2007年7月29日日曜日

Adobeの挑戦


AdobeといえばPhotoshopにIllustrator。しかし、最近Adobeが変わりつつある。

MS対Appleというパソコン界の構図の中で常にうまく立ち回り、業界標準を作り出してきた影の支配者、それがAdobeである。Adobeは純粋なソフトハウスであり、ハードを作らないところではMSチックなビジネスモデルである。しかしAdobeのビジネススタイルはMSの何年も先を行っているのだ。Adobeがハードを作る必要がなかったのはAppleがMacを作っていたからである。そしてMacがWYSIWIGなパソコンだったからである。プロセッサのスピードが遅く、メモリも貧弱だった時代にポストスクリプトは有用な技術であった。そしてこのポストスクリプトの業界標準化というやりかたはAdobeのそれ以降のビジネスモデルのキーワードとなる。ちなみに、PhotoshopもIllustratorもMac用のソフトであり、かなり最近Win用に「移植」されたのである。

さて、DTPの黄金時代が去り、Webの時代に入ったとき、AdobeはMacromediaを買収した。Macromediaは昔からDirectorという優れた動画+アプリケーション開発のソフトを持っており、これを進化させてベクターベースのアニメーションソフトFlashを完成させしかもこれをWebにおけるアニメーションの標準化することに成功していた。AdobeはMacromedia買収後、このFlashをさらに進化させWeb上のアプリケーションの総合的な開発環境として定着させた。

そのAdobeがさらにWebアプリケーションを進化させようとしている。Adobeは長い目で見ていけばPhotoshopもIllustratorも今と同じような単体のアプリとして非常に高価格で売り続けることを考えていない気がする。それよりはサーバサイドのアプリケーションとしてライセンスを売っていくというビジネススタイルに脱皮しようとしている気がする。

MSがWinというプラットフォームに束縛されているのを尻目に、AdobeやAppleはマルチプラットフォームの世界に突き進んでいる。これに関してはダメダメなRealすらMSに対して一日の長がある。MSはベクターベースのアニメーションプラットフォームを開発しているそうだがこれは多分「第二のZune」にしかならない。MSは普及率という力でWMVをWeb上の動画の標準フォーマットにまでしてきたが、多分同じ戦略は今では通用しないだろう。Flashがここまで普及している以上、そのシェアを奪うのは容易ではないだろうし、WMVの時は相手がREALやDivXだったが今度はAdobeだ。

実はAppleもiPhoneによって「コンピュータ」の世界からの飛躍を図っていると思う。iPhoneはMac OSをMacから解放し、「埋め込みOS」としての可能性を示唆するものだと思うし、AppleはMac OSの技術を一種の「切り売り」をしていくのではないだろうか?例えばApple TV。そしてWeb Kitなどでその片鱗が伺えるように思う。

AdobeとAppleがSafariでガッチリ手を組んだらとんでもないことが起きるのかもしれない。

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