2009年5月7日木曜日

Chad:東部チャドのゲリラ問題


チャド情報がいろいろと入って来たのでまとめます。
まず、その前にチャドという国をざっとおさらいしてみると、アフリカの北半球部分のほとんど真ん中に位置する面積の広い内陸国で東はスーダン、西はニジェール、北はリビア、南は中央アフリカと長い国境線で接しています。南西端はカメルーンとナイジェリアに接しており、首都ンジャメナはほとんどカメルーン国境にあります。主な産品は石油で、パイプラインでカメルーンの海岸線側に出して輸出しています。南側の中央アフリカも問題の多い国ですが最も大きな問題は東側のスーダンです。スーダンの問題といえばアフリカに少しでもなじみのある人なら「ダルフール」と思い浮かぶと思いますが、このダルフール地方とはチャドとの国境地帯に他なりません。つまりダルフール問題とはチャドの問題でもあるわけです。そして、今年のはじめからこのダルフールのゲリラが東のハルツームを目指すかわりに西のンジャメナを目指しはじめたということなのです。これはダルフールをめぐってもともとスーダン政府とチャド政府は仲が悪く、2008年にダルフールゲリラがハルツーム側に攻撃を仕掛けた時、スーダンはダルフールゲリラを支援したとしてチャドを非難しているのです。
さて、ニュースですが、5/6にチャドのムサ・ファキ・マハマ外相はパリでフランス外相ベルナール・クシュナー氏と会談し、ダルフールゲリラのUFR (Union des Forces de Resistance)のチャド侵攻について状況が悪化しないような外交手段について話し合ったとAfrique en Ligneが伝えています。チャド外相はカタールのドーハで開かれていたダルフールの平和同意会議に出席した帰りでした。
チャド現地からの情報としてはBBCがUFRのチャド東部の街ゴズ・ベイダ侵攻を伝えています。これによるとスーダンからチャドに入ったのは車50台から200台程度で2手に分かれ、ゴズ・ベイダともう1つはもっと南の中央アフリカ国境に近い無人の森林地帯を進んでいるとのことです。同様の情報をJeune Afriqueも伝えていますが、こちらはゴズ・ベイダ周辺の動きをもっと細かく伝えています。1つの部隊がゴズ・ベイダから180km南西に位置するアム・ティマンに抵抗なく入りそこに駐屯した模様、もう1つの部隊がゴズ・ベイダの北西110kmに位置するアム・ダムに入ったということです。アム・ダムはダルフール難民を収容し、国連部隊の駐屯するアベチェの南西100kmにあたり、このキャンプには45万人の難民が避難しています。
また、バンキムン国連事務総長はこのスーダンゲリラのチャドへの侵入を憂慮していると声明を出しました。事務総長は両国にドーハ合意を遵守し、外交手段を用いて問題解決を行うよう示唆しました。(AllAfrica)この記事によると、この東チャドにはスーダンからだけでなく、中央アフリカからの難民も流入しており、その数はすでに6万人に達しているそうです。

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