2007年8月10日金曜日

ベナンGSM問題-見えない出口


8月1日のベナン独立記念日に大統領自身が早期解決を国民に対して約束したわけですが、あれから9日がたつにもかかわらず、状況はまったく変わっていません。むしろ悪化しています。
もちろん、政府とキャリアの間の交渉は続いており好ましい進展が見えると言えるものの、90万人の電話は切られたままですし、救いを求めて政府系のLibercomのSIMカードを買った人も、Libercomはキャパシティオーバーのためついにダウンしてしまいました。そして、もう1つのBB Comももともとキャパシティが低いので通話不能状態が多く、ベナン全国の携帯電話網が麻痺しているという状態です。
最近ではジャーナリストもようやくこれでは国民が迷惑を被っている、損失を余儀なくされていることに気づき、それを書き立てていますがなぜもっと早くそのことに気づかなかったのか疑問です。
また通信省は技術的にこのような事態に陥ることを予想してしかるべきだったのに、警告すら出さなかったのは全くもってプロフェッショナリズムの欠如と言わざるを得ません。
90万人の電話が不通になるということはすなわち毎日ベナンの社会全体でものすごい経済損失が生じていることを意味します。それは単なる電話会社の儲けの話ではなく、コミュニケーションできないことによる損失が生じるからです。これはベナン政府が電話会社に支払いを求めている免許料30億CFAなんていうレベルではありません。それを、経済省は見通せたはずですが縦割り行政の弊害か、何もアクションを起こしていない。
また、こうして巨大な損失を出しながらダラダラを交渉を続けることによって大統領自身も自分の政治生命を危険に晒している気がします。むしろ、即時に電話をつなげと命令して国民の損失を食い止めた上で交渉させるべきだったと思います。そして、自分が出した制限時間を守れなかったことは「指導力不足」と認識されるでしょう。
とにかく、現状が長引けば長引くほど、損失は膨らみ、関係者に対する信頼は薄れていきます。

それにしても、なぜこのようなことがおこるのでしょうか?
ベナンにおける民主主義はまだ未熟だといわざるを得ません。国民のために働く「大統領」ではなく国民がその人のために働く「王様」というシステムの方を強く感じてしまいます。
私が大統領だったらそもそもサービス停止などはせずに、支払い方法を交渉しただろうし、免許料の代わりにこれらの会社が出す利益に対する税率を上げるなどという方策を経済省と話し合いながらとったでしょう。

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