2008年9月12日金曜日

Geniusで広がる可能性


iTunes 8の目玉機能である、Genius。これはフロントエンドとしてはGenius PlaylistとGenius Sidebarという2つの機能となっていますが、私が注目するべきだと思うのはその奥に隠れている「Geniusエンジン」とも言える部分です。
これは、一言で言ってある一曲を選ぶと、それに「合う」別の楽曲を自動的に検索/表示するという検索エンジンです。
iTunesを使っている人は、その音楽ファイルそのもの(mp3等の)に曲名やアーティスト名、アルバム名、ジャンル等が「メタデータ」として含まれていることを知っています。私も最初はこのGeniusはそういうメタデータを基にして検索してくるのではないかと思っていました。
しかし、Geniusではこれらのメタデータを使っていないということです。
GeniusをOnにすると、ライブラリの曲名、アーティスト名、アルバム名という「楽曲情報」と共に、ユーザのプレイリストの曲、再生回数、レーティングといったユーザ固有の情報がGeniusサーバに送信されます。
そしてサーバサイドのGeniusアルゴリズムによって、「曲と曲の関連性を示すデータセット」が生成され、ユーザのiTunesに送信されるそうです。そして、この情報は曲のデータとは別に保管されるということです。
ということで、ちょっと探してみましたが、Musicの中のiTunesフォルダにも、ユーザのLibraryのiTunesフォルダにもGeniusを連想させるようなフォルダやファイルは見当たりませんでした。invisibleなもののようです。
さらに面白いのはこのGenius情報がまるで匿名のSNSのようなデータベースだということです。つまりGeniusユーザが増えれば増えるほどその関連性のデータは大きく広く多彩になっていくということです。
これは、iTunes Storeが各国の商慣習や著作権法の違いによって成し遂げなかった夢をメタな形で実現したもののような気がします。つまり、曲そのものでなく曲に対する思いみたいなものを集める全世界的データベース、それがGeniusなのだということです。
また、これは来るべき画像検索や動画検索にもある種のヒントを与えているのではないでしょうか?今のところこの分野では埋め込まれたメタデータの解析や画像データそのものの傾向を解析する方向性で動いていますが、Genius的な「関連性」のデータみたいなものがあればさらに面白いでしょう。
そういう意味で、Geniusはまさに「天才の卵」みたいなものなのかもしれません。
最後に、Genius SideBarについてですが、これはGeniusエンジンが拾ってきたもののうちiTunes Storeにあるものを表示する、表面的にはAmazonの「この商品を買った人はこんな商品を買っています」というおすすめ表示に似てものです。でもGeniusエンジンの存在を考えると、似て非なるものと言えるでしょう。これらのフロントエンドはまだ開発途上なのだと思います。

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