2009年3月22日日曜日

Madagascar:国際社会の冷たい反応


マダガスカルでは土曜日にラジョエリナ新大統領の就任式が行われました。同時に旧ラバロマナナ政権の支持者達が早速デモを行いました。34歳のラジョエリナ氏がマダガスカルの正式な大統領になるには憲法を変える必要がありますが、今回の暫定大統領ということに関しては憲法評議会が超法規的措置として認めたようです。ラジョエリナ氏は多分任期中にこの憲法の手直しの国民投票をやるつもりでしょうし、現在18〜24ヶ月と言っているトランジションの期間をできるだけ引き延ばそうとするかもしれません。少なくともそのベクトルを持つと思います。しかし、ラジョエリナ新大統領にとって最も厳しいのは外交関係になりそうです。AUアフリカ連合、SADCと南アやナイジェリアなどが新政権を認めないと発表、AUの議席を失いました。さらにフランスのサルコジ大統領も態度を硬化、今回のトランジションを「クーデターである」としています。米国も同じく軍の力を借りたクーデターであると非難しています。(AllAfricaの記事)もうすでに四面楚歌の状態と言えるでしょう。
しかし、私はラジョエリナ新大統領はここまで状態が悪化する前にやるべきことがあったと思います。12月のコナクリのクーデターを見ればすぐにそれがわかります。もちろん、ダディス・カマラがやったのは完全に軍事クーデターであって、ラジョエリナには全くその気がないという違いはありますが、ダディス・カマラはまず隣国セネガルに特使を飛ばしてワッド大統領の助力を仰ぎました。そして次々と隣国に特使を送りつつ、ワッド大統領の助力を得て(飛行機を貸してもらって)外交関係の悪化を防ぎました。また民間人(国際公務員)をさっとエジプトから引き抜いて首相に据えました。これらの努力によって、軍事クーデターではあるものの、周辺国との関係は壊れていないし、それほど悪い印象も与えていません。ラジョエリナはこういう努力を全くしていないと思います。もちろん、ラバロマナナの辞任は突然でしたが、老獪な政治家なら少なくとも現地の各国大使などと調整してこういう事態に備えたはずです。また、ラバロマナナとラジョエリナは両方とも、国際社会の調停をことごとく蹴っ飛ばしてこれらの顔に泥を塗っています。すでに、ものすごく印象が悪いわけです。これから、ラジョエリナ新大統領にとっては茨の道になることは間違いないと思います。
34歳の大統領は今アフリカで一番若い(世界一?)ですが、同じ世代の大統領がアフリカにはいます。コンゴ民のジョゼフ・カビラ大統領です。彼は1971年生まれなので現在37歳。2001年の就任当時は弱冠30歳だったのです。もちろんカビラは前大統領の息子でその地位を実質世襲したわけで、当然お目付役や前大統領の側近をすべて引き継いだ。ということで、ラジョエリナ大統領とは全く事情は違います。いずれにしてもラジョエリナ新大統領がまずやらなければならないことは、外に友達を見つけることで、もし私ならまず年の近いカビラに接近するかもしれません。すくなくともワッドやボンゴのような年寄りよりは話しやすいと思うでしょう。
さて、政治的な危機もありますが、これからマダガスカルを襲う本当に恐ろしい危機は経済危機でしょう。この点でもマダガスカルは孤立しています。フランスだけが援助の継続を表明していますが、大型の契約を一方的にホゴにされた韓国からの援助も期待できないでしょうし、政治的混乱はマダガスカルの大きな資源である観光を直撃しています。(BBCの記事)そしてこれはトランジションが長引けばそれだけ深く傷ついていくというやっかいな問題です。

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