2008年8月5日火曜日

MS、オープンソース等に言及

Cnetの記事から。
MSがSEC(米証券取引委員会)に出した年次報告書の中の"Challenges to our business model may reduce our revenues and operating margins"という章の記述で、オープンソースがMSの収益低下につながるという可能性を示唆し、GoogleなどのオンラインサービスにMSもリソースをつぎ込んでいることを述べ、Appleのようなハード/ソフト統合企業とのビジネス戦略の違いを主張している、というものです。
全体として最初の感想はMSもそういう現状認識はもっているんだ、と感心しました。
しかし、いくつか突っ込んでおきたい点もあります。
まず、オープンソースに関して言えば、MSの言及しているのがオープンソースを統合したデスクトップorサーバ環境のことだということです。しかし、オープンソースソフトウエアは現在ではあらゆるところにあり、埋め込みOSからサーバの基幹となるアプリケーションまでオープンソースなわけです。MSの製品もオープンソースを使っていないかというと、そうではないし、MSは例えばApatchに対して協力さえしている。そのようにいろんなレベルで展開しているものに対して単なるマーケットシェアの視点から対策を練ることはできないと思います。90%以上のマーケットシェアを持っている企業は必然的にそれを失うことしか未来にはあり得ないのではないでしょうか?そうしたときにどのようにその損失分を別事業の展開によって利益に変えることができるか、それが底力というものです。
次にSaaSですが、これについてはYahoo買収劇を出すまでもなく、MSの戦略は行き詰まっているようです。これは、MSの根本的なビジネスモデルとこのSaasモデルが相反してしまうというジレンマがあるからだと思います。Adobeなんかも同じ問題を抱えているわけですが、Adobeの方がうまくやっているように見えますね。Appleはこの分野に関しては今「深く静かに潜航・・・」という感じですが。
そして最後の「ビジネス戦略の違い」ですが・・・これはMSはわかってないな、と感じました。エコシステムの捉え方そのものが古いんです。MSのエコシステムは「囲い込み」そして「移植」に終始するフェーズに入ってます。MSに一番必要なこと、それは新しいプラットフォームを開発して新しいエコシステムを作ろうとする「意思」なんじゃないでしょうか?Yahoo潰しに何億ドルという資金をつぎ込むのであれば、短期的な営業利益を減らしたとしても、新しいビジネスモデル、プラットフォームに投資した方がマシというものです。
問題はそれだけの技術的基盤があるかということでしょう。
それこそ、MSのファンボーイ達を活躍させて、何かの後追いとか、○○キラーとかではない、全く新しいプラットフォームを作るのが、MSの「使命」であるともいえるでしょう。
それができないなら、徐々にオープンソースやSaaSに食われて衰退するしか道はないのではないかと思います。

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