2008年11月30日日曜日

Africa:United States of Africa


Afrik.comの記事より。
Daniel Laineによって撮られた現存するアフリカの王様やスルタンたちがコートジボワールのアビジャンで会合を開いたそうです。詳細は省きますが、なぜかリビアのカダフィ大佐を「アフリカの王の中の王」と呼ぶなどなんだかちょっとうさんくさいのです。
ただ、面白いのはこの王様達が「アフリカの連邦政府」を作り、それをAUの将来あるべき姿として来年1月にエチオピアのアジスアババで開かれる予定のAU総会に議題提出するつもりだということです。王様達は結構まじめなようです。
しかし、このユートピックな「思想」のルーツはかなり古いのです。それは1945年、つまり第二次世界大戦が終わった年にケニア建国の父ジョモ・ケニヤッタやガーナの初代大統領、クワメ・ンクルマなどがイギリスのマンチェスターで開かれた汎アフリカ会議で提示されています。またエチオピア皇帝ハイレ・セラシエやタンザニアの初代大統領ジュリウス・ニエレレもこのパンアフリカニズムを信奉していました。また、セネガルの初代大統領レオポルド・セダール・サンゴールもこのパンアフリカニズムに強く惹かれ、西アフリカの旧フランス植民地が独立するに際して、現在のセネガル、マリ、ブルキナファソとベナンをまとめ、「マリ連邦」を作ろうとしました。しかし、この試みは失敗に終わり、現在ある形での独立が行われたわけです。
このパンアフリカニズムが惹き付けたのは政治家だけではありません。(もちろん、サンゴールは単なる「政治家」ではありませんが。)レゲエの神ボブ・マーレーもこれを歌っていますし、最近ではU2のボノが今年のTICADで「United States of Africaは長い目で見たアフリカの夢」と言ったりしている他、アフリカ各地で流行しているラップにもパンアフリカニズムの影響が見られるようです。

このパンアフリカニズムはアフリカ各国の独立後、政治的に一応は姿を消すのですが、2000年にトーゴのロメで行われたAUサミットにおいて当時の議長であったリビアのカダフィ大佐がこれを持ち出したことの流れを受けて、今回の王様達の動きとなっているのでしょう。
個人的な意見では連邦政府を作ったりという政治的なアフリカ統合はまず無理だと思うのですがAUの機能強化という意味では面白いと思います。あと重要なのは経済連合体で、現在もECOWASやSADCという枠組みがありますが、これの強化によって各国の経済的つながりや機能的な補完、そして物資のより自由な流通が経済発展にプラスの影響をもたらすと思います。

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