2008年9月13日土曜日

HPが独自OS路線を模索?

BusinessWeekの記事から。
Dellが一部のマシンにUbuntuをバンドルして販売しはじめてから、もうかなりたちますが、今度はPCメーカー再大手のHPが独自OSを搭載したPC開発に踏み切るかもしれないということです。
それもこれも、Vistaの不人気のせいだそうです。今をときめくネットブックはすべてLinuxかXP、そしてDellもXPプリインストール機を売り続けるばかりか、Vistaからのダウングレードまで用意している始末です。MSは何が何でもVistaへの移行を強行したいようですが、おとなしくついていってるのは日本のメーカーだけじゃないのでしょうか?
MacがOS Xへの移行を行ったのは2000年。8年前にさかのぼります。その頃、新しいOSの開発は大変でした。Mac OSXはNeXTの遺産であるOPENSTEPの技術を使い、コアにはオープンソースのFree BSDをもとにしたDarwinを使い、他のUnix系ソフトウエアを使えるようにした上でプロプライエタリなクローズドシステムを作るそのOSの作り方は、当時としては画期的なことでした。
今はOS制作をとりまく環境は当時に比べて比較にならないほど進化しています。オープンソースだけでも実用に十分堪え、ハードメーカーがプリインストールして出荷できるUbuntuのようなディストリビューションもありますし、OSのブロック化が進み、カスタムOSを作ることは非常に簡単になっているのです。例えばgOSなんかはUbuntuをカスタマイズしただけのものなのですが、ウインドウデコレータなどを駆使してUbuntuとは少々異なるフィールを持ったOSとなっています。
この程度のものをHPが作るのはわけないことでしょう。ASUSTEKですらEee PC用にXubuntuをカスタマイズしているのですから。
また、価格の面でもオープンソースOSに移行することはメリットをもたらします。またウザったいMSロゴだのからも自由になれる上、自社でソフトの問題などをコントロールできるようになるわけです。今まではそのあたり、例えばおいしい顧客情報等も一切MSに握られていたわけですが、それを直接自社管理することが可能になるわけです。
PC市場が大幅な拡大傾向にあり、ハードメーカーがハードの生産に追いまくられるような状況では、ソフト面を全部MSに一種のアウトソーシングすることはHPにとってもおいしいことだったのかもしれません。しかし、この市場の成長が鈍化している現在ではむしろユーザをがっちり自社で握りたいというのが本音でしょう。
Linuxのウインドウデコレータの中にはWindowsに非常に似たインターフェイスを持つものがあります。例えばKDEがそうです。UbuntuのGnomeがどちらかというとMacのインターフェイスに似ているので、私などはUbuntuが馴染みやすいのですが、もとWindowsのユーザならKDEデコレータを持つKubuntuの方が馴染みやすいかもしれません。また、LinuxにはWineというWindowsのエミュレータがあり、Windowsのソフトを動かすこともできます。(すべて動くわけではありませんが、例えばこのWineを使ってUbuntuでWin用のiTunesを動かしている人もいます。)このように、HPがLinuxベースのPCを発売することにはたくさんのメリットがあるわけです。しかも、欧州などではLinuxベースのOSやOpenOffice.orgオフィススイートを標準と決める公共機関なども増えています。
これを考えると、出遅れないうちにHPがLinuxベースの自社OSを開発していても全然おかしくないと思います。

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