2008年11月25日火曜日

Africa:新しい抗マラリア薬技術


Allafricaの記事より。
これによると新しいACTs薬の生産方法が開発されたそうです。

20年前私がはじめてアフリカに来た当時、抗マラリア薬のメインストリームはクロロキンでした。これは予防用にも飲み続けて、かかったなと思ったら集中的に服用して血液中のクロロキン濃度を上げてマラリア原虫を退治するというやり方でした。ただそのころでもすでにクロロキンに耐性のあるマラリアはアフリカ大陸の東からじわじわとやってきており、ニバキン(クロロキン)のかわりにファンシダールを服用する必要がある症例もチラチラと出てきました。もともと、クロロキンは一種の化学物質であり、これにアレルギーを起こす人は多く、その場合はキニーネ(キニマックス)を注射するという治療法が多かった気がします。
私はクロロキンアレルギーがないので、ニバキンを飲んでいたのですが、ニジェールのニアメにいた時にどうしてもニバキンで治療できないマラリアにかかりました。その時、処方されたのがアルテキンです。
このアルテキンがACTsと呼ばれるマラリア薬で、もともと中国で作られたヨモギから抽出された成分が主体となっています。このヨモギは学名をArtemisia annuaといい、和名はクソニンジンと呼ばれている草です。ACTsはこの草から抽出されたアルテミシニンと従来のマラリア薬成分クロロキンなどを組み合わせた製剤です。しかし、クロロキンなどとはちがい、このアルテミシニンは化学的に生産することができないようです。
よって、このヨモギそのものを生産する必要があり、しかも含まれるアルテミシニンが微量なため、生産コストが上がってしまうという問題がありました。アルテキンは1回の処方で薬局で買えば4500FCFA(約950円)します。解熱剤とも合わせるとマラリアに一回かかれば、1000円以上かかってしまいます。これは農民などには手のでない価格です。コトヌでは中国から輸入されたACTs薬がだいたい2900FCFAくらいで売られていました。
そこで、今回の記事に戻るわけですが、このACTs薬の価格を下げるための新技術が開発されたわけです。その1つが、生産性の高いヨモギ個体を選別し、ハイブリッド種を開発するというものです。2つめは半合成のアルテミシニンを作る技術でアルテミシニン酸から大量のアルテミシニン合成物を作りだすプロセスということです。3つめは完全に化学的にアルテミシニンを合成する方法でマウスで試験が行われています。
また、マラリアのワクチン開発も少しずつながら進んでいるようで、ゲイツ財団から援助を受けた米Sanaria社が生ワクチンを作ろうとしています。これは10ヶ月という期限付きですが抗体を作ることができるようです。
とにかく、マラリアというのは致死率の高い感染症で、全世界で毎年100万人も命を落とすと言われています。予防のための環境整備、感染を広げないための予防法の発達、そして的確かつ安価な治療方法の3つが必要とされています。

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