2008年8月30日土曜日

ベナン:どんな未来が描けるのか?


私がベナンをはじめて訪れたのは今から4年前、2004年の8月でした。隣国のニジェールで働いていて休暇で行ったのですが、その時から今まで続けて感じ続けていること、それはベナンは豊かな国だという印象です。もちろん、GDPだの「人間開発指数」だのそういう数字から言えば下から数えた方が早いくらい、「貧しい」国です。
でも、そういう数字や指標では推し量れない豊かさがあるのです。それは歴史的な遺産、アフリカの独自の文化的豊かさなのかもしれません。また、ニジェールの石のゴロゴロしているだけの草も生えないようなだだっ広い土地や、セネガルの落花生栽培で疲弊してしまった土地などサヘル地方にありがちな風景と比較してベナン南部の豊かな緑は、コートジボワールほどではないにしろ、そこに暮らす人々を飢えさせない豊かさを感じさせるのかもしれません。
また、商都コトヌの熱気、その人々のバイタリティが一種の人的豊かさを感じさせるのかもしれません。
確かにベナンの人たちも、みなそれぞれ必死で仕事を探し、現金収入を探し、少ない収入のために身を粉にして働いています。でもそれはどこでも同じことです。
過去にベナンは社会主義に傾倒するという政治的なミスリードの犠牲になりました。しかし、今はその傷も癒えているように思います。ベナンの経済を考えるとき、ベナンだけ単体で取り出して語ることはほとんど意味がありません。あまり知られていないことですが、西アフリカ経済共同体ECOWAS/CEDEAOという協定を西アフリカ諸国は結んでいて、ECOWAS加盟国の間では、自由な人の行き来が保証されており、どの国で働いても構わないことになっています。だからベナンやトーゴのような小さな国でも、もっと大きな経済圏の中で孤立せずに経済発展を望めるわけです。だから、ベナンを考えるということは、ナイジェリアやトーゴ、そしてガーナなどを含めたところで考える必要があるのです。実際、コトヌからナイジェリアのラゴス、トーゴのロメは車で3時間しかかかりません。当然物資の行き来もかなり頻繁にあります。コトヌで水揚げされた中古車がナイジェリアに大量に運ばれていくのは、コトヌとポルトノヴォの間を走ると頻繁に目にする光景です。
もちろん、ナイジェリアやトーゴにはベナンと違った政治的コンテクストがあります。その違いをハンディキャップとするのでなく、有利な条件に変え、ベナンの魅力というものをうまく引き出していくことこそが、ベナンの未来を輝かせる方法ではないかと思います。

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