2008年6月15日日曜日

ダカールの食料危機


大阪で開かれていたG8の会議は世界の食料価格の問題に対して、ほとんど何の合意もなく、方向性さえ示すことなく終了しました。なんという無駄な会議だろうか、と考えてしまいますが、神戸の環境会議、TICAD、今回の会議、そして洞爺湖サミットとこれだけ大型の会議を立て続けに開けば準備も行き届かなくなるのも当然ですし、聞いてる方も食傷気味になってしまうのは仕方がないと思います。
さて、食料危機がらみで今年の3月くらいからダカールの情報や記事がいくつか日本にも出て、ダカールは食料危機なんだと思われた方もいらっしゃるかと思います。
でも、ダカールは実は食べ物にあふれていて、問題はその価格なのです。セネガル料理はおいしいことで有名で、周辺国に行っても必ずセネガル料理の店があり、人気を博しています。そういう意味で言ってみればダカールは美食の都であったわけです。
私がはじめてセネガルの土を踏んだ80年代終わりには、そのセネガル料理の代表チュブジェンは市場で250FCFA(当時のレートで50円くらいだったと思います。)でした。安いところでは200で食べられました。今のチュブジェンはだいたい600FCFA(今のレートで150円くらい)です。しかも、びっくりするほど量が少なくて、まるで猫のえさのようです。
この価格高騰は何も食料原料の価格そのものの高騰だけによるものではありません。原油価格の上昇による輸送関係費の高騰、ダカールの地価の異様な上昇、それに輪をかけてダカールのメインアクセス道路3つを同時に工事していることによる、毎日の慢性的な渋滞によって物資の流れが滞っていることも大きな価格高騰の理由になっています。
CYVOGUEはダカールの郊外にあって、数年前は都心までタクシーで20分、値段もだいたい800FCFAで行けました。今は最低でも30分、渋滞に遭えばすぐに1時間、価格は2000FCFAです。都心に行くのは1日仕事なのです。
これがダカール市の外、ピキンやチャロイ、そしてルフィスクなどの衛星都市になると、さらに状態はひどく、下手をするとこれらの衛星都市ゾーンをぬけてダカール都市圏から出るのに4時間くらいかかることもあるそうです。ダカールで消費される野菜などはこれらの衛星都市の周辺部で作られていますから、この交通状態の悪化は価格にも鮮度にも反映され、それが「食料危機」につながっているわけです。
もともと、ダカールは半島の先端部にあり、他のアフリカの大都市とは違い、都心へのアクセスルートが1つしかないという地理的なハンディをかかえていますし、周りが海ですから土地が狭く、不動産価格が高騰しやすいのです。今、ダカール都心のアパートの分譲価格はほとんど日本レベルです。これは一般のセネガル人には手のでない価格です。
そういういろいろな価格の高騰が重なって作られているのが、今のダカールの食料危機、というわけです。

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