2009年5月1日金曜日

Tech Talk:一連の地デジ騒動に思う

有名タレントの公然わいせつ騒動にはじまったこの一連の地デジ騒動。このタレントが総務省の推進する地デジ化促進のイメージキャラクターとして採用されていたことから、総務相直々の激烈な非難発言が飛び出し、即刻この有名タレントにかわる今はやりの「ゆるキャラ」の「地○ジカ」が登場しました。このキャラがかわいいと某巨大掲示板でお祭り騒ぎとなりいろんな派生キャラが誕生しました。特に地○ジカのまとう服がスクール水着に見えるということが話題になり、この事態にまた総務相が登場して「あれはスクール水着ではない」と主張、ついでに地○ジカの著作権を主張、勝手に使うことは許さないと発言、ネットの大反感を買ってしまいます。そんな中、chidejika.jpというドメインで偽公式サイトが登場します。総務省は地○ジカの著作権を主張しながら、その名前のついたドメインを押さえておくことをしていなかったことが判明します。さらに、地○ジカに対抗するアナロ熊なるキャラが登場、「アナロ熊は著作権完全フリー。どこぞのシカとは度量が違います。」なるコピーとともにお役所を笑うお祭り騒ぎに発展しています。
さて、この一連の流れですがどこに問題があったかというと総務省の「著作権」発言だったと思います。これがネット界のアラートスイッチを押してしまった。そして「地デジ化」そのものの必要性や不透明な利権の流れを暴露する結果になってしまったのです。もともとネット界では音楽業界の著作権団体(アメリカのRIAA、日本のJASRAC)に対する非常に激しい反目があります。そして、これは利権だけでなく天下りの問題にまでつながっていて、行政的にも非常にセンシティブな部分なのです。総務省の対応はそこをつついてしまった。有名タレントが肖像権を主張するのは当然でしょう。しかし、それに替わって(どこかの素人が数日で適当に作った、ご当地ゆるキャラよりさらにゆるい経緯で)作られた地○ジカをお役所が著作権を主張するというのは大人げない。こんなキャラなど使われてなんぼのものなのです。むしろ有名タレントの不祥事での注目度を引き継いだ地○ジカが広く知名度を得て愛されれば地デジ化の促進につながるでしょう。しかし、ここで著作権と言い出してしまったために、一気に反感を買ったばかりか、地デジ化の裏にひそむ闇を暴露してしまった。これは行政が用意した次なる毒入りリンゴなのかもしれないというアラートスイッチを押してしまったわけです。アナロ熊が主張しているのもこの部分で、単に消え行くものへの愛着を示しているキャラなのではありません。chidejika.jpのドメインを取った人物がどういう人なのかはわかりません。でも、これは総務省のちぐはぐな主張とコンプライアンスの甘さを突かれているわけです。ある報道ではこれを「サイト乗っ取り」と称していますがこれは違います。ドメイン取得は全く合法的な行為で、もともとなかったわけですから乗っ取りではありません。また地○ジカのキャラクターや地○ジカという呼称が登録商標化されていたとしても、chidejikaというドメインネームはこれには抵触しないでしょう。地デジ化の裏に潜む闇とは何かということですが、現行のアナログ放送は誰でもアンテナとテレビがあれば視聴することができます。しかし、地デジはそうではありません。もちろん地デジのチューナが必要ということもありますが、それ以前になぜか地デジの信号にはスクランブルがかかっています。無意味に暗号化されているのです。誰がなんのためにこんな無駄なことをしているのでしょう?その答えは地デジチューナに入っているB-CASカードにあります。これは有料テレビなどではよくあるモノで例えばここでもCanal HorizonsのチューナにはICカードがささっています。そしてこのカードがスクランブルをコントロールするのです。日本のB-CASカードは総務省ではなくビーエスコンディショナルシステムズという民間会社が完全に独占して管理しています。地デジ放送の視聴は従来通り無料です。表面上はそうなのですが、チューナにはこのB-CASカードの料金が上乗せされていると考えられます。(株式会社なのですから儲けが出ないことはしないでしょう)さらに、日本の放送がB-CAS社によってコントロールされることになるのです。放送というものの公共性を考えるとこのような事態には疑問を呈さざるを得ません。地○ジカの騒動はこのような事態を予見させるもののような気がしてなりません。巷では日本の有名詩人がGoogleの知的データベース構想に噛み付いているという話ですが、私にはこの怪しげなB-CASによる放送コントロールの方がよっぽど国民の権利を侵害しそうな気がします。

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