2008年9月8日月曜日

力を合わせて共存の道を


国際的な経済状況が混迷し、小麦や米などの価格が上がって貧しい国の国民生活をさらに圧迫しています。そのような中、国連はミレニアム目標達成のために先進国はODA増額を、と声明を出していますが、現在の経済的状況ではアメリカ、欧州、日本はいずれも減額を余儀なくされるでしょう。期待はカナダ、豪州、および中国にシフトしていくような気がします。アフリカでは近年中国の存在が大変大きくなっていることをご存知でしょうか?中国は特にランドマークとなるような大型インフラの建設などを通じて非常に目立つ協力を行ってきました。その代表的なものが西アフリカでは各国にある「フレンドシップスタジアム(Stade Amtie)」です。セネガルのStade Amitieは数年前にLeopold Sedar Senghorと初代大統領の名前にすげ替えられましたが、これは当時セネガルが台湾との外交関係を強めていたからじゃないかと思います。しかし、これはまぎれもなく、中国が建てたものです。その他にもベナンの大統領府の新しい建物を建てたのも中国です。また、台湾は極めて多額の現金で、アフリカの国々との関係を深めようとしています。このような、政治的かつ外交的なものを除いても、インフラ建設などの事業を中国が落札することも多いようです。このような中国の進出は当然ながら中国人の流入を増やし、チャイナタウンが形成されていくことを意味します。そうなってくると、民間のレベルにおいても、中国との関係は強まっていくのです。
話を戻しますが、福田政権もわずか1年という短期に終わり、この先の政局も不透明感漂う日本。わずか半年ほど前に開催されたTICADでの約束も下手すると反古にされそうだし、そこまでいかなくても新政権からは「旧政権から引き継いだ負の遺産」みたく煙たく思われるんじゃないでしょうか。国内問題山積み、逼迫する経済というコンテクストの中で、アフリカへの日本政府の協力が増えるという見通しはさらに薄くなります。(新政権が異例の外交的先見性を持って、これと逆の政治的判断をすることもあるかもしれませんが・・・)
そんな中、限られた資金を有効に利用すること、つまり援助効率を上げるということが必要とされてくると思います。もちろん、これまでも援助の透明性を増す、というのと同時に援助の効率を上げるという努力はされてきました。しかし、これだけ援助額そのものが減ってしまうと、効率が高まったのかどうかすらわからない気がします。また、二国間援助にはなぜかトレンドがあり、協力プロジェクトの目的や質、あるいは対象が変わっているので、正確に言うと援助効率を比較する術はないのです。また、個人的にはこの投入量と効果というのはクローズドなプロジェクト単体として考えれば一種の物理の法則だと思っているので、投入量を減らして効果を高めるというのはあくまでも「錬金術」的なものだと考えています。これは、商売と同じなのです。投資を増やさないと利益は出てこない。小さな投資で大きく儲けるという話は夢物語にすぎません。
しかしながら、この「錬金術」は実際に存在します。しかし、まずプロジェクトの行為主体がクローズドであってはならないので、これをオープンにする必要があります。しかし、オープンにするということは他者の意図がプロジェクトに入り込むことを意味し、それができないあるいは望まないのであれば、錬金術はあきらめた方がいいです。つまり、この錬金術とは一言で言って「援助協調」あるいはジョイントプロジェクト、そして仏語で言うところのPopote Commune(共通レシピアント)です。これらはそれぞれ別の形態の事業ですが、同じ考えに基づいたものです。
多国間援助という点で、日本は外務省を通じて行う二国間協力の他に、国連機関に対する供出金という形でかなりの額を援助しています。しかし、国連機関の行うプロジェクトはたとえ日本ファンドを使っていてもあくまでも実施主体は国際機関であり、日本のプロジェクトにはなりません。しかし、日本ファンドを使ったプロジェクトはたいてい現地事務所に連絡があるものなのです。もし、この動きを早めに察知できたなら、二国間援助を同じ部分に持ってくることで援助効率を高めることもでき、日本の顔も見えてくるわけで、双方の利益が合致し、面白いものができると思います。
また、先日書いたニジェールのドラマFADAの制作に見るようなCFIとスイス協力庁、Planの協力なども面白いと思いますし、効果としてはとても大きい。
このように、援助協調およびジョイントプロジェクトは面白いものができるし効果も大きいので考えた方がいいと思いますが、共通レシピアントは言ってみれば多国間援助を各国にまた作り出すという考えなので、不透明さを進行させることになりかねないと思います。
国際的に見て、余裕のある国も機関も少ないこのご時世です。この機会に、協力のシステムをさらにオープンにすることで、力を合わせて共存する道を模索することが求められている気がします。

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