが、海外ではベンダーが主体となって規格を決めます。
標準化はベンダーにとって何を作ってどう売るか?という戦略の1つとなっています。ITUにしても3GPPにしてもベンダーの方が数多く参加してますし、チェアーマンもベンダーの方が多いです。
日本は、国営企業であったNTTが全てを牛耳ってかつ日本独自の規格の策定を行っていたという歴史的経緯から現在のような状態になっています。もう少し言うと日本のベンダーはNTTが決めた規格に沿って物を作っていればよくて、標準化とか競争という概念を持たなかったので、今の国際社会で生き残れないのです。
ただ、記事の趣旨である"Appleがもの言える状態になった"というのはその通りだと思います。