2007年8月15日水曜日

ベナンGSM問題4-脆弱な社会基盤


はっきり言ってこの問題の4回目を書くことになるとは考えていませんでした。
8/14日現在、状況は全く改善していません。そして、大統領はキューバに出かけてしまったそうです・・・


どうもベナン政府はこの問題を重く捉えてない気がします。しかし、実はこの一件はこの国の未来に深刻な暗雲を投げかけることになると思います。昨日、アフリカにおけるITのキーを握るだろうと書いたけど、その地政学的意味は変わらないものの、今回の問題で数年は遅れを取ったか、もう二度と浮上できないかもしれない。

なぜなら、社会基盤が脆弱なのはアフリカには共通した現象だし、特に差別化を図る点にはならないけれど、社会を支える政治基盤がダメとなれば民間の資本は流れてこない。大統領をはじめ、ベナン政府がこのGSM問題を軽く見すぎていることそのものが「政治基盤の脆弱さ」と受け取られるのを気づいていないのが問題なのです。民主主義は民衆あってのもの。民衆の利益を守ってこそ共和国政府であり共和国の大統領であると言えるのです。しかし、ベナン政府は民衆を犠牲にして政府の意地と「手数料」にこだわったのです。これは間違った選択でした。実際同じ問題をセネガル政府とSonatelも抱えているのですが、ここではサービス停止はだれの口からも出ていません。
次に、サービス停止を技術的にもベナン政府は甘く見すぎています。このサービス停止によって減収になるのはキャリアだけではなくベナン政府そのものも大きな損害を被ることになります。そういった直接的被害の他に社会全体にほとんど計算不能なほどの経済的損害を与えてしまっています。そして1日1日と解決を長引かせ、サービス停止期間が増えるに従って損害は天文学的数字にのぼるでしょう。
実際、1ヶ月のサービス停止でほとんどベナンという国が他国や世銀に借りている額くらいの損失は出ているはずです。また、純粋に技術的な面においても、たとえサービスが再開されてもしばらくは不具合が予想されます。
また大統領は「AreebaやTelecelがダメなら他のキャリアはいくらでもあるんだ」と言いたいようで、実際ナイジェリアのキャリアが新規参入するそうですが、サービス開始には2ヶ月もかかるのです。その間にベナンが出血多量で死なないといいのですが。
政府に全く危機感はないようですが、これは下手すると政権の命取りになる可能性すらあると思います。

セネガルでも同じことが言えますが大統領の力が強すぎてお山の大将になってしまっている場合、よい側近にめぐまれないものなのかもしれません。

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